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鎌倉武士は異世界へ 〜武士道とは鬼畜道と見つけたり〜  作者: くらんくしゃふと
序章 鎌倉時代における武士とありかたと日常生活
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第四話 変なところと薄緑ハゲ

これより剣と魔法の世界にて鎌倉蛮族 矢三郎の物語が御開帳!

 

「…むう?」


 白石矢三郎経久が目覚めたのは奥深い森林の中であった。しかし、草木の様相は彼の故郷、東の果ての島国の蒸し暑い気候に適応した密林と比べると、明らかにユーラシア大陸の西の果てのものに近い植生であった。


 …当然彼の知ったことではないが。



「なんじゃ、なんじゃ、どうなっておる?」 起き上がった矢三郎は違和感に気づく。


(何故 俺は甲冑を着ておる…?昨晩は浴びるほど酒を呑み、着の身のまま寝付いたはずだが…?)


 彼は腰に慣れ親しんだ重さを感じ取る。


(太刀を()いておるのか?…む、弓もあるではないか)


「矢四郎!コオロギ!誰ぞ居らぬか!」怒鳴ってはみたものの、返事はない。


 ーーーーーー


 …… 一体どうなっておるのだ。


 俺の所領にはこのような妙な森は無いし、二十余年生きてきてこのような妙な森に入ったことは一度たりともない。


 とりあえず弓を持ち、近くで水音(みなおと)を発している川を探すことにした。


 喉が渇いたし、川へ行けば魚なり鹿なりを捕って空腹を満たせるだろう。運良く旅人に出くわせば身ぐるみを剥いで殺してしまおう。何にせよ川にさえ行きつけば、数日はやっていけるだろう。


 …なんなんだこの変なところは。



 ーーー 彼は植物・鳥の声・獣の息遣いなどから本能的にこの森が、この世界が、勝手知ったる場所ではないと感じていた。


 ガサガサガサ…




 何かがいる。ぷぎゃぷぎゃと言うような声を発する複数のなにかだ。


 なんか声がうざったいのでおおかたあそこだろうと言うところに矢を射掛けてやった。


「ぷぎゃぎゃぎゃぎやあっ!」


 と、一際耳障りな金切り声とのたうち回る音の後に 他の奴が逃げていく足音が聞こえた。


 何を仕留めたのか?気になったので変なかたちの葉っぱをかき分けて近づいてみる。


 そこに脳天を射抜かれて転がっていたのは、ハゲ散らかした薄緑色の肌のふんどし一丁のトンガリ耳の変なやつだった。


 ーーーーーーー


「…なんじゃこれは」


 射殺した薄緑ハゲの頭を踏みつけ、矢を抜きながら思わずそう呟く。


 ぶちゅんという音を立てて抜けた矢の矢じりをふと見ると、なんか、黒い汁がついていた。おそらく血だろう。黒いが。


 矢を回収して拭い、(えびら)(矢を収納して背中に背負う道具)に収めると、改めてじっくりと薄緑ハゲを観察する。


 目玉は薄青、皮膚はやはり薄緑、背丈は子供ほどに小さく、ふんどし一丁、なんか棍棒とか持っている。顔面は醜い。


(…鬼、か?)


 貴族の館を略奪した際に見た絵巻物にあった姿とそっくりである。赤いでっかいやつの周りを走っていたそれに似ている。俺の先祖は鬼退治をしたらしいが、ここに来たのだろうか。


 取り敢えず、鬼の皮は剥いで腰に吊るしておいた



鎌倉武士という存在の第三者の立場からの紹介は前話で終わったので、ここからは矢三郎本人が物語を語ります。


矢三郎が討ち取った薄緑ハゲ小鬼はこんなやつです。見た目が完全にアレですね。


挿絵(By みてみん)

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