異世界転生してもラブレターには騙されるな!!
聞いてくれよみんな。俺とうとう六才になったんだぜ。
今日から、学校生活が始まる。そう、言わば入学式だ。
ピカピカのランドセルを背中に背負い校門をくぐる。あぁ、待ち望んでいたぜ、この日を。
っと、昨日までは思っていた。つまり、校門をくぐるのは確かだ。だが、ランドセルがなかった。
何を言ってるの? っとみんなは思うかもしれない。説明をすると、この世界はランドセルがない。いやあったんだ、二十年前までは。今のこの時代、ランドセルではなく、コンパクト型電子収納機器。通称『マスト』だ。
マストと言うのはリストバンドのようなものを手首につけるもので。マストにはボタンがいくつかある。その決まったボタンを押すと、教科書などの必要なものが出てくる仕組みである。
例えば、このボタンは教科書で、このボタンはノートで、というような感じだ。
昨日の夜・・・・・・・
「明日は入学式だね。母さん、俺のランドセル見せてよ」
「よしのちゃん? どこでランドセルなんて覚えたの?」
はい?
「え? 学校はランドセルを背負って通うものでしょ?」
そう言うと、母さんは少し笑いながら話を続けた。
「よしのちゃん、物知りね。二十年前まではランドセルをつかっていたのよ。でも、今のこの時代はこれよ。」
そう言い母さんは俺にマストを見せてきた。
マストの詳細は俺も昨日初めて知った。
この世界の文明は進んでいるのだなと昨日改めて感じたよ。
さてと、そろそろ学校のいく時間だな。
入学式が終わると自分のクラスを案内される。
1年3組。これが俺のクラスだ。入学式の日といえば恒例の自己紹介。
出席番号順に自己紹介をしていくらしい。自己紹介する人は黒板に自分の名前を書き、好きな食べ物などをアピールしている。
黒板はみんながよく知っているものと一緒だと思う。チョークで書き、黒板消しで消すあれだ。
てか、言っちゃ悪いがみんな字が汚くて読めない・・・・・・
おっと、俺の番だ。
なに事も始めがかんじんだからな。
俺は黒板に、『桜井吉野』っと漢字で書き、自己紹介を始めた。
「初めまして。桜井吉野です。好きな食べ物はお寿司で、スポーツはサッカー。好きな教科は理科で、嫌いな科目は数学です。これからよろしくお願いします」
そこで、一礼をしてから顔をあげた。みんなの顔を見るとたいそう驚いている。
え。なんで?
「さ、桜井君。漢字書けるの? それに得意科目が理科って・・・・・・」
と、担任の先生からのお言葉。
その日の帰り道。俺は今日のことを思い返していた。
あーあ。浮きまくりだったな今日の俺。
さすがに理科はまずかったか。英語にしとけばよかった。
そう思いながらとぼとぼと家へと一歩ずつ向かう。
別に小学一年生が漢字書こうが、得意科目が理科だろうが普通じゃね?
・・・・・・・・普通じゃないから驚かれたんだよな。
俺はマストのあるボタンを押しクラスの名簿を取り出した。今日のホームルームて担任が、みんなに配ったものだ。
クラスの総人数は三十六名。男子十五人で、女子が二十一人。
女子多!!
次の日。早速授業がこの日から始まった。
わーい、お昼寝の時間だ~。寝よう!
授業中先生が話しているのを全く聞かず俺は寝ることにした。
「じゃあー、ここを。桜井君」
え、はい? 黒板に視線を向けると、2+13と書かれていた。
あ、これを解けばいいのね。
「15ですね」
「はい、正解です」
おぉぉぉ! っと言う声が周りから上がった。
キーンコーンっと授業終了のチャイム。次の科目は理科。だけど、眠いからねる。
「えーとじゃあ。桜井君」
「zzzzzz」
「桜井君!」
「え? え、はい!」
また俺かよ!!
「ここの問題。なぜ火は燃えると思いますか?」
うわーお。小学一年生には難しいだろ。先生問題間違っていませんか?
まぁ、いいやと思いながら、なぜ火が燃えるのかについて答えることにした。
「え~と。空気中にあるO2・・・・・酸素によって火が燃えます。補足すると、火は酸素を必要とする代わりに、二酸化炭素を出します。以上です」
「せ、正解です。」
周りからまたしても、おぉぉぉぉ!!と言う言葉が聞こえてきた。
どーもどーも。どうでもいいけど、寝ちゃだめ?
あれか数ヶ月後。
聞いて聞いて~。おれラブレターーもらいました!二通も!!
まず、一通目から。
放課後、自分の下駄箱を覗いてみると、一通の手紙が入っていた。
ハートのシールで封をしてあり、桜井君へ、と書かれていた。
え、これは・・・・ラブレター!!
俺はその手紙の封を思いっきり開け、中の文章を読んだ。
えー、なになに、
『~はたしじょう~
きょうのほうかご、たいくかんうらにこい』
・・・・・・・ビリビリビリビリ! クシャクシャ、ポイ!
え~と二通目は。
休み時間、自分の机の中を見るとまたしても、一通の手紙が。
今度こそ!!と思い、封を開けると・・・・・・
『ラブレターとでもおもった? ばーか』
・・・・・・・・
俺、完全に嫌われてね?
結局、体育館裏には行かなかったし、二通のラブレター(偽)の犯人を突き止め、ボコボコにした。
先生には怒られ、親に電話され、意味分からん。
二通の手紙の犯人は同一人物で、同じクラスの男子だ、名前は長崎とか言っていた。
つまりだ、なぜこんな話をみんなにしたのかと言うとだな、ラブレターをもらっても騙されるなよってことだ。俺は騙されたけどな! うぅぅ、涙が・・・・・・・
ここ、こうすれば?とか、ここおかしいよとか。
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