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260話 「見つけたあと」

宿に帰った翌日の夕方、一行はさっそくどの料理を対象にするか選ぶべく、宿の皆に食べたい料理は何かを聞き始める。


「ねーねー。何か食べたい料理ってなーい?」


「おう? そうだなあ……カレーかな。何、作ってくれるの?」


まずは手近にいたヒューゴから尋ねる加賀であるが、ヒューゴはてっきりリクエストしたのを作ってくれるのかと表情を輝かせるが、加賀無情にも首を横に振る。


「んにゃ聞いただけよー。カレーね、ありがとー」


「なんだ……」


がっくりと肩を落とすヒューゴに礼を言い次の者へと向かう加賀。

まだ夕飯までに時間はあるが今日は探索者達の帰りが少し早い、恐らく全員から希望を聞き出す事は出来るだろう。


「何か食べたいものなーい?」


続いて声を掛けたのは風呂上がりの一杯を楽しんでいたギュネイを始めとした男3人である。

加賀の食べたいものはないかという質問に顔を見合わせる3人。


「食いたいねえ……まあカレーかな」


「お前さん、カレー好きだのお……わしもカレーで」


「二人とも結局カレーじゃないですか……私ですか? 勿論カレーですよ」


結局3人ともカレーを所望するのであった。

またカレーかと内心思いつつもきっちりメモは取る加賀。

次の人に聞くべく宿の中をうろうろするのであった。


「カレーっす!」


「カレーに決まっているでしょう?」


そしてほぼ全員に聞き終わった頃にはメモはカレーの文字で埋め尽くされていたのである。

加賀と同じく食べたいものを聞きまわっていたアイネと合流し、お互いのメモを見せ合う二人。


「皆カレーになってた」


「……うん? ええと、こっちも似たような物ね。一応パフェが食べたいという意見はあったけど」


加賀の言っている事が一瞬理解できなかったアイネは首を傾げ、そしてメモがカレーで埋まっているのを見てああと納得する。

当然ながらアイネのメモもほとんどカレーで埋まっている。


「1つはカレーに決定として、残りはカレー以外だとどれが良いか聞くしかないね」


「そだねえ。もっかい聞きに行かないとだー」


種は全部で5つある。

まさか全てカレーにするわけにもいかないだろう。

二人は新たなメモ紙を手に再び探索者達のもとを訪ねるのだった。



「手間が掛かる物が多いかなと思ったけど……ビーフシチュー以外はそうでもないね。あ、でも大福は餡子が作るの大変か」


加賀の予想としては手間暇が掛り、めったに作らないものが希望としてあがると思ったが、全てがそうという訳ではなかったらしい。


「滅多に食べられない物と単に好きな物って感じかな……大福は滅多に食べられないし、好きな人は本当に好きだからね」


「それじゃ、この中から選んで料理作って森にいかないとだ」


手間が掛かるのはビーフシチューと大福程度で残りはサンドイッチなど簡単なものが多かったりする。


「牛肉と骨のストック足らないかも……」


「あらま、豆も買わないとかな。ギルドで依頼しないとだねー」


普段作らないが故にストックもなかったらしい。

像に完成した料理を持っていくのは暫く先になりそうだ。

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