【変わり果てた街;内部】3-11
コバヤシは、西門から続く大通りをまっすぐに、街の中心へと向かって歩いていた。
あたりにはただ一人として他の人間の姿を確認することができない。人影どころか、物音一つすらコバヤシのスキルを持ってしても聞き取ることはできなかった。
たった数日でこんな、、
変わり果てた街の様子を眺めながらコバヤシは唇を噛み締める。
マルコから聞いた話だと、子供を除くほとんどの人間は、街の中心部、現在は“王宮”を建設しているというエリアへ連れて行かれたとのことだった。
子供も何人かは連れて行かれたとのことだったが、他の子供達はどこに居るのかまでは分からなかった。
無事であればいいが、、と彼は考える。
mapで知り合いを片っ端から“検索”してみるものの、まだ誰一人としてひっかからなかった。
コバヤシは、全員が無事でありますようにと、心のそこから願う。
だがそこで、ふと誰かの視線に気がつき、彼はそちらへと視線を走らせる。
すると、コバヤシが歩いている大通りを眺められる二階建ての家?の窓から、小さな子供がこちらを隠れながら覗き込んでいるのを見つける。
こちらからの視線に気がつくと、その子供はすぐにさっと部屋の中へと消えてしまう。
もしかしたら、あの子供のように、みんな家の中に隠れているのだろうか、、
コバヤシはそんなことを考えながらも、街の中央へと向かうその足を止めることはない。
通りの所々には、“何か”を引きずったかのような血の跡がいくつも見られたが、なぜか肝心の死体は街の中には一つも見当たらない。
街中の死体は全て門の外へと運んでいるのだろうかと、コバヤシは西門の外に積まれていた“山”を思い出しながら考える。
再び自分の背筋に冷や汗が流れるのを感じた。
無事かどうかだけでも早く確認したいと、コバヤシはその歩みを少し速くする。
大通り沿いのお店はどこもやっていなかった。リーシアさんのとこのパン屋やレミの宿屋はどうなっているだろうかと、ふと彼の脳裏によぎる。
だんだんと、ゆっくりと、しかし確実に、コバヤシは街の中心へと近づいていた。それと同時に、自身の持ついくつかのスキルによって、少しの情報を得ることができた。
マルコの言っていた様に、確かに多くの人間がこの中心部に集められているようであった。まだその姿を見ることはできなかったが、《聞き耳》によって何人かの男たちの声を少し聞き取ることができた。何を話しているかまでは詳しくは分からなかったが。
そして喜ばしいことに、リーシアとレミ、そしてグエンなるあの門番も全員無事のようであった。
良かった、、
コバヤシはほっと胸を撫で下ろす。
マップを確認する限り、リーシアとレミは同じ場所に居るのがわかった。グエンはまた別の場所に居るようである。
リーシア父の安否も確認したかったが、コバヤシは彼の名前を知らなかったので、マップのスキルでその居場所を知ることは出来なかった。
そして索敵のスキルにて、今でははっきりと“その存在”を確認することが出来た。
それは、ある場所から動かずにじっとしているようであった。おそらくは“王宮”、または“玉座”に居るのかもしれないな、などと冗談交じりに考える。
この、まるで冗談か何かみたいなことを、本当にやっている人間が、やってしまっている人間が、実際にここに居る。
コバヤシは、見えてきたその“建設途中の建物”を眺めながら、更に奥へと自身の足を進めるのだった。




