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1/3時間  作者: 藤崎ユキオ
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学園祭、開幕

翌日、僕は生徒会室の外に立ち、一度深呼吸してから、そっとノックしてドアを開けた。


アストン:「失礼します……」


アナスタシアが机から顔を上げ、すぐに明るい笑顔になる。


アナスタシア:「来たか、アストン! もう決めたのか!? 生徒会——いえ、学園祭実行委員に入るって!」


レオンが壁際に立ち、無言で僕を睨む——視線が「アナスタシア様を失望させるな」と言っている。


でも僕はレオンの視線を受け止め、優しく、でもしっかりした笑みで答える。一度息を吸って、はっきり言う。


アストン:「会長! 学園祭実行委員、ぜひやらせてください!」


アナスタシアの黄金の瞳が純粋な興奮で輝く。手を一度パチンと叩く。


レオンが一瞬目を閉じ、唇の端にかすかな笑みが浮かぶ。


アナスタシア(満面の笑み):「こちらこそ歓迎するわ! 学園祭実行委員としてね!」


アストン(軽く頭を下げる):「ありがとうございます……それで、他の実行委員の皆さんはどこで会えますか?」


マヤがいつもの優しい、母性的な笑顔で近づく。


マヤ:「何言ってるの、アストン? もう会ってるじゃない」


アストン(困惑):「え? どういうことですか?」


僕は混乱しながら部屋を見回す。でも生徒会メンバー以外誰もいない。


パールが深いため息をつき、渋々近づいて眼鏡を直す。


パール:「信じられないけど……あなた、引っかかったのね……」


アストン(瞬き):「え……? ええええ!? まさか! 実行委員って……君たちですか!?」


アナスタシアが盛大に笑い、テーブルを軽く叩く。


アナスタシア(大笑い):「はははは!! やっと気づいたのな、アストン!」


マヤ(遊び心で叱る):「ちょっと、アナス! 新入りいじめちゃダメよ!」


アストン(慌てて):「待って待って待って! ってことは僕、気づかないうちに生徒会に入っちゃったってことですか!?」


パール(無表情):「残念だけど……その通りよ。」


僕は信じられない思いで頭を抱える。


レオンが静かに近づき、しっかりと握手を求める。


レオン:「これからよろしく。」


僕は差し出された手を見つめ、周りの笑顔(またはニヤリ顔)を見る。


アストン(心の中で):「僕……何に巻き込まれたんだろう?」


生徒会メンバーが長いテーブルを囲み、学園祭の打ち合わせを始める。僕はまだ「生徒会入り」の衝撃から抜け出せず、目の前の書類をぼんやり見つめる。


隣のパールが僕の腕を鋭くつねる。


パール(囁き):「おい、新入り! 集中しなさい!」


アストン(小声で痛がる):「いって! すみません!」


アナスタシアが大げさに咳払いし、両手を広げる。


アナスタシア:「デュラン高校学園祭、来週開催よ! テーマ案は生徒から集めたけど……」


マヤ(心配そう):「生徒たちの素晴らしいアイデアの中から選ぶなんて……ちょっと悩むわね……」


パール(ため息):「みんなそれぞれ独特な案を出してくるから……全部は叶えられないわ……」


レオンが鋭い視線を僕に向ける。新入りとして。


レオン:「ふむ……新入り、お前はどう思う?」


アストン(驚き):「え? 僕ですか!?」


アナスタシア(大きくニヤリ):「そうだ! アストン! 聞かせてよ! 学校一のトラブルメーカーのアイデアを!」


アストン(ムキになる):「トラブルメーカーって称号、覚えがないんですけど!」


マヤがまた優しく頭を撫でる。


マヤ:「よしよし、アストン……」


アストン(慌てて):「あ、ありがとう……って、なんで急に甘やかされてるんですか!」


アナスタシア(からかう):「ははは!! 赤ちゃんアストン、可愛い〜!」


パールが長く疲れたため息。レオンが大きく咳払いし、話を戻す。


レオン:「お前の案を聞かせてくれ、新入り……」


僕はテーブルを見つめ、数秒考え込む。すると突然目が輝く。閃いた。


アストン:「トーナメントはどうですか?」


パール(衝撃):「と、トーナメント!? あなた本気ですが!?」


マヤ(慌てて):「アストン! 暴力はメ、ですよ!」


レオン(厳しく):「貴様!今冗談なら許さないぞ!」


アナスタシアが手を上げ、レオンを止める。


アナスタシア:「アストン、詳しく説明して。」


僕は急いで説明。


アストン:「闘技トーナメントじゃなくて、ミニゲームや競技のトーナメントです! 学力、運動、芸術、音楽……いろんな部門で!」


レオン(ゆっくり頷く):「なるほど……確かに生徒の競争心を煽るには良い案だが……」


パール(ため息):「てっきりあなたが誰かを殴る口実かと思ったわ……」


アストン(ムッとして):「僕を何だと思ってるんですか?」


マヤがまた頭を撫でる。


マヤ:「いい子いい子、アストン!」


アストン(諦め顔):「またですか……なんで甘やかされてるんですか……」


皆が満足げに頷く——笑顔と同意の空気——ただ一人、アナスタシアだけが突然黙り、テーブルを見つめて考え込む。


レオン(心配):「アナスタシア様?」


アナスタシアの唇がゆっくり、悪戯っぽい笑みに変わる。


アナスタシア:「トーナメント、ね……確かに面白い……然し!」


全員が息を飲む。


アナスタシア(劇的に):「学力!? 運動!? 芸術!? そんなの全部地味すぎる! 退屈すぎる! もっと燃えるもの! 魂が震えるもの! 若い心を焦がすものがいいわ!!」


アストン(慌てて):「な、何でだって!?」


マヤ(ため息):「ああ、アナス……また始まった……」


レオンが静かに頷き、パールが額に手を当てる。


アナスタシア(劇的に指を差す):「アストン! わかってるでしょ!?」


アストン(絶望):「いや! それだけはやめてくれ!!」


アナスタシア(勝利宣言):「デュラン高校学園祭のテーマ、決定! 『デュラン高校格闘トーナメント:キング・トーナメント』!! はははは!!」


全員の顎が同時に落ちる。アナスタシアが誇らしげに頭を上げ、腕を組む。


アストン(叫び):「学校の規則が許すわけないだろう!!」


学校のオーナーがグレッグソン・グループに移ったことを知り、アナスタシアはセトレ・グレッグソンを生徒会室に召喚していた。


ドアが派手に開く。セトレが王子様オーラ全開で入ってくる。自信と興奮に満ちている。


セトレ(興奮):「もちろん許可する!!」


アナスタシア(明るく):「さすがこの学校の未来の王! 協力ありがとう!」


突然セトレが優しく彼女の手を取る。


セトレ(柔らかく、熱く):「いいえいいえ……レディ・アナスタシアよ……我が愛する学校のためなら、いつでも協力します……」


アナスタシア(眉を上げる):「あら?」


レオンの目がセトレに向かって燃える。


セトレを連れてきたユズが、目を丸くして見つめる。頰が赤くなり、心の中で大興奮。


ユズ(心の中で):「セトレ様とアナスタシア会長が……一緒に!? これはヤバい……!」


アナスタシアがセトレの急接近に薄く微笑む。近くに立つレオンが、嫉妬を隠しきれず睨む。


セトレの視線が移る。彼は劇的にマヤの手を取り、次にパールの手を取る。


セトレ:「この二人の美しい天使は?」


マヤ(驚き、照れ):「あらあら……マヤ・ストームヘッジです、よろしくね!」


セトレ:「なるほど……レディ・マヤ! そして君は僕のクラスメイトだな、レディ・パール!」


パール(無表情):「はいはい……落ちこぼれ王子よ……」


セトレ(衝撃):「な!?」


僕は呆然と口を半開きにする。まさかアナスタシアが教師や校長じゃなく、セトレを呼ぶとは思わなかった。


アナスタシアが僕を見て、遊び心でウィンク。僕は額に手を当て、言葉が出ない。


セトレがニヤリと笑い、部屋全体に向き直る。


セトレ:「それと——これでこそ俺が名誉を取り戻しの相応しいステージ!そしてずっと欲しかった称号を手に入れるチャンスだ! この学校の王になるために!」


彼が劇的に僕に向き直る。自信満々の表情。


セトレ:「平民よ! ついに決着の時だ! 誰がこの学校にふさわしい王か、決めるぞ!!」


アストン(冷静に):「面白そうだけど……残念ながら僕は参加できないよ。今、生徒会の一員だからね。」


セトレ(信じられない):「何? 冗談だろ?」


アナスタシア(頷く):「本当よ、セトレ……」


セトレが周りを見回す。生徒会メンバー全員が頷く。


セトレ(驚愕):「この凡人が……生徒会の一員だと!? ふざけるな!」


マヤ(優しく叱る):「ちょっと、セトレ! 失礼はダメよ!」


セトレ:「然し!」


レオン(冷たく):「これは会長の決定だ。文句はあるか?」


セトレ(激昂):「文句がいっぱいあるんだ!! なんで俺じゃなくて、この平民が生徒会に選ばれたんだよ! この偉大なるセトレ・グレッグソンが!」


アストン(宥める):「セトレ……実は僕も——」


セトレ(遮る):「黙れ、凡人!」


部屋が静まり返る。


アナスタシアが一歩前に出る。最初は無表情。

そして突然、ニヤリと笑う。


アナスタシア:「じゃあ面白くしましょう! セトレ……もしトーナメントで勝てたら、君を生徒会に入れてあげるわ! 彼の代わりに!」


セトレ(目が燃える):「受けて立つ!」


アナスタシア(僕に振り向く):「そしてアストンは……」


アストン(警戒):「え、僕も?」


アナスタシアが近づき、耳元で囁く。悪戯っぽい笑み。


アナスタシア(囁き):「セトレに勝ったら、ご褒美をあげる……」


彼女がさらに近づき、ご褒美の内容を耳元で直接囁く。


僕の顔が一瞬で真っ赤になる。柔らかい声がすぐ近くで、鳥肌が立つ。


アストン(小声、驚愕):「な、何ですかそれ!? マジですか!?」


アナスタシア(少し頰を赤らめ、ニヤリ):「へへ、面白いご褒美でしょ? どう? やる?」


アナスタシアが新入りである僕に近づきすぎたのを見て、レオンが睨む。目が怒りに燃える。


レオン(心の中で):「あの新入り! アナスタシア様に手を出したら、絶対許さない……!」


僕はアナスタシアから目を逸らす——が、今度はレオンの死の視線とぶつかる。冷や汗が流れる。


アストン(慌てて):「す、すみません! お断りします!!」


アナスタシア(衝撃):「え!? なんで!?」


セトレ(激昂):「何!? 俺との対決から逃げる気か、凡人!? そんなの認めない! お前を倒さなきゃ意味がないんだ! 本当の王様になれないんだ!」


アストン:「でも! これは——」


セトレ(急に真剣):「凡——いや……アストン! お願いだ……」


彼が深く頭を下げる。


柚子(小さく):「セトレ様……」


僕は驚く。高飛車なセトレ・グレッグソンが、ただの公平な試合のために頭を下げるなんて、想像もしてなかった。


長いため息の後、僕は決める——アナスタシアの囁いた謎のご褒美のためじゃなく、いわゆる友達であるセトレのため。


アストン:「わかった……」


全員が笑顔になる。レオンだけはまだ僕を疑いの目で見つめ、アナスタシアが何を囁いたのか考えている。


待ちに待った学園祭当日。色とりどりのバナーが風に揺れ、屋台が並び、キャンパス全体が興奮に包まれる。


僕は朝早くから走り回り、最後の準備を手伝う——荷物運び、飾り付けチェック、すべてが整っているか確認。他の実行委員もそれぞれの持ち場で忙しく動く。


内部準備がすべて終わると、学園祭実行委員会が再び生徒会室に集まる。


レオンがいつもの冷静さで報告。


レオン:「アナスタシア様……全フィールド準備完了。学園祭、開始可能です。」


パールが眼鏡を直し、小さく頷く。


パール:「屋台と店舗も準備完了です!」


入口監視をしていたウィルが、親指を立てて駆け込んでくる。


ウィル(報告):「正門オープン! 地域の来場者、入場開始!」


アナスタシアがチームを見回し、誇らしげに微笑む。


アナスタシア:「よし! みんな、お疲れ様!」


ユズが隅でそわそわし、声が小さくなる。


ユズ(緊張、低い声):「ついに始まる……学園祭! 私、失敗したらどうしよう……!」


マヤが優しく肩に手を置く。


マヤ(穏やかに):「大丈夫よ、ユズちゃん……いつも通り、リラックスしてね。」


柚子(安心):「マヤ先輩……ありがとう……」


僕はアナスタシアに微笑む。


アストン(笑顔):「会長! 合図を!」


アナスタシアがニヤリと笑い、立ち上がる。堂々とした優雅なポーズ——腰に手を当て、黄金の瞳が純粋な興奮で輝く。


アナスタシア(興奮):「デュラン高校学園祭……開幕!!」


――


第63章 学園祭、開幕 終

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