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33話 「港町にいこう」

翌朝、窓から差し込む光の眩しさに八木の意識は覚醒する。

先日十分昼寝したからだろう、二度寝することなく身を起こすと大きく伸びをする。


良い匂いと音にさそわれ部屋をでるとバクスがすでに朝食を作り終えるところであった。


「おはようございまっす。バクスさん早いっすね」


「おう、おはようさん。まあ慣れだな、慣れ。早く起きようと思ってれば自然と目が覚める」


バクスに挨拶しつつ皿を棚から取り出す八木、テーブルに皿を置いたところで加賀がまだ起きてきていない事に気が付いたようだ。


「あっれ、まだ加賀のやつ寝てるのか」


「ああ、すまんが起こしてきてくれんか? もう飯になるし」


「了解でっす」


軽い返事をして加賀の部屋と向かう八木。ノックをするとほぼ同時に戸をガチャリとあけ中にはいる。


「おーい、加賀~飯だぞー? かっ……」


「ゔ~……」


八木の声に寝返りしつつ、うるさそうにうなる加賀。

そんな加賀をみて八木は思わず固まってしまうことになる。

正確には加賀、ではなく加賀の頭の下だが。


加賀の頭の下にあったのが枕ではなく、白いふわふわした物体、ようはうーちゃんであった。


「加賀ー! まくら!まくらあああああ!」


「んあ? なんだよ八木…まくらがどうし…ほぁあああああ!?」


「なんだ? どうした?」


八木と加賀の声にすぐさまかけつけるバクス、その視線の先では加賀がおそるおそると言ったようすでうーちゃんをゆすっていた。


「ど、どどどどうしよう!? うーちゃん? お、おきて……」


う?(んお? もう朝?)


加賀にまくらにされつつも寝ていたらしいうーちゃん。その無事な様子に八木はほっと胸をなでおろし、加賀は力が抜けたようにべっどに座り込むのであった。




「あー、ほんとびっくりした……うーちゃん、もう頭の下に潜り込んだりしちゃダメだよ?」


うー……(おぬしが寝てるわしをひっつかんでまくらにしたんじゃろがっ、わたしのせいにするでないわー)


「まじ?」


うっ(まじ)


それを聞いてそっとリンゴをさしだす加賀であった。



「じゃあ、飯食い終わったところで早速だが出発するぞ。今から出れば夕方には恐らくつくだろう、荷物は昨日のうちにまとめておいたな?」


朝食を終え、後片付けを終わったところで早速出発するようである。

3人と一匹は荷物を持つと家を後にし、アンジェを迎えにガレージへと向かった。



「でけえええええ!?」


案の定そうそう以上に大きいアンジェの姿に八木が驚きの声をあげる。

一方のアンジェは特に期した様子もなく、二日連続で出かけれることで上機嫌そうだ。


「あら、はじめまして? ふふ、二日連続で出かけれるなんて嬉しいわあ」


「しゃ、しゃべ…っむぐご」


ガチンと歯がかみ合う音がする。下から突き上げられた手が八木のあごを押し上げたのだ。

アンジェがしゃべった事に驚き声をあげそうになる八木だが、とっさに加賀が口を押さえにはいったようだ。


「八木だめだめ、アンジェの声わかるのボクたちだけなんだから。神の落とし子ってばれるか……あれな人って思われちゃう」


「……おう、ありがとよ」


舌でもかんだのか顔をしかめつつ礼をいう八木。少し落ち着いたのか改めてアンジェをみて感嘆の声をあげる。


「ほんと立派な馬だなあ、大きいって聞いてたからばん馬みたいの考えてたけど……その比じゃねえな」


「そうだろう? それに大きいだけじゃないぞ、当然力も体力も普通の馬とはくらべものにならん。何せ普通なら二日かける道のりを一日で行けるからな」


八木とバクスが話し込む間にも加賀とうーちゃんは荷物を積み込んでいく。

とは言え行き帰りで二泊三日の行程だ。3人の荷物をつむのにさほど時間はかからない、程なく準備がととのったようだ。


「すまんな加賀、荷物積み込んでてくれたのか」


「いえいえー、大した量じゃないですしー。そろそろ行きます?」


「うむ……ああ、そううだ御者台には俺がたつから、二人は中に入っててくれ」


そうバクスから申し出があったが、ずっとバクスが御者台にたつのは大変だろうと八木と加賀も途中で交代することを申し出る。

だが、バクスはまずないだろうがと前置きをし、道中何かに襲われる可能性もある、とっさに対応できる俺が御者台にいたほうが良いと断る。


二人はそういう理由なら、とバクスの申し出を受けることにした。


まだ日が昇って間もない早朝、1台の馬車が街の門をくぐっていく。

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