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神藤家の退屈しない日常  作者: 三都花実
千尋のお見合い編
10/33

千尋のお見合い1

第10話です!

お見合いってこんな感じなのでしょうか?

間違ってたらすみません。

 錦の振袖に身を包み、髪も少し結った姿の千尋を見て、千里はにっこり微笑んだ。


「やっぱり千尋は何を着ても似合うなあ。」


 千里が頷きながら言う。千尋は冷たい目で千里を見つめる。


「お兄。何かやましいことでもあるの?」


「あるわけないだろう。俺はいつでも清廉潔白だからね。...ただな、千尋に言っておきたい事があるんだ。」


 千里は一瞬微笑み、真顔になった。千尋は小首を傾げる。


「千尋、お前は自分に正直にね。俺が大切にしてほしいのは神子姫の千尋じゃなくて、ただの千尋なんだから。」


 千里はそう言った。この兄は軽薄なようで兄弟思いのいい兄なのだ。千尋は兄の言う真意がよくわからなかったが、とりあえず頷いたのだった。



 料亭には父聡と行った。部屋に入ると、異信会の会長定平信哉がいた。彼はどうやらこのお見合いの仲人らしい。まあ当たり前か。彼がこのお見合いの元凶なのだから。


「やあ。神藤様。千尋ちゃんも久しぶりだね。」


 信哉は人の良さそうな笑みを浮かべて、話しかける。千尋は控え目に笑みを返す。


「会長。...大和様はまだですか。」


 聡が部屋を見渡して聞く。信哉は苦笑する。


「そうみたいですね。もうすぐ着くでしょう。」


 信哉がそう言うと、廊下から足音がした。部屋に大和雅房と深月が入ってきた。


「いやあ、遅れまして。」


「構いませんよ。私共も今来たところですしね。なあ?千尋。」


 聡は雅房の謝罪にそう返した。千尋は私に話を振るな!と思ったが、それを少しも表に出さずににっこりと微笑む。


「はい。お父様。大和様もあまり気にしないでくださいませ。」


「流石は神藤様ご自慢のご令嬢だ。よくできた娘さんで羨ましい限りです。うちの愚息には勿体無いぐらいです。」


 雅房が千尋を見つめて微笑む。流石はあの大和深月の父親、深月の口の上手さはどうやら父親譲りらしい。


「まあ、今日の主役が揃ったことですし、始めましょうか。」


 話が終わったところで、信哉がお見合いを切り出した。




「まあ、お見合いなどしなくても婚約してもらえば私としてはこれほど安心なことはないのですが。」


 ほのぼのと進んでいたお見合いの空気が壊れたのは信哉のそんな一言だった。ここに、もし芙由子がいたら『そんなこと、貴方に指図される覚えはないわ!黙りなさい、この腹黒男!!』は言っていたかもしれない。芙由子がいなくて本当によかった。千尋はそうやって安心したが、二人の当主を見たらそれぞれ複雑そうな表情を浮かべている。深月は笑みを絶やしていない。


「とりあえず、お決まりのあとは若いお二人で。ということで。...深月君、千尋ちゃん。ここの庭園は中々のものだ。二人で見てくるといい。」


 信哉がそう言うと千尋は渋々その言葉に従い、深月は笑顔で部屋を出るのだった。


第10話如何でしたか?

とりあえず次話にお見合い

続きます!

そして千尋編、終わりそうにないです。

もはや章編成変えるかもしれません...

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