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プロローグ 異質なるもの


初投稿の小説ド素人では御座いますが、何卒暖かい目で読んでください。厳しい批評・暖かい感想を頂ければ幸いです。

 


 白銀の鎧に身を包んだ討伐軍は手入れされず荒れ果て、不気味な様相を醸し出す屋敷の門を潜った。彼らが派遣されたのは収めるはずの年貢を一月も滞らせたこのド僻地の農場主に大領主が激怒してのことである。



 白銀のバケツ頭、若きエリート剣士 アルベルトは不服だった。


「何でオレたちがこんなクソみてえなことやらされんだぁ!?

 …オレたちは領主様直属の正規兵だぞ!王都で血反吐吐くような訓練を積み、領主様に貸し出されてる高給取りのエリート兵士!

 …こんな仕事、農兵にでもやらせときゃいいんだ!」



 止めどめもなく垂れ流されるアルベルトのグチを切って三つ編みヒゲがはみ出すノルマンヘルムのベテラン隊長が口を開いた。



「…俺達が遣わされるぐらいヤバい山だってことよ」


「と?言いますと?…ったく庭草ぐらい刈れってんだよ」


 討伐兵たちは幾重もの門をようやく超えて 荒れ果てた中庭に到達した。ボーボーに伸びた庭草に足を取られたアルベルトは不満げだ。


 再び隊長が口を開く。


「…ここには領主様の九番目の娘君が嫁いでおられる。つまり、ここはかなり重要な場所だってことだ。


 ここで働いている者、ここに税を納めにくる農民も多い。しかし、その重要拠点から一ヶ月以上、年貢の遅れの謝罪どころか、定期連絡の一つもない。

…これはあくまで噂だが、こちらから送った使いは1人も戻っていないとか」


「賊でしょうか?」


 ビコックヘルムの兵士が聞いた。


「その程度だったらいいんだがな…」


 歴戦の分隊長らしからぬ不安げな台詞だった。


 …否、歴戦故に屋敷に潜む異質な存在に気づいたのかもしれない。


「…ぶ、不気味に思えてきました」


「モンスターですかね?魔族とか…」


 隊長の発した僅かな不安が次々に隊員に伝達し、白銀の集団はにわかにザワつき出した。


 バケツ頭のアルベルトが皆を元気づけようと、明るい調子で喋り出した。


「し、心配するなって、ほら、的に矢が刺さってる。最近の矢だよ。バケモンが弓の鍛錬をするはずが……あ!?」


「うっ、うわあああああ!!!!!!」


 皆を安心させようと鍛錬場に近づいたアルベルトが絶叫し、腰を抜かした。


「何を騒いで…? ヒッ…!げえっ…なんなんだこの屋敷!うっ…」


 近づいた別の兵士はアーメットヘルムの中で嘔吐した。


 その様を見た兵士たちがぞろぞろと鍛錬場に近づき、「その先にあるもの」を次々に見るなり慄いた。


「な、生首が放置されてる…!」


「なんで首なんか置いてんだ!イかれてる!」


 訓練された兵士と言えども、腐乱した生首が連なっている「この世界では」異様な様に動揺を隠せない。


 ーーーーーー その動揺の声が、屋敷の中にいるものを呼び出した。


 軋んだ音を立てながら、ゆっくりと屋敷の大きな扉が開いた。討伐隊の注目が否が応にも集まる。



 

()()()に如何なる用か?」




 討伐隊に理解できない言語でそう発した、隊長の感じ取った「異質」な何かが、この世界にはない様式の鎧の擦れる音と共に、ゆっくりと彼らの眼前に姿を現した。

プロローグだけはホラー風味ですが、以降は明るい感じで行きます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] いいですね。ワクワクする始まり。こういうのを待ってました。
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