表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国魔法記―藤堂高虎  作者: 可月フミヤ
1/32

高虎の初陣

 敵の軍勢と戦うこと数時間、やっとのことで敵の陣を崩し、混乱した戦場を馬で駆けていた。


輿に乗って指揮をとっている敵将が俺の目に入った。


「あれが敵将だ打ち取れ。」


俺がそう言うと味方の兵数十人がその敵将向かって走り、なんとか敵将を打ち取った。


しかし、確かに味方の兵の刀が敵将を貫いているが嫌な感じがしたので、一旦引き返そうとした、その時だった。


敵将の姿が消えてしまったのだ。それと同時に遠くから、


「高虎、残念だったな、俺を打ち取ったと思っただろう。だがあれは、俺の魔法、幻の錬金術ハルシオンアルキミーで作った幻だ。」


という声が聞こえた、敵将の声だった。敵将は続けて、


「お前達は我が軍に包囲されている。おとなしく降伏しろ。」

と言ってきた、降伏はしない、俺も魔法は使えるが、敵の陣を崩すのに使い過ぎたせいで今は使えない。


必死に活路を見出だそうとすると同時に昔の事が頭に浮かんできた。




 俺は近江国の落ちぶれた土豪、藤堂家に生まれた。


成長するにつれ、もう一度かつての勢力を取り戻し、あわよくば更に勢力を拡大し、大名になるのが夢になっていた。


だが落ちぶれた家なので、兵を大勢雇える程の金は無かったため、近江国を支配している浅井家で出世し、準備をする事にした。


出世するチャンスが訪れたのは1570年、近江国で起きた姉川の戦いだった。


勢力をどんどん大きくしていた織田信長が近江国の大名浅井長政を攻めたのだ、俺はこの戦に浅井軍の1人として参戦した。


俺は武術には自信があり、今回の戦で一気に出世するつもりで突撃の合図がだされるとすぐに突撃した。


たが織田軍の鉄砲によって味方が次々と倒れていった、なんとか弾丸を掻い潜り敵陣に着くと、とてつもない数の織田軍の兵がこちらに向かってきた、


「かかれ!」


味方の部隊長がそう指示をだしたので鉄砲の犠牲になっていない浅井軍の兵は織田軍に向かって突撃した。


織田の兵が俺に槍を突いたが、俺はそれを払いのけ、敵を斬った。


他の味方の兵も敵を圧倒していた。


だんだん押されはじめていた織田軍が撤退していく時だった、


他の兵と比べ、少し立派な格好をしている敵を見つけた。


そいつを斬れば褒美が貰えるだろう、このチャンスを見逃してはいけないと俺は声を張り上げて、


「俺は藤堂高虎だ、お前の首、取らせてもらうぞ。」


「儂の首が取れると思ったか、若造が後悔させてやる。」


と言うと同時に相手が槍を突いてきた、


さっきの敵とは比べものにならない速さだった、


かろうじて避けたが次は避けきれず脇を擦った、


そこから血が出てくるが今はそんなことはどうでも良かった、


相手が槍を引くのと同時に前に出て間合いを詰める。


槍は相手との距離が近いと不利になる、対して俺の持っている刀は距離が近い方が戦い易い。


相手が少し怯んだ隙を俺は見逃さなかった、刀を思い切って振り落とすと相手は倒れた。


だが暫くして信じられない命令が出された。


「全軍、城まで撤退せよ。」


というものだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ