【いのち】3-17
RPGのような世界ならばもしかしたら、人を生き返らすことができる魔法のようなものが、もしかしたらあるのだろうかとかつてコバヤシは考え“サポセン”に聞いてみたことがあった。
『あー、まあそういう世界もあるんすけどねえ、、』
コバヤシさんの居るそこは違うんすよぉ
その時のサポセンは、ずいぶんと軽い口調の女性であった。
死んだら今度こそそれまで。
そんな当たり前の事実を、彼はあらためて確認する。
命に優劣はない。
それは全ての人間に対して死が平等に(総じて不平等に)訪れるからであると、コバヤシは考えている。
あれほど多くの人間の命をもてあそんだであろう“あの転生者”にも、それは当然の事実である。たとえそれが誰かによってもたらされたものであったとしても、、
すでに死んだ人間は、それ以上何も語ることが出来ない。だからこの“結果”は、イチノセに殺された人間達の気持ちだとかいうような、そんなことをコバヤシは更々言う気もなかった。
これは、あくまでコバヤシの意思によってのみ為されたことである、と彼は思う。
自分が、自分の気持ちの為に、これをもたらしたのだと、、
権力、財力、武力、、
人間はこれまで(そしておそらくはこれからも)自分たちが持ってしまったその“力”にずっと翻弄されてきた。
“彼”も、そんな人間の一人であったのだろうと、コバヤシはメリエへと向かいながらも考えていた。
最初から最後まで、あの男の言っていたことややっていたことの意味を、コバヤシには理解することができなかったし、彼がもともとはどういう人間だったのかも、コバヤシには知る由もなかったが、、
しかし、
自分とは、一体何が違うのだろうかと、コバヤシは思うのだった。
自分でそう思っているだけで、もしかしたら自分も同じように、いつかは同じようなことをしでかすのだろうか。
イチノセと自分とで、何が違っていたのか、コバヤシには分からなかった。もしかしたら、何も変わらないのかもしれないなと、そんなことすら、考えてしまう。
…“call”
とぅるるるるる、とぅるるるる、、
どうやらもう繋がるみたいだな、、
とぅるるるる、、がちゃ
『はい、こちらサポートセンターでございます』
聞こえてきたその声は、再びあの“奇術師男”の声のようであった。
そしてその声の主は、コバヤシへと礼を言う。
『コバヤシ様なら、きっとこの結果になるだろうと信じておりました』
ありがとうございますと、再びお礼を言われる。
『コバヤシ様のおかげもあり、どうにかそちらの世界の“修正”が完了いたしました』
“修正”か、、
コバヤシは、さきほど自分がもたらした、あの“転生者の死”の光景を思い出す。
俺もいつか、こうして消されるのだろうか、、
まぁ、もうすでに一度は死んだ身ではあるか、と考えた後に彼はふっと笑みをもらす。
『コバヤシ様がそちらの世界を壊しかねない、といった状況にでもならない限り、』
こちらからの干渉は絶対にありえませんと、急に事務的な口調になったサポセンがそう応える。
コバヤシは、その答えを聞いてから「…そうか」と一言だけ呟き、
そして“call”を終了する。
もう少しで、メリエの街が見えてくるはずだと、彼は再び前を見すえて、そう思うのだった。




