[恋狂い]のルミエール
2000年前、とある国の王女が神に恋をした。
美しく賢いその王女は民に対して良き王女であった。
だが対する神は戦場を滅ぼす戦神セレス。
イスタリアがかつて存在したチキュウのとある英霊の魂を元に産み出した刀を扱う神。
その性格は苛烈にして静か、彼の刀によって滅ぼされる幾多の国々。
言わばイスタリアの息子達である神の中で[戦]の力を持つ神でありながら断罪の要素を持つ男神でもある。
女子供が出る時代でなかったが彼女は出会ってしまった。
王女は多くの武の才能を持ち魔の叡智を持っていた。
故に神に至る道を知っていた。
人から神に至る道を。
その力は本来全て民の為に使うはずだった。
だがその戦を司る暴虐さに惹かれたのだ。
「愛したから仕方ないよね」
神に至る道は二通りある。
善行を積み重ねて多くの偉業を成し遂げ英霊に至り神に選ばれる方法と。
そして自分が守り抜いた者を捧げ邪神に変わる方法と。
ルミエールは戦場に魅せられた。
人の命の儚さに魅せられた。
人を超える神に魅せられた。
故に国全てを捧げた。
だが…
彼女は神にならなかった。
彼女の狂った行動にあるダンジョンマスターの意志が彼女をダンジョンマスターに変えたのだ。
死ぬ直前の寿命あるダンジョンマスターは次代のダンジョンマスターに引き継ぐ。
神になろうとした彼女は神ではなく死ぬ直前のダンジョンマスターの意志を聞いてしまった。
恋に狂った王女と本来なら消滅するはずの残虐のダンジョンマスター。
彼女もまた自分の欲望を叶え続けたい者だった。
「恋に堕ちた王女なんて素晴らしい名前ね」
「お姉さまに会えたのは神になるよりも素晴らしいことよ」
白亜の城の玉座でルミエールは横に立つ赤いフードの女性に笑いかける。
「やあ、セレス君、久々だね」
「コジロウ殿」
いつの間にかそばにいる顔見知りの老人に声をかける。
「今はサリアス自由連盟では?」
「何気になってのう」
コジロウはニコニコと笑う。
「貴方は神出鬼没だからな、ルミエールのことか?」
「恋に焦がれてダンジョンマスターになるとか大概だからの、それに近くでどんぱちされるとこまるからのう、それに悪く思うてはないじゃろ?」
「だが彼女は」
「恋に狂えば誰もが悪ともなる、正当なものなど何もない」
「意外だな、貴方は咎めるとおもったが」
セレスは驚きながら目を向ける。
「力ある者も暴走するのもよくあるじゃろ、ましてやわしの知らぬ出来事はしらん、家族が無事ならばよいしのう」
コジロウはにやにやしてる。
「やれやれ、貴方は悪魔か」
「元々は人類の敵対者らしいからの、男子たるものいつまでも女子を待たせるものではないよ」
「了解した」
セレスはクスクス笑う。




