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神藤家の退屈しない日常  作者: 三都花実
千尋と深月の新たな関係編
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千尋の唐突な提案

 深月は昔からそんなに執着しない性質を持っている。正直どうでもいいのだ。結婚だってどうでもいいし、家督は継ぐ義務があるから継ぐだけで別になりたいわけでもない。付き合う女性はたくさんいたが、それだって好きなわけじゃない。こうして自分を考えてみるといかに自分が最低な自分なのかわかる。


 神藤千尋に近づいたのだって少し、面白そうな娘だったからという興味本位だ。神藤千尋。神藤の神子姫であり、先祖返りの可能性を持ち、歴代でもトップクラスの能力を持つ。周囲の評判も悪くない。会ってみて神藤千尋にというのは実に不思議な少女だった。初対面では確かに深月は婚約はしないほうがいいと思っていた。だが、千尋は深月本人との婚約じゃなくて大和の人間との婚約が嫌と言ったのだ。それで気が変わった。彼女はよく言う。神藤神藤神藤。神藤のために生きて死ぬ。彼女はそう思い込んでいる。彼女は自分にはないものをたくさんもっている。家に対する思い。そしてあの真っ直ぐさ。清廉で純粋で、水のような清らかさを彼女は常に持っている。そんな彼女が自分のために堕ちてくれたら。それはどんなに面白く、快感なんだろう。見たくて仕方ない。


 そう思ったからこそ深月は千尋に構ったし、婚約もした。だが、彼女にそれを知られたら、もう終わりなこともわかっている。だから破棄してやるつもりだったのに。彼女はまた予想外の答えを言ったのだ。約束を守れと。せっかく逃がしてやるつもりだったのに。彼女もまたその真っ直ぐさのせいで自分みたいなのに捕まって可哀想なことだ。




「歴史は繰り返される。か。」


 架稚子は呟いた。千尋はベッドで寝ている。そんな千尋を穏やかな瞳で見つめている架稚子。まるで千尋はかつての自分を見ているようだ。まあ、それも当たり前かもしれない。何故なら千尋はかつての自分の力をほとんどそのまま受け継いでいるのだから。


 だから、彼女も惹かれてしまうのだろう。自分と同じように。かの血筋に。無意識でも惹かれる。もはや避けようがないのだろう。


「本当に伝承が解けた時、そなたはどうするのだろうな。愛しき我が子孫よ。」


 架稚子はそう千尋に囁き、姿を消したのだった。




「じゃあ早速今日から伝承の解決方法考えようか。神藤。」


 深月は翌日、千尋に提案する。


「どこでするの?」

「いつもの図書室でいいだろ。」

「だめでしょ。家の伝承なんだから、場所は選ぶべきよ。」


 千尋が言うと、考え込む。


「じゃあうちでやろうか。」

「は?」


 千尋の問いかけに珍しく深月はらしくないことに固まる。深月の予想外の問いかけだったらしい。大和の人間を神藤の屋敷に読んでもいいのかよ。という深月の発想も気にせず、千尋はそうしようそうしようと言っている。


「だってうちだったら、資料もそろってるし、そうしよ!よし、決まり。じゃあ行こう。」


 千尋に無理矢理引っ張られて深月は部屋に連れて行かれることになるのだった。





第18話いかがだったでしょうか。

千尋もなんだかふっきれたようです。


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