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Rise of the Dark-Lord part 2

どうも読者の皆様、お久しぶりです!


投稿が滞って申し訳ありません。


この2週間ほどで身内を殺しまくった河内源氏の皆様の気持ちが少しわかった気がしました。(遠い目

 


「この俺が魔王とやらのツラを拝みに来たってェのに、邪魔だ」


 そう呟いたのは、倒れたオログの後方、広間の入口から現れた二メートルを超える巨漢だった。


 顔の左側に醜い傷が走り、左目が無く、鼻も欠け、そして頭蓋右側がごっそり吹き飛んだ凄まじく醜悪な顔の、巨大な若いオークだ。


挿絵(By みてみん)


 妙に侍のそれに似た鉄の篭手を着けた彼は魔王を一瞥すらせずに狡猾なハーフトロルをスパイク付きのブーツで踏みつけ、その背にめり込んだアルファのものと()()()()()()ものの、より攻撃的な形の棍棒を力任せに引き抜いて肩に担いだ。


 そして、アルファの目を品定めするように真っ直ぐ見据えるや否や、突如くわっと残った方の目を見開いた。


「…親父殿!?」


「グルクか!?」


 なんと、その薄緑肌のオークはアルファの息子の一人であった。


「生きておったか!」


「…親父ッ!まさか、あの大戦さの中、落ち延びておられたとはッ!」


 両者、大股にずんずんと歩み寄り、ずいと向かい合う。


 元々ズタズタに破壊し尽くされている顔を更に破顔し、父との再会に感激して途切れ途切れ言葉を紡ぐ醜悪な若オークと、二メートルを優に超す上背の息子を見上げ、笑う父、ゴブリンの魔王。 感動の再会(地獄絵図)であった。


「…俺があの程度で死ぬと思ったのかドラ息子め!

 鼻を落とされ、左目を潰され、頭の右側を魔法で吹き飛ばされ、…挙句の果てには首を落とされたお前が生きておる方が驚きだ!」


 父の遠回しな褒め言葉にグルクは醜悪な顔を更にくしゃりと歪ませた。笑顔のつもりのようである。


「ハン、親父殿の自慢の息子は首を落とされた程度で死なねぇさ

 …向かい傷は男の勲章よ!」


「男前になったな倅!」


 ガハハと笑う顔面圧力が鎌倉武士親子並みに高く、関係もそれにそこそこ近い (場合によっては突然殺し合いを始める鎌倉武士の親子より寧ろ絆は深いかもしれない) 魔族の親子であったが、アルファの顔が父親の顔から魔王のそれに戻る。


「…お前と再会出来て嬉しいのは山々だが、俺が会わねばならぬのは狩人族の族長。彼奴らに臣下の礼を取らせねば」


「親父、俺がその族長様だ」


「…何?」


「それァホントでさ、魔王様」


 む、とアルファが目をやった先に居たのはいつの間にやら現れた小柄な狩人族の狩人たちだ。


 皆が獣やヒトの皮膚の装具で体を覆っている。


 そう、アルファの記憶に在る狩人族は牙と爪を信仰の対象にし、族長から兵卒至るまで皆全てがこの武装だ。金属の篭手を着けたグルクとは全く違う。


 魔狼の血が入っているのであろう毛深い狩人の一人が、怪訝な顔をしているアルファに畏まって頭を下げながら説明を始めた。


「ある日 突然お頭が手下の姉御と旦那らを連れてやって来やして、前のお頭の頭を握り潰してぶち殺し、新しいお頭になっちまったんでさ」


 次のセリフを平均的な風体の狩人族の男が引き継ぐ。


「そっからはもう、切った潰したの大暴れ!クソドワーフとの戦も連戦連勝!」


 山に潜み、素早く移動する必要のある狩人族のオークはあまり大柄ではない。

 その体格は、オークたちの原種たるエルフと同等に蓄えた魔力を全て肉体強化に回している健康優良種族としては小柄な部類の、丁度中世日本の農民と同じぐらいだ。


 そんな彼らの前にある日突然現れた醜悪な傷顔(スカーフェイス)の巨大な若きグルク王子は、さながら鎮西に出現した十三歳の源八郎為朝の如き衝撃であった。(父であるアルファにも若干持て余されていたあたりも為朝と被る)


 …まあ流石にワケわからん弓使ったりする為朝公と比べれば魔王アルファの息子グルクの人外度は(そもそもオークは人間ではなく魔族なのだがそれでも) 格段に下がる。


 しかし、ドワーフに押されて弱りきっていたオークたちの目にはその若き巨漢の豪放さと豪腕は鎮西における為朝公が如く鮮烈に写ったのだ。


 そんなカリスマ性とバイオレンスで有無を言わさず狩人族の族長に成り上がったアルファの息子は、しっかり実績も挙げていた。


「あ、そうだ 親父殿、忘れてたけどこれ手土産だ。青の山脈のドワーフの族長、めぼしいの全部殺してきたぜ! 死体丸ごと持ってきたかったんだが、難しかった


 左から赤鋼公フンディン、 鋼鉄門砦の灰染髭(アッシュビアード)、西の館のフロールだ」


「…」


 ひょいと事も無げにグルクが掲げた生首に、年の功で表情には出さないものの驚くアルファと、


「…おいおい大物ばっかじゃねーか 俺でも知ってる連中だぞ」


「さすが魔王様の子…魔王子はパネェな」


「上手いことやれば青の山脈丸ごとドワーフから奪えるじゃねーか?」


  …などと役目を忘れてざわつき出し、魔王の副官に一喝される魔王城の衛兵たちである。


 事実 この後 ドワーフの一大拠点であった青の山脈ではこの三人の傑物の死に付け込み、オークが急速に台頭する。


 …また、全く関係ないように見えるこの変化が鎌倉武士とその武士団にも大きな影響をもたらすのだが、それはまだ、誰も知らない。


「あと親父、手土産に手下に人間のオンナ調達させてるぜ」


「ほう…楽しみだ 北人の女はパスだがな」


「手下が上手くやるさ つーかコイツら親父が魔王ってこと知ってやがったのかよ」


 …などと、矢三郎が暫く前に壊滅させた女ハント分隊の話題も出ながら雑談を続けていた時であった。



「お父様、お久しゅう御座います」



 …聞き覚えしかないその声に、また問題児が増えたと歳を重ねた狡猾なゴブリンは心の中で呟いた。


今回わかった・起きた重要なこと


・ゴブリン魔王に為朝っぽい経歴と体格の息子がいた。


・ドワーフのボス×3 が首を取られた。矢三郎に何が関わる…らしい?


・矢三郎が武士団を設立したら、ライバルも魔王軍結成していて負けていない。


…幕間の言う形で世界観を深めてみました。


次回より新章突入です!

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