柳生へ
目の前に光秀の首が落ちた、それに驚き、思わず後ろに下がってしまった。
音に気づいた道満が、
「誰だ‼」
と言うと同時に小刀を投げてきた。
「くっ……藤堂高虎だ。」
「お主、魔法が使えるな?少し遊ぼうや。」
凄い威圧感だ、俺は知ってる、こんな感じがする敵には勝てないと、かつて武術を教えてくれた先生にも同じような威圧感があった、そして俺は先生に一度も勝てた事がない。
だがずっと探していた奴が目の前にいる、道満を倒せば魔晶石を使う奴はいなくなる。
そしたら半兵衛のような人はいなくなるはずだ。
半兵衛は自分の志が途中で終わってしまうのを凄く悲しんでいた、魔晶石を使った自分を恨んでいた、そんな人はもう生まれないでほしい。
俺の為にも、半兵衛の為にもここは退けない。
「大地を穿つ大蛇」
官兵衛から教えて貰った極大魔法を使った。
道満はどうなっている?これで終わっていればいいのだが……
「ククク……そんなものか小童‼」
「ガッ……」
道満の刀が俺の背中を斬った、凄い速さと威力だが、道満が魔法を使った気配は無い。
これが素の力なら道満は強すぎる、官兵衛なんて比にならないくらいに……
道満が刀の柄に手をかけた。
まずい、殺される。
その時周囲の草が凄い勢いで燃え始めた。
そしてその炎が竜の形をして道満を直撃した。
「ちっ……他にもおったか、小童、運がいいのう。」
そう言って道満は消えた。
「おい!高虎、凄い血だが大丈夫か?とりあえず本陣に戻るぞ。」
助けてくれたのは清正だった、そこから俺は記憶がない、ずっと寝たきりだったようだ。
俺が目を開けた時にいたのは長浜城だった。
聞くところによると、坂本城や亀山城などの明智軍の城を占拠して戦は終わったらしい。
俺には今回の戦いで3000石が加増されていた、これで合計6000石、1万石から大名となるため、大名まであと少しだ。
清正、正則、三成、吉継は、秀吉や官兵衛と共に清洲に行ったとユタが教えてくれた。
俺はその間に落ちた体力等を元に戻すと同時に、もう一度武術を習うことにした。
道満と戦い、魔法ばかりに頼るのはいけないと気付かされたからだ。
先生は昔と一緒で、今では天下無双と言われている柳生宗厳だ。
俺は柳生宗厳がいる、大和国柳生へと向かった。