幼年期2
こちらの生活は心情的に大変豊かである。
多くの人間にやさしく接してもらえてたまらない。
いや、私が生まれたときは元の家族も私にやさしかったか……。
ろくでなしたちであったが、今思うと自分たちなりの愛情を子供に注いでいたのだろう。
まぁ、自分たちなりというのは独善的過ぎて子供の私には耐えられなかったが。
もう一度会えるなら会いたいものである。生活はともにしたくないが。
話を戻して、こちらの生活になんの不満のないといえばうそになる。
衛生状態が悪すぎるとか、水が井戸水でピロリ菌とか大丈夫なんですかね?とか。
まぁ赤ちゃんでは思いを伝えることなどできないので仕方がないのであるが。
ほかにも周囲の人間は数々の声をかけてくれるのだが、まったくわからない等々。
これは私は会話できるようになるのだろうか……。
まぁ要するに物質的なもの一般に対しては不満だらけである。
ただし体が軽快なことの快感に比べれば大したことないのだ。
ああ、素晴らしい時間は授乳の時間である。
なめまわすという行為は別に乳相手だろうが指だろうが変わらないのに心は全く違うもののように反応するものである。
この家は裕福なようで乳母が住み込みで私の世話をしてもらっているのだが、大変美しく授乳時に前世で発散できなかったフラストレーションをぶつけている。
あ~、たまりませんなぁ。
彼女持ちはこんなことを毎日やっていたと思うと怒りで体が震える。
まぁ、そんな奴でも毎日こんなに美しい女性の乳をしゃぶれる特権はそうそうないから許してやるか。
授乳時に乳母の顔が嫌そうな気がするけど、気のせいでしょ。
あ、乳母といえばこの女性にも赤ん坊の娘さんいてよく二人で一緒に面倒を見てもらってる。
この娘は今はサルにしか見えないが母親のレベルを考えれば将来的に美しい娘になる可能性を秘めているので今から私を好きになるように手を付けている。
頭をなでたりスキンシップをとって私と快感を条件づけして私と快感が結び付けられるようにしておかなければならない。
そんな生活を繰り返しながら世界について分かったことがある。
この家は先述もしたがおそらくかなり裕福な家なのだろう、しかしながら現代日本に暮らした人間としては粗末なものだと思う。
ただ普通に食事があるし、その色彩は質素であるが種類は豊富であるため経済はある程度回っていると予想される。
あと父親はなぜかぶっとい鉄の剣を庭で振り回している。
あとなんか超能力みたいなことをちょくちょく使ってる。
怖いなー、この世界。
まぁ、それ以外は特別不思議に思う場所はない。
いや、まぁいろいろ突っ込もうとすればできなくもない。
科学全般がこの世界で通用するのかとか。
遺伝子とかどうなってるのとか。つまり私は現代の人間と同じ物質で構成されているのか。
超能力ってどうやって使っているのかとか。
まぁ、その辺はそういうものだと思って大丈夫でしょ。
生きるのに知る必要はない。
指をどう動かすのか知らなくても、動かせるのと一緒だろう。
ほかの世界を知っているが故の疑問であるのだ。
そのうちできるようになる、なるかなぁ(一抹の不安)。
と、考えていると頭の中で誰かと会話するように物事を考えていることに気が付く。
ひとり身が長かったせいか自分と自分で会話をするようになってしまっていたらしい。
まぁ、人間は噂話が大好きだからね。人間の会話を解析した結果70%か80%は噂話だったという研究もあるし。
話し相手を作らないけないですねこれは。友達がたくさんほしいなぁ。
友達100人作って101人でお弁当を食べましょう。
はぶりはやめよう!、傷つくから(実体験)。
まぁ、世界を分析するのはこれぐらいでいいでしょう。
ハイハイとかつかまり立ちの練習をしないとね。
早くできるようになって周りを驚かせてやろう。