柳生到着
柳生へ行くことになったが、正直な所柳生には行きたくない。
昔、宗厳の稽古が厳しすぎて俺は逃げ出しているからだ、今更世話になろうというのは虫がよすぎる。
俺が憂鬱な気持ちで柳生へ向かっているのだが……
「ユタ‼何でお前もいるんだ‼」
「だってもう魔法使えないから、今度は頭と剣で高虎の役に立とうと思ったんだけど……ダメだった?」
「いや、ダメという訳ではないが……」
「じゃあ、決定ね。」
……ユタはこんな奴だったか?
昔はもっとクールで、俺に対する態度も今より冷たかった気がする、一体どうしたのだろうか。
まぁ、今の方がかわいいし、このままでいいんだけどな。
そんなことを考えながら歩く事2日、柳生の宗厳の館についてしまった……
今すぐ長浜に戻りたいが、道満を倒すためにはそれは出来ない。
「はぁ……」
ため息をしながら、門を開いて入った。
宗厳は柳生の領主だった頃から護衛をつけていなかったが、隠居したとはいえ、館に門番さえ置かないのには驚いた。
「ん?お前、高虎か?」
ゲッ……この声は……
「綺麗な女も連れていい身分になったな。」
「えぇ……まぁ一応は……」
「で、今更何しに来た?」
道満の事を話したらきっと納得してくれるだろう、俺は全て話した。
「それで来たと、貴様のような奴に教えることはない!出ていけ‼」
はぁ……宗厳はかなり頑固で、プライドが高い、俺が逃げた事をまだ根に持ってるに違いない。
今日は大人しく帰ろう、明日また来ればいい、三顧の礼を尽くせばこの頑固ジジイもいつかは折れるだろう。
そう考えて、ユタと一緒に宿に戻った。
だがあの頑固ジジイは俺の予想を越える頑固ジジイだった。
最初に断られてから1ヶ月、ユタは受け入れてくれたが、俺はまだダメらしい。
ユタを受け入れてくれだけましだが、このままじゃ何も進展しないだろう、もはや無理矢理乗り込むしかない、宗厳に返り討ちにされるだろうが、これしか手はないだろう。
何より宿代で金がそろそろ尽きる、飢え死には御免だ。