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神藤家の退屈しない日常  作者: 三都花実
千尋のお見合い編
11/33

千尋のお見合い2

第11話です!


「うーん。君といるとどんな庭でも輝いてみえるから不思議だな。」


 深月は庭を見ずに千尋を見つめて、無駄にきらめかせて囁く。千尋は冷めた目で深月を見たがすぐに視線を庭に向ける。確かに異信会総帥の言うとおり庭園は綺麗だった。


「あれ、神藤。無視はひどいんじゃないのかな?」


「うるさいな。大和君。私は庭園を見ることに集中したいの。」


 千尋は絡もうとしてくる深月をあしらう。ただでさえ、異信会総帥はなんのつもりでお見合いなんかさせるのか。全くわからない。もし伝承の通りになったら異信会にだって少なからず影響を及ぼすだろう。さっきだってていよく千尋たちは追い出されたようなものだ。


「そのわりには違うことに頭がいっぱいみたいだけどね。」


 深月のその言葉に千尋は顔を引きつらせる。やっぱりこの男は油断ならない。


「大和君にはもっと良い人がいるわ。きっと。」


 千尋がそう言った瞬間、深月の目が不穏な雰囲気を出す。


「ひどいな。こんなに君に恋焦がれてるのに。」


 深月は千尋の顔に顔を寄せ、耳元で甘く囁く。千尋はぞくっとした。


「どこで人が見てるかわからないのに。貴方には大和家跡継ぎとしての自覚が足りないんじゃない?」


 千尋が睨みながら言うと、深月は微笑む。


「そうかもね。俺は大和家跡継ぎとしては失格だ。そんなことはわかってるんだよ。神藤。」


 深月は切なそうに言う。その表情に千尋は良心が痛んだ。言い過ぎたかもしれない。


「大和君...私」

「嘘だよ、嘘。神藤、君本当に人が良いね。損するよ、そんなのじゃ。」


 深月は笑いを堪えながら言う。千尋は怒りのあまり拳を握りしめる。この馬鹿に危うく騙されるところだった。


「俺はある意味誰よりも大和家当主には向いているから大丈夫。まあ、一つ足りないとするなら俺を理解してくれる人生の奥さんかな。」


 深月はそう言って茶化す。千尋は大きくため息をつく。神藤の跡継ぎ、ようするに長兄の千歳はあれはあれで堅物すぎるとは思っていたが、深月も深月でちゃらすぎる。まったくこのような人間とは多分真面目に取り合わないのが一番だな。と悟った千尋なのだった。


「あっそう。早く見つかるといいね。私陰ながら応援するから。」


「応援するまでもない、君がー」

「ねえ、大和君。どうして、総帥は私たちの婚約を進めてるんだと思う?」


 千尋は深月に聞いてみる。深月は微笑み、はぐらかす。


「はぐらかさないで。」


「はぐらかすつもりはないんだけどな。...この婚約はもう避けられない。君の父親も俺の父親もなんとか回避しようとしてるけど無理だよ。異信会総帥、定平一族は予知能力に長けた一族、つまり総帥が俺と君が結婚する未来を見たとか言えば、君の父親はともかく俺の父親はこの婚約に頷かざるを得ないだろう。」


 深月はどこか諦めたように言う。千尋は黙った。確かにそうやって総帥が言うなら、最終的には聡は千尋の父親としてではなく、五大家の一角を担う神藤家の当主としての判断を下さずには得ない。父は家族思いだが、そういうところは非常にはっきりしている。当主としての責務を果たさなかったことなど、千尋の記憶する限りないのだから。もし父が一族よりも家族を優先するような人だったならきっと千尋は神子姫なんかにはなっていなかった。

第11話如何だったでしょうか?

よろしければ感想などお聞かせください^_^

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