【転生者と転生者】3-14
メイは、街の中央付近から上空へと立ち伸びる、その“白い光”を見た。
その直後に、光が消えたかと思うと、すさまじい轟音がそちらの方から聞こえてくるのだった。いくつもの建物が崩壊したかのような音であった。
アキラ、、!
メイはそちらへと走り出そうとするも、なんとか踏みとどまる。
彼女には、なぜこの三人がここで待機しているようにと彼から言われたのかを理解していたからだ。
私達が行けば、アキラの邪魔になるかもしれない、、
メイは、彼の元へ駆け出したくなる気持ちをなんとかこらえる。すると、ドラコが自分の裾をぎゅっと掴んでいることに気づき、そちらへ目を向ける。
「メイ、だいじょうぶ」
赤毛の少女はこちらを見上げながらそう語りかける。
「コバヤシ、さいきょー」
そして親指をこちらへ向けてぴっと立てる。
メイはそんな少女の励ましに少し微笑むと、ドラコの頭をぽんと撫でてやる。
その隣では、ルゥも自分同様に街の中心部、先ほど轟音がした場所の方を心配そうに見つめていた。
大丈夫、、
ドラコは、そんなルゥとも手を繋ぐ。
そして三人で、彼の無事を願うのだった。
・・・
間一髪であった。。
イチノセは、いつの間にか手にしていたその剣(それは洋風の、まるで騎士が持っていそうなデザインのものであった)を上へとかざすと、瞬時に辺りを白い光が包み込んだ。剣を中心に、その光は上空へまっすぐに伸びていた、部屋の天井などを全て貫いて、吹き飛ばしていた。
かと思うとその次の瞬間、イチノセはその剣をコバヤシへと向かって真っ直ぐに振り下ろしたのだった。
全力で、コバヤシはそれを避けようとする。部屋はまるで一刀両断されたようにもはやその形をなしていない。
いつもであれば、コバヤシが全力で動こうと考えた瞬間に、周りの動きがまるで全てスロー再生のようになるのだったが、この時ばかりは違った。
イチノセの動きは、スローになりながらもしかしゆっくりとその動きは止まることがなかった。コバヤシはそのことに少し驚きながらも、間一髪のところで、その振り下ろされた“白い光”をかわす。
イチノセが持つ剣から伸びたその白い光は、先ほどまでコバヤシが居た場所はおろか、部屋の壁も吹き飛ばし、更に後ろ数十m程度までを粉砕してしまった。
その爪あとは散々たるものであった。しかし唯一の救いは、その剣が振り下ろされた方角が、王宮建設の行われている方ではなかったことであろう。
知り合いたちもみな無事なことを、コバヤシはマップで瞬時に確認する。
「おぉ!? すげえ!」
良く避けたじゃん!
部屋を吹き飛ばしたその張本人は、何故かどこか嬉しそうにコバヤシへ賛辞を送る。
「今のスキルさぁ、《魔法剣》ってやつなんだけど、初めて使ったときはマジでびびったんだわ、」
うっかり奴隷何人か殺しちゃってさー、けっこうお気に入りの子も居たからー
「いやでもこれ避けたとかすげえよホント!」
イチノセはそう言って再び笑う。
こいつは、ただ楽しんでいるんだ。
その瞬間、コバヤシの中で、ある一つの決意が固まる。
「…楽しいか?」
目の前で高笑いを続けるその男に、コバヤシは尋ねる。
…は?
「あー楽しいよ」
ほんとに愉しすぎると、彼は言う。
「とりあえず奴隷達を一通り楽しんだら、今度は街から引っ張ってきた女達共で、」
遊ぼうかなって、ひゃひゃ、、だって俺、この街の救世主だし、やべぇわーこれ
…こいつは、もうダメだ。もう生かしておいてはいけない。もう殺さなくてはならない。もう消さなくてはならない存在させていてはならない。
これ以上、このままにしてはいけない。
これほどまでに、誰かを殺したい、殺さなければならないと感じたことは自分の人生で今までに一度たりともなかった。
「分かった」
お前は、
「もう、いい」
もう、何も話さなくていい。
コバヤシがそう言うと、イチノセは明らかにその表情を変える。
「はーーー?」
俺とお前で何がちげぇんだよ
「お前こそ、もういいっつうの」
それじゃあさ、
「見せてやるよ、俺の圧倒的なステータスとスキルをさぁ!!」
《鉄壁》《会心撃》《秘剣》《魔法剣》《刀剣の心得》《攻撃力強化》《集中》《不敵》《攻防の極み》《魔力増幅》《詠唱破棄》《貫通》《全体攻撃》《二回攻撃》《防御力無視》《天敵》《乱撃》《先制攻撃》《流星乱舞》《必中》《スキル無制限使用》…
― テンセイシタカラナンナンダ ―
コバヤシは、王都でサポセンが渡してきた、ある一つのスキルを発動させる。
『固有スキル《搾取》』




