大解決編へのプロローグ
ゼン視点となります
宴会も時間が経過していき、良い感じにみんなが出来上がっていく。
ニックは皿に顔面を落として突っ伏し、アンさんは空になったワインボトル数十本に囲まれて、新しい一本をラッパ飲みしていた。
レイアはルナと何やら話し込んでおり、俺は一人蚊帳の外。
暇を持て余した俺は、王様に聞きたいことがあるため王様にの元へと近付いた。
暇を持て余して王様に声かけるって頭おかしいとは思うけど、まあ聞きたいことがあるしいいよね。
俺は、グラスを傾けてワインを飲む王様の元へと近付いた。
「王様、少しよろしいですか?」
「む、ゼン殿か。なんだろうか」
「少々レイスの事でお聞きしたいことが」
耳を傾けた王様に質問をぶつけた瞬間、イアさんが俺と王様の間に割り込む。
「ゼン様。差し出がましいようですが、少しご配慮頂けませんか?」
渋い顔をして、イアさんは少し頭を下げた。
まあ、そうだよな。今回は俺が失礼すぎる。問題の原因とはいえ、首謀者であり実の娘でもあるレイスの事を心の整理もついていないであろう当日に聞いたのだ。
でも、聞いておきたい事がある。ここを逃すと、王様と直接話せる機会を失ってしまうかもしれない。
聞ける時に聞いておかないと。
「いえ、問題が問題なだけに、確かめたい事があるのです。失礼を承知でお願いします」
「しかし……」
「イア。構わぬ、下がっておれ」
なおも食い下がるイアさんを遮り、王様が命令してイアさんを下げる。
イアさんは少し驚いた顔を見せたが、すぐに頭を下げて王女様にワインを注ぎに行った。
「すまなかった。さて、一体レイスの何が聞きたいのだろうか」
「はい。レイスの起こした今回の騒動ですが、どうにも分からないんです。あまりにも、レイアとレイスに違いがありすぎて。同じ娘なのにどうしてあんな差が出てしまったのでしょうか。レイナ様という方も全く性格が違うのですか?」
「ふむ、まず一つ目の質問についてだが、レイアとレイスの違いについてだが、私にも分からない。同じように育てたはずだ。もっと言うならば、話し方に違いはあれど同様の感性を持っていたと言ってもいい」
王様は、眉を潜めて一つ目の質問の回答をする。
レイアとレイスが同様の感性を持っていた?
父親だからそう見えてたのか? あれは、どう考えても一緒とは思えないが……。
「そして、二つ目の質問だが、逆に言えばレイナこそ次期王女として育てておったのだ。レイナの感性はレイス、レイアと違っておった」
「違っていた? それはどんな風に?」
「そうだな、国への想いだろうか。あいつなりに考えがあったのだろう。とはいえ、今は知る由もないのだが」
「成る程」
レイナ様とレイス、レイアは違うのか。
だが、これだと知りたい事への情報が足りない。
俺が知りたい事。それは、レイスの恋慕の感情故に起こした騒動の大きさだ。
レイスが極端にレイアと違う感性を持っていたのであれば、納得できるのだが、その可能性はたった今王様から否定された。
だったら、本人の意見を聞きたい。
「王様、実はお願いがございます」
「ん? なんだろうか。出来る事はなんでもさせてもらおうか」
「でしたら、レイスと面会させて頂けませんか?」
次期投稿は3月11日を予定しております。




