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1/3時間  作者: 藤崎ユキオ
7/22

内なる炎

よろしくお願いします!どうかお楽しんで読みなさい

挿絵(By みてみん)

シルベストン邸の早朝、大理石の廊下は静まり返っていた。アリシア・シルベストンは重い木製の扉の前で立ち、ノブにそっと手を置く。熱が伝わってきた。瞬く間に、彼女のブレスレットに刻まれた古のルーンが輝いた。表情が厳しくなる。


アリシア:「エリ……ついに始まったのね。」


部屋に入ると、娘のエリセナが床に丸くなり、息を浅くし、頰に涙を浮かべていた。壁は黒く焦げ、魔力の残り火が空中を漂う。


エリセナ:「お母様!? ごめんなさい! 私、わざとじゃ——」 *すすり泣く


アリシアはすぐに抱きしめ、背中を優しく撫でる。


アリシア(優しく):「大丈夫よ、愛しい子……お母さんがついてる。」


エリセナはようやく落ち着き、母の触れ方が過剰な魔力を抜いていく。そこへ父ゲオルギアスが駆け込んでくる。


ゲオルギアス:「エリ!? どうしたんだここは!?」


アリシアは目を閉じ、静かに告げる。


アリシア:「覚醒したのよ。」


ゲオルギアスは信じられない顔で娘を見る。


ゲオルギアス:「火の魔術師の力が……こんなに早く!?」


エリセナは自分の力に怯え、震える。


エリセナ:「……お父様、怖いよ。」 *震える


父は涙を拭き、髪を優しく撫でる。


ゲオルギアス:「大丈夫だ、エリ! 自分の力を恐れる必要はない。それはエリの一部だ! エリの特別なところだよ!」


エリセナ:「でも、お父様……」 *納得できない


アリシアの目が真剣になる。


アリシア:「もう止めることはできないわ。執事たち!」


執事の代表が瞬時に現れる。


ラインハルト&フィオーレ:「ご命令を、奥様。」


アリシア:「魔方陣の準備を! 娘の魔術訓練を今日から始めるわ!」


ラインハルト&フィオーレ:「かしこまりました!」


ラインハルトはすぐに準備に向かい、フィオーレは部屋の惨状を見てエリセナを心配する。


ラインハルト:「行きましょう、フィオーレ。」


フィオーレ:「は、はい! 親父!」


エリセナは目を丸くして怯える。


1時間後、両親に連れられ、シルベストン家の秘密の中庭へ。白い石の下に古のルーンが輝き、執事とメイドたちが敬虔に並ぶ。エリセナが円の中心に立つ。


エリセナ:「どうすればいいの?」


アリシア(優しく):「手を伸ばして、愛しい子……魔力の流れを感じて、制御してみて。」


エリセナ:「わ、わかった!」


ゲオルギアス:「がんばれ、エリ!」


手を伸ばすと、炎が突然制御不能に爆発。一人のメイドに向かって飛ぶ。


メイド:「きゃあっ!!」 *顔を覆う


ラインハルトが飛び込み、メイドを守る。杖を回して炎を上空へ弾くが、手が火傷する。


ラインハルト:「うっ……」 *手が赤くなる


フィオーレ:「親父!」


メイドたちがすぐに手当てをする。


エリセナ:「ごめんなさい! わざとじゃ——!」 *罪悪感に苛まれる


アリシアが駆け寄り、手を取る。


アリシア(温かく):「エリ……制御はできるわ。一人じゃないのよ。」


母の温かい声と周囲の威厳にも、エリセナの不安は消えない。


エリセナ(心の中で):「この力……すぐに制御できなかったら、みんなを傷つける。でも制御するためには訓練が必要で、その過程でみんなの命を危険に晒す……どうすればいいの?」


学校の食堂で、エリセナはトレイに手をつけず座っていた。向かいに座り、笑顔で声をかける。


アストン:「ご飯に何か文句でもあるの? フォークで突きまくってるよ。」


エリセナは弱く笑う。


エリセナ:「はは……魔法のことなんだけど、聞いてくれる?」


アストン:「もちろん。全部聞くよ。」


エリセナは笑顔になり、プレッシャー、誰かを傷つける恐怖、家族の期待を打ち明ける。


アストン:「なるほど……今、かなり大変なんだね。」


エリセナ:「そうよ! このバカみたいな力、どうしたらいいかわからない!」


僕は彼女の正直さに微笑む。


アストン(優しく):「エリセナ……どんなに魔法が君の人生を乱しても、一番大事なのは……君は魔法以上の存在だということ。君は君で、それで十分だよ。」


エリセナ:「アストン……ありがとう。」 *表情が柔らかくなる


食堂の向こうで、グラシアが静かに見つめていた。


グラシア:「また魔術使いか……面白いわね……」 *目を細める


授業中、集中しようとするが、後ろの席の少女が机に突っ伏して囁く。


グラシア:「ねえ、あんた……そう、馬鹿面のあんたよ……」


アストン:「いきなり失礼な挨拶だね、失礼ハートさん……」


グラシア:「黙って聞いて。君、死の予兆が見えるんでしょ?」


僕の目が見開く。死の時計のことを知っているとは——


アストン:「え? でもどうして——」


グラシア:「だって私、天才だから。」


アストン:「は!?」


眉をひそめるが、彼女の推測は完全に当たっていた。


アストン:「この呪いのこと、何か知ってるの?」


グラシア:「詳しくは知らないけど、私の頭脳なら力になれるわ……君の力の起源を突き止めるのにね。」


アストン:「本当!?」


グラシア:「ちっ……馬鹿と話すの嫌いなのよね。この天才な私を疑ってばっかり。」


アストン:「うっ……ごめん。」


彼女の知識を深く聞こうとするが、遊び心のあるジャブと不気味なヒントでかわされる。謎めいた知識に好奇心が刺激される。


エリセナは席から僕たちの会話を興味深く、でも困惑しながら見ていた。


エリセナ(心の中で):「グラシア・ホワイトハートさんよね? 普段ほとんど話さないのに、今日は違う……」


目が合うと、エリセナは慌てて視線を逸らす。グラシアがニヤリ。


グラシア:「それに、あの娘……魔法使えるんでしょ?」


アストン:「エリセナのことも知ってるの!?」


グラシア:「まあね……火の魔術師でしょ? 興味深いわ……」


エリセナの秘密を隠すべきか迷ったが、すでに知られているなら意味がない。


アストン:「実は……昨日、力を覚醒したばかりで、今すごく不安定なんだ。」


グラシア:「ふむ……」 *エリセナを分析するように目を細める


エリセナは深い視線にそわそわする。


グラシア:「アストン、だっけ? 今は彼女のそばにいてあげなさい。彼女の状況では、精神的な支えが一番必要よ。」


アストン:「わかった……友達として、がんばるよ。」


グラシア:「友達、ね。」


放課後、エリセナが荷物をまとめている僕の席に来る。


エリセナ:「アストン、ちょっと聞いてもいい?」


僕は笑顔で立ち上がり、鞄を持つ。


アストン:「もちろん。一緒に帰りながら話そう。」


エリセナ:「うん。」 *優しく頷く


廊下を並んで歩きながら、彼女が質問する。


エリセナ:「アストン……グラシアさんと何話してたの?」


グラシアが僕たちの秘密を知っていることを説明する。


エリセナ:「えっ、知られてる!? どうしよう!?」 *パニック


アストン:「大丈夫だよ……噂を広げないって言ってる。むしろ、応援してる感じ。特に君のこと。」


エリセナ:「え? 優しい子なの?」


アストン:「たぶんね。」


エリセナは僕の言葉に笑顔になり、嬉しそう。


エリセナ:「じゃあ、友達になれるかも?」 *目が輝く


アストン:「試してみる価値あるよ。明日、一緒に話しかけてみよう。」


エリセナ:「うん!」 *興奮して頷く


その夜、シルベストン邸の秘密の中庭で、エリセナは魔術訓練を続ける。でも他人を傷つける恐怖が消えない。そこへフィオーレが近づく。


フィオーレ:「お嬢様!」


エリセナ:「フィオーレ……ラインハルトさんの手、ごめんなさい。」


フィオーレは温かく笑い、エリセナの肩を叩く。


フィオーレ:「気にしないで! 親父は強いんです! 炎ごときでお嬢様を助ける決意が揺らぐはずないですよ!」


ラインハルトが続き、娘の自信に同意する。手は包帯巻き。


ラインハルト:「その通りです、お嬢様。」


エリセナは罪悪感で震える。母が後ろから肩をしっかり握る。


アリシア:「強くなりなさい、エリ……大変なのはわかるけど、私たちがついているわ。」


突然、父ゲオルギアスが慌てて駆け込んでくる。


ゲオルギアス:「エリ! パパが来たぞ!」


アリシア:「あら、あなた……会議は?」


ゲオルギアス:「全部キャンセルした!」


アリシア:「まあまあ……」


執事たち:「ははは……さすがご主人様!」


メイドたち:「ふふふ……お嬢様が大好きなんですね、間違いないです。」


エリセナは父の馬鹿らしさに笑う。周りも皆、笑顔になる。


短い温かい時間後、アリシアの目が真剣になる。


アリシア:「では、娘の魔術訓練……再開!」


執事&メイド:「はい!」


エリセナは拳を握り、恐怖を乗り越え力を制御する決意を固める。


エリセナ:「みんな、ありがとう! 私、がんばる!」


――


第7章 内なる炎 終

読んでくれてありがとうございます!もしお気になりましたなら、それはなによりです!どうかぜひブックマークしてください!

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