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ドキッ☆女神と過ごす宿〜チェックイン編〜

「こちらになります」


 シャウラさんに連れられてたどり着いたギルド直営の宿。


 まばゆい蛍光色のランプが光り、お城を模した形は高級感を醸し出している。展開…なんて事はなくハリボテのようなショボいつくり。


 はっきり言わしてもらっていいかな?


「シャウラさん、ここラブホテルじゃないんですか?」


 まばゆい蛍光色ことピンクのネオンが怪しく光るお城のような宿といえば、そう、ラブホテルだね。


 男女ペアでちらほらと入り口に誘われる姿は、さながら誘蛾灯に誘われゆく蛾のようである。


 いやあ、異世界でも地球と一緒なんだね。


「ら、らぶほ?なんですか?こちらは今ギルドで推しています男女限定のペア宿といいます。この宿に泊まった男女ペアは仲が良くなった。連携が良くなった。子供が出来た等中々の評判なんですよ?」


 ちょっと待て、最後の奴は失敗してるじゃねえか! というか、男女の仲が良くなったってのもコンビネーションが上手くなったっていうのもちょっと生々しくないか?


 いや、ほんとにラブホテルという概念がないのかもしれないが、シャウラさんがラブホテルを知らない純粋な女性である可能性も捨てきれない。


「ぜ、ぜ、ぜ、前さん! わたわた、私、はじめてなので! そそそそ、その、優しくして下さい!」


 ルナはテンションがおかしくなりすぎて壊れたラジカセのように喋っている。


 はじめてとかそんな生々しいのやめときなさいよ、意識しちゃうでしょうが!


 というかラブホテルじゃないからね?ペア宿って言ってたからね?


「シャウラさん、とりあえずここに泊まればいいんですよね?」


 宿が間違っていて欲しいとシャウラさんに再確認するが、無情にもシャウラさんは首を縦にふった。


 はい、確定でーす。


「では、受付にてピスコの名前でチェックして下さい。明日はアンタレスでお待ちしております。失礼しますね」


 シャウラさんは一礼をすると、俺たちの前から去っていった。


 残されたのは俺とルナ。ラブホテル……ではないけど、男女で二人。


「と、とりあえず、入ろうか」


「そ、そうですね。前さん、行きましょう」


 ルナを促し、二人してぎこちなく宿へと入っていく。


 ピスコさんの名前を出し、受付に案内されるまま案内された部屋は、ベッドが一つ、枕がぴったりと二つ並び、薄暗いオレンジがほのかに光る部屋だった。


「って、ラブホテルじゃねえか!」


 結局ラブホテルだった事実にツッコミをいれる。


 ベッドの脇にある黒いケースについては開けたくもない。


 ルナを見てみると、オレンジの光のせいで分かりにくいが、どこかほんのり赤くなっているようなそんな気がする。


 人類で初めてじゃないだろうか、女神とラブホテルに泊まった奴なんて。


「ここここ、こういう時はお風呂浴びた方がいいですか?」


「いや、ちょっと待って。ルナに聞きたいことが……」


「えっ! お、おおおお、お風呂入らせて下さらないんですか? そ、その、汗臭いと言いますか、まだ心の準備が!」


「落ち着け! そっちじゃない! こういう所でなんだけど、聞きたいことがあるんだよ!」


 錯乱状態のルナを宥める。


 興奮状態だったルナであったが、落ち着かせるとキョトンとした顔をした。


「え? なんですか?」


「スキルの事だ。一体なんなんだ? このスキル」


「ああ、勝手に授けたスキルの事ですね。英雄の雛。で、なにを聞きたいんです?」


「このスキルの効果を知りたい。今までではあり得ないくらいいろんな事に巻き込まれるんだが、このスキルが原因じゃないのか?」


「そうですね。このスキルの隠し要素の影響かと思います」


 隠し要素……だと?


 ここに来てまた告げられる新しい要素に頭を抱える。


 チート女神にチート能力があっても、異世界はいつまで経っても俺を慣れさせてはくれないようだ。


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