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神藤家の退屈しない日常  作者: 三都花実
千尋の日常?編
5/33

大和深月という人

第5話です!


「千尋?」


 学校に行く途中声をかけられた。ふと振り向くと幼馴染の波宮樹(はみやいつき)がいる。五大家の一つの波宮家の跡継ぎだ。


「いっちゃん。おはよ。」

「いっちゃんはやめてくれって何回言ったらわかってくれるんだ」


 樹はため息混じりに言う。


「ごめんごめん。」


 千尋は微笑みながら言った。


「千尋。大和と婚約するっていう噂を聞いたんだが...」

「耳が早いねー。流石いっちゃん!でもね、まだ婚約してないよ。お見合いはすると思うけど。」


 千尋が何気なく言うと、樹は千尋を軽く睨む。


「千尋。お前、大和なんかとお見合いしたらどうなるかわかっているのか?」

「異信会は畳み掛けてくるだろうね。」


 千尋はつまらなさそうに言う。


「だったら!」

「いっちゃん。私はね、大和家と婚約するつもりはない。私は...狂いたくない(・・・・・・)。」


 千尋はぼそっと言う。これは千尋の本音だった。樹にもそれがわかったので、何も言わないことにしたのだった。




 大和深月。大和家本家跡継ぎであり、成績優秀で運動神経にも秀でている。彼は何もやらせてもそつなくこなす。しかもかなり見目が麗しい。そんな男がもてないわけがなかった。短い黒髪に整った顔立ちは千尋の目からも多分かっこいいと思えるのだ。


「なに?神藤。じいっと見ちゃって。俺の顔に何かついてる?」


 深月は千尋に見つめられて苦笑して言う。千尋はぶんぶんと首を横に振る。


「ごめんなさい。早くしなきゃ終わらないよね。」


 千尋はそう謝ると仕事にとりかかる。二人は担任に頼まれた仕事をやっていたのだ。


「別にどんだけでも見つめてくれていいけどね。神藤はとってもタイプだから。」


 深月が言った言葉を、千尋は一瞬理解できなかった。二人の間に沈黙が落ちる。


「...は?」


「神藤千尋は俺のどストライクって話だよ。君の丸い黒い瞳も、長くて黒い艶やかな髪もバランスのいい美しい顔立ちもどれも俺は好きだよ。」


 深月はそう言って固まっている千尋に顔を近づける。そして、千尋の手をとった。


「ね。神藤。結婚しよっか。」


 深月はとびっきりの笑みで言う。




 千尋は何言ってるんだこの男は。ばかなのか?という目で深月を見る。そして自分の手を自分の方向に引っ張って手を振り払おうとしたが、深月の力が強すぎてできなかった。


「冗談!じゃない!貴方、伝承を知らないの?」


「はははっ。知ってるよ。だけど君に惹かれて仕方ない。」


「そーゆー口説き文句は喜んでくれる人にした方がいいわ。」


 千尋は必死に抵抗しながら言う。二人の顔の距離はひっじょーに近かった。


「喜んでくれる人?」

「そう!例えば、貴方の従妹の詩織さんとか!」


「詩織?...あの子は駄目だ。」

「他にも誰だっているでしょうが!」


 千尋がそう言い放つと、深月はぱっ、と手を放した。千尋がほっと息をつくと、深月は千尋の左手を掴み、口づけをする。それから本当に手を放す。その間、ずっと深月は千尋を見ていた。千尋は手を振りかぶり...ぱんっ!といい音がした。


「私、貴方とは絶対結婚なんかしないから!」


 そう言うと、荷物を持って教室を出て行った。深月はふと、机に目を落とす。彼女の仕事は全部終わっていた。


「流石真面目だな。」


 そう言って微笑み、赤くなった頬をさすった。

第5話いかがだったでしょうか?

めっちゃ深月君がちゃらい人に

なってしまった...

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