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ドールガール  作者: stenn
7/18

デート

スイマセン。差し替え。やまとくんはまたいつか。

心の闇か広がりつつある映見君です。いいのか、それでorz

 こ、怖い。




 さて、私の両隣にはそれぞれ縁と映見くん。しっかりと手を繋がれ映画館。




 えっと、手を繋がなくても迷子にならないとーーとは言ったんだけど。縁には『迷子にならない方がおかしいだろう?』となぜか酷い言いようで言われ、映見くんに至っては『じゃ僕も』と便乗した。




 子供じゃないんだからーー。




 実はこの間放置して帰った映見君がむくれて、謝ったんだけど。まりちゃんの提案でーー最近からかわれている気がするーーデートをしてくれるなら、って事で許してもらえた。




 デートって……。ただの友達なんだけど。なぜか嬉々としてたなぁ。




 ともかく、その事がまたもやまりちゃん経由で縁の耳に入りーーほんと、ここまで来ると楽しんでるよね私の親友ーーこうなった。




 楽しく遊ぼ? ね? ね?




 と言いたかったけどそれも言わせてもらえない重苦しい雰囲気。胃が痛い……。




 助けてまりちゃん。いや、まりちゃんのせいなんじゃない? この状況。




 まりちゃん!!!




 なんかケタケタ笑っている顔が容易に思いつくんだけど……。




 取り敢えず半分怯えながら並んで指定された席につく。




「えっと、映見くんも意外にこういう映画見るんだ」




 ……ラブストーリー。




 子供の頃出会って、秘める恋をしたまま人生を過ごしていく。そんな話。私は好きじゃないんだけど縁なんかは『行く!!』って二つ返事だった。




 恋愛もの好きじゃないよね?




 にしても映見君が意外なんだけど。隣でアニメやってたけど? しかも深夜にやってそうな萌とでも言ったかな? そんなの。




「……え? こういうのがいいって聞いたけど?」


 


 もう誰発信か考えたくないな。




 不思議そうに顔を傾げる映見君。私の横で縁はぐっと私の腕を引き上げるとドヤ顔で映見君を見つめた。




「レンの好きな物は時代劇なんだよ」




「へぇ。後で謝ってもらわないと……」




 にこり。微笑むけど目が……目が。笑ってない。まりちゃん! 逃げないと。超逃げないと!!




 じわりと背中ににじむ汗。私はこの空気を振り切るようにしてパチンと手のひらを叩いた。




「あ、でもでも、縁はこの映画見たかったんだよね!! よかった、うん。よかった」




「……てめぇ」




 何故恨めしげに? そして今にも吹き出しそうな映見君。フルフルと肩が揺れている。




「まさかとは思うけどーー重ねたの?」




「ちっ!!!!」



 顔が真っ赤だけど、何を重ねたんだろ? まさか……。



 図星?



 私は校内にいる小学校から同じ学校の女子を思い浮かべた。一人。二人……。絞れる。絞れるよ! 縁。




 今日の映画だって参考にしたかったんだね!!




 そうと決まれば。




「私、アタックしてみるから! 頑張ろう!?」




 ラインのアドレスなら持ってるし。まりちゃんにも作戦を……。



「はぁ!?」




 顔を真っ赤にして抗議しようとする縁。大爆笑を堪える映見君。




 そんな中で事態の終わりを告げるように上映のブザーが鳴った。怒りの持って行き場後なくなってしまった縁は小さく呻きながら椅子に触り直している。




 不服装に尖らせた口元がしばらく開くことはなかった。






 予想外。




 予想外に感動した!!!




 酷い! 最後の最後で心が通ったと思えば女の人死んじゃうなんて!! うわーん!! なに? この心。持ってい場がないよぅ!




 おしゃれなカフェ。それに似合わず号泣する私と困ったように慰めているイケメン二人。




 でも、泣いている妹を慰めているようにしか見えないんだと思う。可愛い妹さんね。と数人の女性が私をダシにして声をかけてきたが、縁の『女無理スキル』と映見君の『アニオタスキル』で誰もここに留まることはない。



 皆顔を真っ青にして笑顔で帰っていく。




「そんなにに感動する映画だったかなぁ?」




 映見君が言うと縁は肩をすくめた。




 ……寝てたよね? 二人共。縁なんかは初めからふて寝してたよね? あんなに楽しみにしてたのに。




 ……いいもん。べつに。




「涙腺がゆるいんだろ? 昔からビービー泣くのが癖だし」




 だから……。となにか言いそうになったが慌てて口をつぐむと頭に手をおいた。




 ううっ。悔しい。子供扱い。私はギロリと縁を見つめた。




「子供じゃないもん」




「うっせー。ちびっ子は子供でいいんだよ」




 腹立つ!!!




「縁なんて失恋しちゃえ!」




「てめえ! 人の恋路を!!!」




 睨み合っていると冷気が入り込むのを感じて私は軋む首をむりやり回しながらその方向を見た。




 にこり。




「楽しそうだね?」




 なんなの? 



 相変わらず目が笑ってないんですけど!! 映見くん!!




 なんか、出会ってからドンドン闇が広がっているように見えるのは気のせいかな?




 さすがの縁も顔が引きつってる。




「落ち着け、落ち着けな?」




「落ち着いてるけど、なにか?」




 ……。




 涙も引っ込みます。




 映見君はちらりと時計に目を向け、席を立つ。




「あーーそろそろ『機械妖精』に間に合わないんで帰るね。あとは二人で楽しむといいよ」




 あまりにも楽しく(?)喋りすぎて疎外感でも感じたのかなぁ? まだ三時何だけどな。




 謎。機械妖精も謎だけと。




「どうしたのかな?」




 心配で私が呟くと縁は少し微妙な表情を浮かべていた。

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