第二十三・五話 とある鉄板階級冒険者のぼやきと矢三郎の死の手紙
前回までのあらすじ
剣と魔法の異世界に転移した鎌倉武士、矢三郎。 何だかんだで冒険者になり、オーク狩りを成功させた。そして村に滞在する矢三郎、パーティリーダーのアゼルハートに手紙を持たせ、地方都市ヤークまでパシリにした。
矢三郎には白石家を異世界で起こす為に何らかのビジョンがあるようで…?
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これも読者の皆様のおかげです!
以前、書籍化の目安は20,000ptと聞いたことがあるので、これからもそこを目指して頑張っていきます。
今後とも、「鎌倉武士は異世界へ」を宜しく御願い致します!
かぁ〜〜〜ッ 痛ェ!痛ッてえよぉ!!!!!だァろッこん畜しょッ!
ああ!? ンだゴラァ!
…何だよ、オメーかよ! 他の野郎だったらぶん殴ってスッキリしようと思ったのによ…
…応、痛えってのはな!あの野郎の棍棒でぎっくり腰が再発して歯ァ折られて口ン中が炎症起こしやがってよ!酒飲む度にシミやがる!さもしい収入じゃ山夷の安モン回復液すら買えやしね …あ?まぁ〜た あの野郎の話が聞きてェのか!?
…何ィ!?パーティに入れてもらう!?
このクソ馬鹿ヤロー! 前 シライシヤサブローに関わるンだけは絶対辞めとけって言っただろッ!オメーのことを思って言ってんだぜ!?
…確かに強ええぞ?けどな、アレは人の心を持ってねぇ、狼みてぇな男だ! 敵に回すのは怖いが、近づくのも怖い。近づかないことに限る!
しっかし、アゼルハートの野郎はどこであんなモン拾ってきたのや…ら?
噂をすればアゼルハートのビビりじゃねーか。…ゲッ!てこたぁ、シライシヤサブローも一緒か!? おい!何してんだ、逃げるぞ!
…あ?なんだ、今はいねーのかよ、ビビらせやがって! …手紙ィ?アゼルハート、そりゃあの野ろ…お人からか? 俺たち全員に? な、なんだそりゃ! 俺たちゃあの人のこと怒らせるようなことしてねぇぞ!?銀板階級にゃ逆らわねぇ! と、とにかくでっかい声でソレ読み上げろ!ここで駄べってるクソ野郎ども全員に聞こえるようにな!
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者ども、これはこの俺、日向太郎様が後裔 白石荒人征久が子、白石隼人種久が嫡男、白石矢三郎経久が貴様らに言を伝えるべく、えるふの歩き巫女に代筆させておるものである。 今の我らはオーク狩りを成し、近くの村に居る。すると、むらおさと領主めらが感心なことに進んで我らを館に招き、宴すつもりであるというではないか。
さて、この白石矢三郎、気前の良い男だ。その宴にお主ら ぎるどに属するぼうけんしゃ百五十余名を呼ばうてやる。
タダ酒・タダ飯を逃す手はなかろう。我がパーティ長殿に従いこちらへ参れ。
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…ほほう、いいじゃねえか!百五十人全員に奢るってか!? 豪気だな!あの人もなかなか気前がいいじゃねぇか…
何?続きがあるのか?早く読めこのビビり野郎!
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来ない奴は斬る。或いは射る。或いは叩っ殺す。何れにせよ、殺す。
この白石矢三郎がわざわざお主らを饗すというに、来ぬような愚か者は居るまいな?それでは我が面目が立たぬ。ひいては白石家全体のメンツの問題ともなる。故に殺す。
百五十名、一人も欠けることなく参れ。さもなくば殺す。
そしてパーティ長ども、お主らは例え己が来ようとも部下一人でも欠けておれば殺す。部下の管理も出来ぬ者を白石は求めておらぬ。殺す。
ぎるどますたぁ殿より貴様らの名と風体を記した紙を譲り受けておる故、来なんだ者はすぐに分かる。
その者らはこの俺、矢三郎経久が やーくの国府へ戻った折り、直々に殺しに参る故、首を洗って待っておれ。殺して捕った首どもは高名なる白石一族の新たな本拠となるであろう、「我が邸」の門に吊るしてやる故、首の処遇は心配するな。
ぎるどの冒険者どもへ
白石隼人種久が子、白石矢三郎経久
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こ、こいつぁ…! じょ、冗談じゃねーぞ!
おい、ポーリー!ウチのパーティメンバー全員集めろ!この樽っ腹!デブ!さっさと行け!走れ!
ハラルディ!しっかりしろ!戻ってこい! 魂消てる場合じゃねーぞッ! お、生き返ったか。で?お前のパーティはどうなってやがる?俺ら皆 連帯責任で殺されちまうんだぞ!?次は棍棒なんて生優しいもんじゃねえ… あの腰に吊るしたでっけー曲刀でぶち殺されちまうぞ!さっさと連れてこい!走れ!
サバス!アリスト!ボルゾフ!アルバート!ヘルヴィル!お前らのパーティは揃ったか?よし!流石は鉄板階級パーティーだ!今仕事に出てるパーティーは分かるか!? 『赤角』と『赤長靴』だけか!
よしっ!俺たちゃマジ唯一神様の加護を受けてるぜ!正教の祝日が被っててホンットマジで良かった!俺ら正教徒は仕事出来ねぇからな!今度マジでちゃんと礼拝に行かねぇとな…
『赤手袋』!『赤篭手』!お前らは冒険者通りの宿で寝てる奴らぶん殴って二十分以内に全員西門に集めろ!『シライシヤサブローに殺されたくなきゃ来い』って言えば全員来る!
ビビリアゼル!あの人はいつまでに来いって仰ってた? 今夜…!?
う、嘘だろッ!…いや、強行軍で行きゃあ何とかなる!…かもしれん!ならなきゃ死だ!
よーし、テメーら!その汚ェ心臓はシライシヤサブロー様にガッツリ握られてやがる!握り潰されたくねぇ奴ァ 付いてこい!
このビビリ野郎、お前が先導しろ! 行くぜッ!
テメーら!ギルドマスターにバレねーうちにトンズラするぜ! 仕事もすっぽかせ!信用より命だッ!
…おい、お前もだぞ!シライシヤサブローには関わるなと言ったが、こうなっちゃ仕方がねェ…
このウォルトフ様に任せとけ!
次話は本日中に投稿します