【喜劇のように悲劇的な】3-5
それは、“彼”がメリエに現れた次の日のことだった。
街の各所に、いくつもの“お触書”が貼られていた。内容は全て同様のものであり以下の通りであった。
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『“世界王”の御言葉』
一、これよりこの街の名は“イチノセ・タウン”とする。
一、そして“世界王”であるイチノセ・ユウキ様を頂点とした“王制”へとその政治体制を整えること。
一、これまでこの街を治めていた“九大貴族”は、その所持していた全ての権限を王へと移譲し、王の下これからは力を尽くすこと。
一、王の命令は神の言葉よりも絶対であり、誰もがそのもとにひれ伏し、何よりもそれを最優先とすること。
一、まずはこの街の中心に“王宮”の建造を第一とすること。
一、その至高なる目的のため、メリエに居る全ての男たちはこの建造に携わること。
一、またメリエに居る全ての女性は“王の物”としてその身を献上すること。
一、上二つについては、それぞれ担当の人間が迎えに行くためその指示に従うこと。
一、許可を受けた者以外、何人たりともこの街から無断で出ることを禁ずる。
一、最後に、これらの言葉に一つでも従わない者は、最悪の場合“極刑”になることを覚悟すること。
以上。
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その日、そのまるで冗談か何かのような“御触れ”は、すぐに目に見える形でその効力を発揮することになる。
逆らった人間達は、見せしめとしてその全てが惨殺される。
研究によると、それから数日でメリエの人口は2~3割減少したとも言われている。
死傷者の正確な数は、現在でも詳しく把握されていない、、
またこれも後で分かったことだったが、すでに“九大貴族”の現頭首達(当時の)は一人残らず殺されていたとのことであった。
そしてここには書かれていなかったが、“王”がその日より市民に課した税の負担は、これまでのメリエ史上最も重いものでもあった。
“王宮”建設のため、メリエ内で生存していたほぼ全ての男たちは、他の仕事を全部中断させられ、その建造へと携わされることとなる。
そしてメリエ中の若い女性は、ほぼ全て“王”のもとへとまず集められた。
そこにはあのリーシアや、レミの姿も見ることが出来た(なぜかネリネにはお呼びがかからなかったという、、)
そして、
その日から始まったこの一連の出来事を、後に人々は、誰が決めたでもなく、このように呼ぶようになった、
“メリエの悲劇”と。




