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40話 「目は光るものらしい」

襲撃者が去るのを見届け、馬車の方を確認するうーちゃん。

戦闘開始から1分もたっていないが、すでに馬車が点に見えるほどの距離へ進んでいた。



馬車では襲撃者がさったことに気付いたバクスが手綱をひき速度を緩めていた。

とすっと軽い音がなり音の方にバクスが振り向くと、そこには何時の間に戻ったのかうーちゃんの姿があった。


「すまん、助かった」


バクスの言葉にうっと鳴き、馬車の中へと戻るうーちゃん。

その顔は元の可愛らしいものへと戻っている。ただ目だけは先ほどの名残なのか、赤い燐光を発したままだ。


「うーちゃん! おかえ……り? 何それ格好いい」


うーちゃんを出迎える八木と加賀の二人、目が光ったままのうーちゃんを見ると興味深げに抱き上げる。


「わっ、すごい! 光が尾をひいてる! ほらほら」


うっ(やめんかーいっ)


「すげーな、モ⚪ハ⚪のあれみたい」


うーちゃんを抱きかかえたまま楽しげにぐるぐると回す加賀。

そのままひょいと膝の上に乗せ頭をなでくりまわす。


「強いって分かったけど……無茶しちゃだめだよ?」


う(わーっとるわい)


少し心配かけたと思うところがあるのか、加賀に撫でられるがままのうーちゃん。

そのまましらばくして、落ち着いたところで八木がうーちゃんに話かける。


「そういやその目ってなんで光ってるん? さっきよりだいぶ光弱くはなってるけども」


うー(ぬ? しりたいか? ん? そうかそうか)


「あ、いやそこまで……あ、はいすごく知りたいです!」


一瞬目の光が強くなったのは気のせいだろうか。

八木の回答に満足げにうなずくうーちゃん。


うー(そこまでいうなら教えたろうじゃーないか)


加賀の膝の上でふんぞり返る上機嫌で話し始めるうーちゃん。

うーちゃんの説明によると。


目の光は魔力が漏れたものである。

魔力を持つものが行動を起こすとき、その前動作として自然と魔力が高まる。

高まった魔力は魔法を使うなり、自身を強化するなりに使用されるが、使わなかったり余ったりした場合はそのまま体を駆け巡り続ける。


そのときほんのわずかだが、体から魔力が漏れそれが赤い光となって見えるそうだ。

目はなぜか魔力が漏れやすいため、自然と目から光がでる……とのこと。


「ほへー」


「ってことは俺らもあんな感じで目が光る……? やべえわくわくしてきた」


うっ(ぬしら程度の魔力で光わけなかろう)


どうやら光って見えるのはよほど巨大な魔力を持ったものでなければ起こる事象ではないようだ。

それを聞いてあからさまにがっくりする二人。


確かによく考えればそうだ、そうでなければ街中のあちこちで街行く人の目が光りまくりになる。

初日にあったウォーボア、あいつですら別に目は光っていなかったのだから。


うー…(……まあ意識してだせば光るとはおもうがの)


その言葉にそろって顔をあげる二人。


うー(加賀、ちょっと手かしてみい)


「ん、ほいどうぞ」


差し出された手にそっと前足でふれるうーちゃん。途端、加賀のからだがビクリと震える。


「んっ、くぅ」


「ちょ、変な声出すなし……お? おぉおお?」


驚き声をあげる八木の目の前で、加賀の目から燐光があふれだす。

意識的に出しているからか、その光景はまるで炎が燃え盛るようである。


「こ、これ出てる? なんかでてる!?」


「なんかオーラ吹きそうな感じで光ってる」


光をみて大はしゃぎの二人、だがすぐにうーちゃんが前足を離し、光は止まってしまう。


「あ、あれ?」


うー(それ以上やったら魔力きれるでのー)


どうやら魔力が切れそうになっていたようだ。精霊魔法を何度か使用できる魔力がある加賀ですらもって10秒程度。どうやら意識的に魔力を放出するのはかなり燃費が悪いようである。


「じゃあじゃあ、俺は?」


うー(ぬしゃー魔力ほとんどないで光らんと……筋肉ならでるかもしれんの)


「やめてえええええ」



時刻は間もなく夕方、馬車の中では魔力切れの加賀と逃げ回り疲れた八木がすやすやと寝息を立てている。


「おい、起きろ……がっつり寝てるな、ったく」


起き上がり大きき伸びをする二人。

少しぼーっとしたままギルドカードを提示し門をくぐる。


「またお出かけするの楽しみにしてるわねえ」


そう言うアンジェに別れを告げ家路につく3人1匹。

中半まで差し掛かったところで八木がそういえば、とバクスに声をかける。


「昼間おそってきたのって何だったんです?」


「……野盗だろうな」


八木の問いに顎を手で触れながら答えるバクス。

八木のほうを振り返りつつ言葉を続ける。


「うちの馬車立派だったろう? あれはダンジョン産でな、なかなか手に入るもんじゃない」



だから目をつけられたんだろうさ、と話し歩を進めるバクス。


その言葉に八木は何かと具体的には言えないは何となく引っかかりを覚える。

だがそれ以上考えても特に何も思いつかなかったのか、バクスの後を追って八木も再び歩き出す。


その後何事もなくバクス亭へと到着する一行。

夕食をとり、明日の予定を話した後それぞれ就寝についた。


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