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18の詩  作者: まきた 晴
2/2

治部煮/ネームプレート/ベルリン

治部煮


鍋に出汁やら醤油やらを入れて

私は鍋を見つめることにした。


治部煮とは、その音から治部煮というそうだ。

じぶじぶじぶ。鍋に耳を傾けて鼓動を聞く。


何も主張しないその音は

だけれども料理の名前を冠するようになった。


じぶじぶじぶ。染み渡るような音。深い深い、引き込まれるようなー


たまらず私は火を止めて、器に入れてわさびを乗せた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ネームプレート


私は私の部屋にいるのに

私の部屋のドアプレートは掛け変わっていく


一つ前に見た「ちゅうがくせい」の文字

背伸びしたようなその字を見てから、私は部屋を出ていない


私はドアを背にして座り

掛け替える音の騒がしさ


ぱたぱたぱたぱた

私はここにいるのに

ぱたぱたぱたぱた

プレートは変わり続ける

ぱたぱたぱたぱた

私は死ぬまでに

ぱたぱたぱたぱた

ここを出られるのだろうか


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ベルリン


地図に指寄せ、唇が囁く


ベルリン。


どんな、街だろう。


歯型のついた食パンを見つめる。


ベルリン。


昼の四時。パンの向こうには薄暗いレンガ。ベルリンっ子が西から東。


ベルリン。


藍を帯び始めた空の下に鳴り響く鐘。消えない重音。響く低音。


ベルリン。


私にのしかかった空気から、地図帳に見えた一瞬の自由。


ベルリン。


どうぞ、私を攫って。


ベルリンどっかで聞き覚えあるんですよね…何かと被ってるかも…

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