消えない後悔-レイス視点-
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今頃、皆さんは何をしているのでしょう。
言いようのない罪悪感に胸を痛めながら、わずか一本の蝋燭が灯す、石畳、石壁、鉄の扉に囲まれた薄暗く、冷たい部屋にわたくしはいますわ。
音もなく、聞こえるのはわたくしの呼吸音のみ。
時々聞こえる足音がたまに。きっと巡回の者の足音でしょう。
昔、お父様に聞いたことがあるのを思い出しましたわ。悪い事をした人をここに閉じ込めるのだと。
閉じ込めて、反省をさせて、反省をしたら出してあげるのだと。
でも、暗くて怖い部屋だ。どんなに屈強な男でも、どんなスキルを使える者でも逃げられない。お前達は入ってはいけないところだよ。
そう、教わった怖い怖い所。
あれは、比喩表現ではなく、筋力弱体化とスキル封じが全ての壁、床、扉に付与されてますわ。
きっと、逃げ出す事は出来ないのでしょう。
でも、逃げようだなんて思わないですわ。それ程の事をしでかしたのですから。
今、とてつもない罪悪感に襲われて、どうしてこんな事をしたのだろうという感情に蝕まれていますわ。
思い出そうとする度に、頭がずきりと痛み、心が張り裂けそうになりますわ。
なんでこんなに恐ろしい事をしでかしたのでしょう……。
ソアレの事は確かに好きでしたわ。お姉様が選ばれた時、それはそれは悔しかったですわ。
それでも、どうしてあれほど恐ろしい事を……。
悔やんでも悔やみきれない感情がぐるぐると回り、涙が溢れて止まらない。
ポタポタと手の甲に涙が落ちて、ドレスのスカートをぎゅっと握りしめた。
それでも、大切な妹を、レイアをこの手にかけなくて良かったですわ。
それもこれも、あのゼン様のおかげですわ。
ゼン様が居たからこそレイアを助けてくれた。
願わくば、不躾なそしてわたくしからという最低な者からの身勝手なお願いではありますが、これからもレイアを助けて下さいませ。
愚かな姉の唯一の願いですわ。
レイア、あなたは私のようになってはいけませんわ。
幸せにおなりなさい。
わたくしは指を絡ませて祈りをゼン様に身勝手に託しましたわ。
すると、どうでしょう。何やら微かに聞こえて来ました。
その音は、コツリコツリと近付いてきましたわ。
巡回かしら? 何を変な事をしているんだと怒られてしまいますか?
別に逃げようなんて思ってない。だから、せめてレイアの事を想って祈るくらいは許して欲しいですわ……。
まだ怒られてはいないけど、怒られる前に言い訳を考えておきましょう。
でも、聞こえてきたのは巡回の者ではなく、わたくしにとっては意外な声でしたわ。
「すみません、起きていますか? ゼンです」
次回は3/10更新予定です。




