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潜入

第7話 潜入


俺は仲間で一番身の軽い『翔』と共にカジノバーの隣のビルの屋上に行く。


同じ五階建てだがカジノバーのビルより少し高い。


ビルとビルの間は約5メートル。


俺達はカジノバーの屋上に跳び移る手筈だが、実際に見てみると思っていたより遠く感じる。


(失敗したら死ぬな)


と考えていた時、翔は迷いもせず軽々と跳んだ。


翔は余裕でカジノバーの屋上に降り立つ。


翔は振り向くと

「拳さん、翔べますか?」と笑いながら聞いてきた。


「さぁ、どうかな? 俺が落ちたら後は任せるよ」と、俺も笑いながら答えた。


俺は一度空を見上げ大きく息を吐くと、助走をつけて思い切って跳んだ。


身体が浮かんで落ちて行く。


(届くのか?)


俺のつま先が僅かにコンクリートの感触を捉えた。と同時に翔が俺の腕を引っ張る。


そのまま翔に抱きつくように二人して転んだ。


「ふぅ」


俺は思わずため息を洩らす。


「拳さん、危なかったですよ」と、俺の腕の下で翔は笑っていた。


「あぁ助かった。ありがとな」と俺は身を起こしながら翔に礼を言った。


翔の身軽さと度胸の良さは頼もしい。


翔は若いが落ち着いている。


彼の経歴は知らないがマサも俺も信頼していた。


屋上に監視カメラはない。


マサが全ての監視カメラの場所は調べてくれていた。


女達は五階の部屋に軟禁されている。


廊下を挟んで片側に五部屋づつ


計10部屋に20人程の女がいる。


廊下には勿論監視カメラがある。


俺はマサに連絡をいれる。


「マサ、こっちは準備OKだ。5分後に始めてくれ」


「分かった。拳ちゃん、気をつけてな」


「あぁ、心配するな。翔もいるし」


俺は翔に合図する。


翔はてきぱきと準備する。


五階には窓がないので四階にまでロープを降ろす。


俺は四階の窓まで降りて行き慎重に中を覗いてみる。


四階は事務所になっていて、常時4、5人の男がいるらしいが、この時は2人しかいないようだ。


マサによるとこのビルには多分6人の男が残っているという。


6人なら強硬手段でも俺一人で何とかなりそうだ。


幸い翔もいるし。


窓の両側に俺と翔がナイトスコープを装備して待機していた。


5分経った。


突然灯りが消える。


マサが電源を落としてからだ。


俺と翔は一気に窓を蹴破って部屋に突入した。



直ぐに灯りが点きそこには黒崎をはじめとする10人程の男達がいた。


俺達は罠にはまった事を瞬時に理解した。


黒崎が俺を睨みながら

「お前の行動などお見通しだ。諦める事だな」と、憎々しげに言いはなった。


俺達は一瞬不意を突かれて怯んだが、直ぐに建て直し

「なんだ、せっかくサプライズで喜んでもらおうと思ったのに面白くない奴だな」と、笑顔で言ってやった。


黒崎は真っ赤になって怒りだし

「ふざけるな。今日こそあの時の恨みを晴らしてやる。」と、怒鳴って男達に合図した。


男達が一斉に近づいてくる。


俺は翔に

「何人くらい任せたら良い?」と聞くと


翔は

「拳さんはあの偉そうなおっさんをやっちゃって下さい。後は俺一人でも大丈夫ですよ」と、事も無げに言った。


俺は嬉しくなった。


頼もしい奴だ。


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