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幼年期4

 さてあれからようやく自分の言葉が新たな世界に適応してきたころである。


 大体3歳ぐらいかな。スパルタ教育が始まった。


 あほなのかこのおじいさんと母親は……。小学校が何で6~7歳で始まると思っているんだ。そのころから数とか量とかその他もろもろの概念が理解できるようになるからなんだぞ!。まぁこっちに小学校なんてないけど。


 一方、父親は寝るときいろいろ話をしてくれるし、穏やかな性格で人格者ですねぇ!


 あー、もうファザコンになっちまうぜ!


 スパルタ教育の中心は魔法と彼らが言うものである。


 彼らが言うには魔法の基本原則は代償の原則、前験の原則、純血の原則だそうである。


 代償の原則とは、何か魔法を使うと代償がいるというものである。


 例えば火を起こしたならそれだけ疲れる。


 そのため火をともすことは容易であるが、火を維持するのは至難の業だそうである。


 やらされて分かったことであるが例えば、初めて手のひら大の火の球を目の前にともすと、2分程度で400m全力疾走したほど疲弊する。


 前験の原則は魔法で現象を起こすためには前もって魔法でない方法で現象を経験する必要があるというものである。


 先ほどの例えでは火を魔法で起こす前に、火打石等々で火をおこし、その火を木々で燃焼させる必要がある。


 純血の原則とは、親が高貴な人間であるほど魔法の種類が増えるというものである。


 それは貴族の格のよって分けられ、上から王、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵というものである。


 爵位のないものは日常生活レベルの魔法が使えるだけであり、騎士爵から戦闘で利用できる程度の魔法が使えるそうである。


 ただし魔法の持続時間は努力で伸ばすことが可能であるとも付け加えた。


 その他いろいろな制約もあるらしいがそれは私にはまだ関係ないという理由で教えられなかった。


 その説明を終えると母親は私にこう言った。


「さて、あなたには毎日気絶するまで魔法を使ってもらって、気絶から回復したらいろんな魔法の現象を前もって経験してもらいます」


 え、何それは……(ドン引き)。あかん死ぬぅ!


「えっと、それはさすがに無理じゃないか?」


 父親が母親を止める。


「なんで?魔法が使えないあなたにはわからないでしょうけど、これが最も効率的なのよ」


「それは子供の気持ちを考慮しなかったらだろう……。そんなこと子供には無理だよ」


 おー。そうだ言ったれ!


「は?、私の息子なんだからできるにきまってるじゃない!邪魔しないで!」


 そういって母親は私の腕を引っ張って父親から引き離しスパルタ教育を決行した。


 まず魔法を使えるようになるための経験をするところからである。


 騎士爵に許される魔法をすべては三種類。


 三つの魔法は”火球の魔法””土壁の魔法””治癒の魔法”である。


 火球の魔法は人の大きさほど火の玉を遠方に放出する魔法である。


 土壁の魔法は地面から土の壁を引きずり出すものである。


 治癒の魔法は擦り傷や、切り傷などの外傷を瞬時に癒す魔法である。


 ただし外傷以外に効果はない。


 腕を切断したとかの大けがには効果がない。


 初めの日は、まず火をつける作業をはじめにさせられ、火打石で火を枯れ木につける。


 次はスコップで土を盛る作業。腰ほどの高さまで行う。


 この時点で体中ボロボロである。


 その後母親は私を鞭でけがをさせ、その傷口を自らで治療させる。


 これもう虐待だろ……。涙が出ますよ……。


 母親は頭おかしい。はっきりわかんだね。(ゼッタイニユルサナイ)。


 その後、できるようになった魔法を延々とやらされ、その日は11回気絶することになった。


 魔法の訓練の後は剣術の訓練ということで、今度は父親から剣術の指導を受けるようになった。


 先述の経験から戦々恐々としていたが父親の訓練は温和であった。


 父親はどこからか仕入れてきた特殊な靴を私に履かせた。


 その靴は親指の付け根、母指球という場所が一番厚くそこが作られており、そこを山の頂点としすそ広がりになっている。


 父親はその靴の山を指でたたきながら靴の説明を始める。


「この靴は親指の付け根に重心を置く訓練のための靴だ。それをはいてまともに立とうとするとそこしか重心が置けない。それでなんでそんな仕組みなのかというと、そこに体重をかける立ち方をすると背中、腰、ふくらはぎ、腹筋といった筋肉に適度に緊張し、立っているだけで筋トレになる。そして当然筋肉が緊張しているということは外部からの衝撃を内臓などの臓器まで届かせないことに役だつ」


 かなり寡黙な父親が途端に弁舌に語りだす。


 こいつコミュ障かよ……。まぁわかりやすいからいいけど。


「ほかにも、楯を持った時に踏ん張りやすくなるとか、俊敏な動きができるようになるという利点がある」


「それでこれで生活するようにすればいいの?」


「ああ、慣れてきたら少しずつおもりを腹や手足に巻いて基礎筋力を上げる。それと同時に毎日俺と一緒に朝走って少しずつ距離を延ばす。それから剣術や楯術、槍や弓を教える。でも技術は基礎の筋力や体力があればすぐに上達するからこの最初の訓練をしっかりやれば余裕でできるようになる。ゆっくり頑張ろう」


 父親はそういってにこやかに笑う。


 そういうわけで魔術と剣術の訓練が始まった。


 ちなみに私が父と母どちらが好きになったかは言うまでもない。

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