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ドキッ☆女神と過ごす宿〜ゆうべはおたのしみでしたね編〜

「ちなみに隠し要素ってなに?」


「隠し要素とはこのスキル強い反面デメリットがありまして、いろんな事に巻き込まれるし自分から首をつっこむ事になるし癪ですが異性同性限らず好感度が上がりやすくなります」


 ルナの説明を聞けば聞くほど状況に納得してしまう。エニグマに出会ったのも、レイアに出会ったのも、アンタレスに入ったのも、その時に発生する要素はあれどあの重なりようは絶対にこれが原因だ。


「はあ、成る程。それにしても、なんで説明せずにスキルを勝手につけたんだ?」


「それに関しては私の説明不足でした。このスキルについては魔王復活とともに自動的に次の勇者に付与されるスキルなのです。それ故に私も無意識のうちに付与しているものなので忘れていました」


 ルナは手を頭に起き、てへっと下をペロリと出した。


 話を整理するならば、俺は本当にいつの間にか勇者になってたのか。なっていたというかならされていたというか。


「え、ちなみに俺にスキルもついて光魔法もついてって話だけどさ。俺がオネに行くのを了承しなかったらどうしてたんだ?」


 俺の質問にルナの目がたじろぎ、泳ぎだす。


 こいつ……絶対危ないことをしようとしてやがった。


「えっと、その、本当に恥ずかしい話なんですがなにも考えてませんでした。その、なんといいますか。……前さんは助けてくれるって思ってたんです」


 ルナは顔だけでなく耳まで真っ赤にして白状をする。だが、白状した内容は俺に対して女神の力でなにかする訳ではなく、俺のことを愚直に信じていただけだと言う。


 危ないことをしようと企んでやがるって思ったのに。いや、それよりもなぜ俺をそこまで愚直に信じられるんだ?


 そこで、もう一つ疑問が生まれる。


 そもそもだ、なぜ、ルナの俺に対する好感度は高いんだ?


「ルナ、助けてくれるって思ってくれたのは嬉しいんだけど、なぜルナはそこまで俺を愚直に信じられたんだ? そもそも、ルナの俺に対する態度って一体なんでなんだ?」


「それは……」


 ルナはなにかを言いかけて口を紡ぐ。


 言ってもいいのか、言わない方がいいのか。そんな風に悩んでるような複雑な表情。


 だが、意を決したかのように俺を見つめた。


「それは、私は前さんに一目惚れしているからです。あなたの事が好きなんです!」


「いや、それは知ってる」


「そんなばっさり! き、気づいていたんですね」


 意を決したルナの覚悟はものの二秒で切り捨てられて、ルナは泣き崩れる。


 だってあからさまなんだもん。というか気づいてないと思っていた事にびっくりしたわ。


「だったらなんで素っ気ないんですか! あんなにアプローチしてるというのに!」


「いやいや、ルナの愛が重すぎて」


「なっ!? マリッジブルーというやつですか!?」


「断じて違う」


「むう、なにが不満なんですか? 私、こう言ってはなんですがそんなに悪くないとは思うんです」


 悪くないと言われてしまうとその通りだよなあと納得してしまう自分がいる。確かにルナは綺麗だし、嫉妬深すぎるのを除けば一途なとても素敵な女性だろう。


 だが、本当に愛が重すぎるんだよ。


「とにかく重いところかなあ。頼りにはしてるけどそれは友愛であって愛情ではないよ」


「むむむ……。ガードが固いですね。出来るだけしたくなかったんですが、プランIをしましょうかね」


「……あまり良い予感はしないがなんなんだそのプランIって」


「ふっふっふ」


 ルナの目が怪しく光り、両手のひらをわきわきと動かしている。心なしか鼻息も荒く、じりじりと近寄ってきた。


 俺はにじり寄るルナから牽制するように右手で銃をつくり距離をとる。


「プランIとは……いやよいやよも好きのうちのIです!」


「うぉおおお!? 来るな! 撃つぞ! 脅しじゃないぞ! ま、まてって……」


 ルナはル●ンダイブをして俺に抱きついてきた。思わず蹂躙されてしまう、と目を瞑ったのだが一向になにもされない。ずっと腰あたりに手を回されて抱きしめられたままである。


「……絶対振り向かせますから」


 ルナは俺の胸元に顔を埋めて可愛げのある事を言った。ルナ並みの美人にそんなことを言われてときめかない男はいないだろう……勢いよく深呼吸さえされていなければ。


 荒い深呼吸を繰り返すルナに少なからず不安を感じるものの、俺とルナの一晩はこうして更けていった。

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