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神藤家の退屈しない日常  作者: 三都花実
千尋の自覚編
23/33

千尋の考え

 正直こうやってうだうだ考えても結論は出ない気がする。ええい!ままよ!千尋はそう思い、ある場所へと向かう。





 いつも深月と会っていた図書室に千尋はいた。千尋は指を組んで深月を待つ。そこに呼び出した深月が来た。


「神藤。呼び出したりしてどうかしたの?」


「よく来てくれたわね。大和君。貴方に打ち明けたいことがあるの。」


 千尋が真っ直ぐに深月を見て言うと、深月は小首をかしげる。


「打ち明けたいこと?」

「ええ。...単刀直入に言います。不本意なんだけどね、非常に不本意なんだけどっ!私はどうやら貴方の事が気になるみたいなんです。」


 千尋が単刀直入にびしっと言うと、深月は一瞬きょとんとした。


「えーと、それはLoveな感じで?」

「それはまだ私にもわかりません。自慢じゃないけど私は今まで異性を好きになったことはない。だからこれがLoveなのかはわからないの。わかってくれる。」


 千尋が落ち着きなくふらふら歩きながら言うと、深月は肩を震わせて笑い出す。


「くっ。ふふっ。ははっ。そんな告白初めてされたな。」

「ちょっと!まだLoveかどうかわかんないって言ってるでしょ!」

「はいはい。それで俺にどうして欲しいの?」

「え?どうして欲しいって。」


 千尋は黙る。どうして欲しい?そんなの考えたこともない。別にどうして欲しいも何もない。


「ただ単に言いたかっただけだよ。うん。っていうかこんな邪な心は神藤の神子姫としては良くないってわかってるんだけどね。でも大和君は私の事多分なんとも思ってないからいーかなって。うん、それだけ。」


 千尋がそうやって言うと、深月は不穏な笑みを浮かべる。千尋は本能でやばいと思い、部屋から出ようとする。その千尋の肩を深月は掴む。


「ははっ。じゃあ確かめてみようか。本当は俺の事をどう思っているのか。」


 そう言って深月は千尋に顔を近づけるが、千尋は深月の顔に手をあてて押し止める。


「ちょっと!確かめなくていいってば!とりあえず私はこれ以上気にならないようになりたいの。絶対に狂いたくないし。」

「うーん。そんだけしっかりしてたら狂わないような気がするけどな。でもさ、俺に色恋について聞いても無駄だと思うけどね。」

「なんで?女たらしでしょ。大和君。」

「俺は好きになったことないから。人の事を。」


 けろりと言った大和の言葉に唖然とする。


「最低。」

「うん。最低だと思う。神藤は俺のどこが気になるんだ?」

「...私、大和君の瞳が気になる。なんで、そんな空っぽや昏い瞳をするのかが。私、そんな瞳の人に会ったことなかったんだもの。」


 千尋が深月の瞳を見つめながら言うと、深月はぽかんとする。彼女にはいつの間にか自分の本質が理解されていたようだ。何も感じず、何をしていても何とも思わない自分の本質が。そんな人に深月は会ったことがない。


「俺もだ。神藤みたいな綺麗な子に会ったことがないよ...君みたいな無垢な子に。」


 深月は千尋を引き寄せる。深月は今自分がどんな顔をしているのかわからない。千尋はそんな深月をただ見つめている。もう抵抗もしなかった。なんだか、とても深月が寂しそうに見えたから。

第23話如何だったでしょうか?

よろしければ感想などお聞かせくださいませ。

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