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ドールガール  作者: stenn
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ちびっ子少女

もともと短編として考えていた話ですが、何となく連載に(*ノд`*)σ


 ーー君みたいな娘と付き合うと、俺が変態と思われるから勘弁。



 そうして、私の恋は終わった。ーーええ。知ってる、知ってましたとも。なんとなく世間からそう思われているだろうことは。大体身長は145センチ。胸はなく、ストンとした体型。これでも高校生(2年)なんだけど、駄菓子屋に行けば何年生? 偉いねぇといわれる始末。なにが?



 極めつけといえば、数年前に放送されたアニメだよね。神アニメだかなんだか知らないけど、ヒロインが私に似ているからって『その手』の人たちから異様に受ける……。なんかもう少ししたら『合法ロリ』なんて言われているんですが……身の危険を感じるばかり。



 おかげでネットも怖くてつけられない……。昔、コラをされてトラウマで……。 某チャンネルなんてもってのほか!



 ともかく、これでも毎日の体操(背を伸ばすため)と牛乳は欠かせないんだから!



 ふふ。いつか身長も胸も盛れるといいなぁ。



「レンは無理じゃね? ムリ。遅すぎるっしょ?」



 あ、ちなみに私の名前は恋。『五木(いつき) (れん)』なんだけど、呼んだのは隣に立っている少年だった。『吉岡(よしおか) (えにし)』隣に住んでいる幼馴染。付き合っているわけでもなんでもないんだけど、こうして毎日なぜか一緒に登校しているんだよね。まぁ、小中からの腐れ縁でこれが日常。なので、癖といえば癖。



 にしても、鼻をたらしてたクソガキがイケメンに育ったなぁとシミジミ思う。本人は気にしてもなさそうだけどさ。



 けど、なんで考えていることが分かったんだよぉ。



「……できるもん」



 私が睨むと縁は私を見下ろすように睨み返した。大きいから(私より)威圧感が……。



 ま、負けない!



「できねぇよ。大体お前いくつだよ? っうか、おばさんもそんな感じじゃねえか!」



 うぐ……! 痛いところを……。確かに、お母さんの身長も小さいよ。小さいけどお父さんは大きいよ? 大きいのよ。



 ええ……私よりは。



 縁は呆れたようにため息をつくと、軽く私の頭を叩いた。




 子供扱い禁止! 私はその手を軽く払う。その様子に彼は軽く喉を鳴らして見せた。



「諦めろ、認めろよなぁ。まじで」



 クソぉ。いつかぎゃふんっと……。そんなことを考えていると私達の前に一人の少年が立っていた。



 ええと、この間転校してきた『映見(えいみ) 信乃(しの)』君だっけ?



 柔らかそうな髪と色素が薄い肌。ハーフという噂だけどホントはわからない。



 縁はどこかチャラい感じだけど、こっちは優等生タイプのイケメン。彼は私を見てニコニコ微笑んでいる。



 にしても通学路こっちだったんだ。初めて見るけど。



「ーーいじめるの可哀想じゃない? おはよう五木さん」



 既に学校で王子的な扱いになっているのは間違いない人。実際呼ぼれてるしーー。私なんかが話すにはなんとなく雲の上の存在になってたので少し緊張してしまう。



 同じクラスなのに可笑しいんだけどね。



「おはよう。映見くん」



 笑いかけると、縁が不快そうに顔を歪め、私を守るようにして前に立った。



「王子サマはこちらが通学路ですかね? てか、王子様も変態の仲間?」



 変態って……私に声をかける男の人は変態って思ってるのかな? 確かにーー多いけどさ。でも、全て変態と思ってはいけないと思うの!



 私は慌てて縁を制するように袖を掴んでいた。ジト目が私を見据える。



 悪いことしてないし。負けないし!


「ちょっと! 縁。失礼だよ! しつれい。クラスメイトだし挨拶して当然でしょ?」



 そんなこと言ってたらクラスの男子と話せなくなるし。



「お前は、信じ過ぎなんだよ。イケメンだからってほだされんなよ! 俺だってーー」



 何かを言いかけて縁は我に返ったように目を開くと映見くんに目を向けた。



「ビービー泣くくせに黙ってろよ」



 それ、子供の頃の話! 私にも失礼だよ? このヒト!



 大体、そんなことないし!!



 ーーって! イタイイタイ! デコピンしないで! 痛いんだから!



 私は額を撫でながら講義の声を上げるが聞き耳は持たないようだ。ムカつく!!



 さらに。掌で頭を抑えられてる私。まるで漫画なんですけど……。



「で? 何か用? 変態の用事?」



 だから、失礼だってば!



 でも、そんなことを気にすることなく彼は王子スマイルを浮かべている、。特に気分を害したって言うこともなくて安心する。



「ふふ。僕が変態というなら吉岡くんもだよね?」



「はぁ?」



「だって、君、五木さんをーー」



 お?



 なんか空気が凍りついたような?



 おおっ! 



 素早い。気付くと縁は王子のーー映見君の口を押さえつけてる。



 こんな機敏な縁は久しぶりだなぁ。最近体育もサボり多いし。本人曰く『女が俺を放って置かないだろ』らしい。



 ……はは。イケメンだけど人見知りが過ぎて(女子限定)彼女も出来たことないのに。



 残念。


「てめぇ」



 グイグイ押していく縁をなんなく引っぺがして映見くんはにこりと私に視線を向けた。



 ……なんだか、見る人が見ればあれだなぁ。言わないけど。キラキラしてるよねぇ。



「見てれば分かるし。あ、五木さん。二人は付き合ってないんだよね? 仲がいいけど」



 自然な動き。映見君は私の隣に立った。うわぁ。肌荒れ一つないよ。綺麗だなぁ。睫毛長っ。



 本当に日本人じゃないみたい。



「あ、うん。家が隣で……兄弟みたいなものかなぁ? ね? 縁」



「お、おう」



 何が不服? そんな顔で縁は私を見ていた。映見君はふふっと上品に笑って私の手を取った。



「じゃあ、僕と付き合ってくれる?」



 ……へ?



 ……は?



 ……。



 ああ。そっか。理解するのにすごく時間がかかっちゃった。言葉が足りないよね。そんなのは誤解の元になると思うんだけどなぁ。大体私と接点が特にないのに付き合うとかないし。



 一目惚れ? ないな。ない。そう思う。



 ともかくどこに付き合えばいいんだろう?



「断る!」



 きっぱり言ったのは縁だね。私を映見君から引き剥がすと間に割って立つ。



 あれ? なんだか、殺気が。



 いやだな。多分交際ってわけじゃないし。……というか縁が何故怒るの?



「やっぱ変態じゃねぇか。ロリコンかよ? 付き合わねぇよな? な?」



 なんだか知らないけど、半ば強引に『うん』と言わせたそうだ。意味分からないし。私は小首を傾げた。



「いいですけど、どこに? 彼女さんへのプレゼントとか?」



 てか、何で私? 友達いないのかなぁ。確かに仲良さそうな男子も女子もいなさそうだよね。沢山囲まれてるけど。



 あ、彼女は想像で。いないわけ無いよねえ。うん。



 ……縁。何でドヤ顔?



「ふふ。面白いね、五木さんは……じゃ、それでいいよ。じゃあ今度デートしようね?」



 で。『じゃ』ってなに? そしてデートは語弊がある気が。からかってるんだよねぇ。多分。



「俺も行くからな」



「あ、じゃあ縁も好きな娘にプレゼントするといいよ、ほら、前言ってたよね? 好きな娘がいるって!」



 ……。



 ……。



 なぜジト目? ん? なぜ孤立感? 縁が前言ってたことをそのまま言ってるだけなのに。随分悩んでるようだったしついでに力になれば、と。



 ちがうの?



 何か変なこと言った? 映見君は面白そうに肩をゆらしてるし。ええ? 何故?



 なんだか知らないけどとても恥ずかしいんだけど。



「君、そんなこと言ってんの? そりゃ、無理だね。壊滅的」



「うるせー黙れ、変態王子」



 縁。半泣きなんですけど。ほんと大丈夫かなぁ?



「それじゃ、約束だね?」



 映見君は言うと鞄からスマホを取り出す。



「アドレス宜しくね。五木 恋さん」

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