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1/3時間  作者: 藤崎ユキオ
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学園祭

僕は凍りついた。ブラシがまだ滴り、手袋をした手が震える。生徒会長の衝撃発言に目が点になる。


アストン(衝撃):「え、なんだって!?」


アナスタシア(首を傾げ、動じず):「だから、生徒会に——」


アストン(手を激しく振る):「いや! 繰り返さなくていいです、会長!」


ドアの外でクリップボードを強く握るユズが、心の中で感嘆。


ユズ(心の中で):「会長直々のスカウト!? なんてドラマチック……!」


アナスタシアが腕を組み、僕の反応にニヤリ。


アナスタシア:「何だ……聞こえたのか? じゃあ、答えは?」


アストン(慌てて):「待って待って待って! 急すぎます! まず説明をお願いします!」


アナスタシア(瞬き):「あ、そうか……じゃあ説明するわ——」


突然、背後からレオンが無音でドアに現れる。いつもの落ち着いた表情。


レオン(淡々と):「アナスタシア様、ここは話し合いの場ではありません。」


アストン(激しく頷く):「そうよ、会長! 男子トイレに入ってはいけません!」


長い、気まずい沈黙。


アナスタシアの頰がゆっくり赤くなる。ようやく現実が追いついた。彼女は迷わず男子トイレに突入していた。


アナスタシア(慌てて、笑いながら):「ま、まあ! 悪いことしてるわけじゃないからいいよね!?」


アストン(即答):「よくないです!」


僕の即座のつっこみで、アナスタシアが盛大に笑い出す。頭を後ろに倒して。


アナスタシア(大笑い):「はははは! やっぱり面白いな! アストン・ヘイルファイア!」


僕は完全に困惑。ユズがクリップボードで口を押さえ、静かに笑いを堪える。


長い笑いの後、アナスタシアの表情が落ち着く。黄金の瞳はまだ興奮で輝いている。


アナスタシア(温かく微笑む):「ついてきな!」


僕は放心状態でアナスタシアを追い、柚子が静かに後ろを付いてくる。レオンはどこかで消えていた——他の仕事だろう。


大きな装飾扉「生徒会室」の前に到着。アナスタシアが派手に開ける。


中は広くて優雅な部屋——中央に磨かれた木製テーブル、柔らかな午後の光が入る高い窓、トロフィーと書類の棚、かすかな紅茶と紙の香り。学校の部室というより小さな会議室のよう。


アナスタシアが上座に優雅に座り、僕に反対側の席を指す。


僕はゆっくり座り、目を丸くする。


アストン(心の中で):「これが生徒会室!? この部屋だけでうちの家より広い……!」


一人ずつメンバーが入ってきてテーブルを囲む。


アナスタシア(優雅に):「では改めて自己紹介! パール! 最初はあなただ!」


パール(渋々、眼鏡を直す):「え!? なんで私から……えっと……生徒会会計、パール・ラベンダーズです……よろしく……」


アストン(丁寧に頷く):「こちらこそ……」


マヤが新しいお茶のトレイを持って入ってくる。明るく手を振る。


マヤ(温かく):「私は書記長、マヤ・ストームヘッジよ! 私の弟と仲良くしてくれてありがとう!」


僕は瞬きし、処理する。


アストン:「弟? ストームヘッジ? まさか……フリック!?」


穏やかで母性的な姉と、猛々しく爆発的な弟の対比に僕は驚く。


レオンが静かに席に滑り込む。姿勢は完璧。


レオン(淡々と):「生徒会副会長、レオン・コパフィールド。よろしく。」


アストン(緊張):「は、はい……」


アナスタシアが少し身を乗り出し、黄金の瞳を輝かせて両手を広げる。


アナスタシア(明るく):「ようこそ、デュラン高校生徒会へ! アストン・ヘイルファイア!」


部屋中の視線が重い。空気が濃い——エリート生徒たち、完璧な姿勢、自信たっぷりの笑み。プレッシャーが本物。


アストン(心の中で):「座ってるだけでプレッシャーが……さすがエリート……」


マヤがお茶を注ぎ終えると、アナスタシアが温かい笑顔で身を乗り出す。


アナスタシア(温かく):「緊張しなくていいわ、アストン! 生徒会のモットーは『すべての生徒に公平と平等』……どんな出自でもね……」


アストン(緊張):「おお! 立派なモットーですね……」


マヤ(優しく微笑む):「だから緊張しなくていいのよ。吸って……吐いて……」


僕はゆっくり息をする。マヤの導きに従う。


アストン:「ありがとう、ストームヘッジ先輩……」


マヤ(柔らかく):「マヤでいいわ。マヤお姉ちゃんでもいいよ……」


アナスタシア(大笑い):「ははは! マヤ、わかりやすすぎ!」


僕は瞬きした。マヤの優しく、ほとんど母親のようなアプローチに驚く。一度深呼吸すると、本当に肩の力が少し抜けた。


アナスタシア:「本題に入りましょう! アストン・ヘイルファイア——生徒会に入って!」


アストン(躊躇):「光栄です、会長。しかし……なぜ僕を誘うのか、その理由によっては……お断りするかもしれません……」


レオン(苛立ち):「無礼だ! アナスタシア様の決定に逆らう気か!?」


アナスタシア(穏やかに):「やめなさい、レオン……」


レオン(即座に):「……了解しました。」


パールが衝撃で口をあんぐり開け、目を丸くする——普段無口なレオンの突然の爆発に、完全に予想外だった。


マヤが口を押さえて小さく笑う。


アストン:「申し訳ありません。無礼なつもりでは全然ないです。ただ、僕にも事情があって……もし生徒会に入ったら、義務や書類仕事に縛られてしまうなら……受けられないと思います……」


スレイヤーズの活動と死の時計の監視で手一杯なのに、さらに生徒会の仕事まで背負う余裕はない。


アナスタシア(首を傾げ):「『事情』って、具体的にどんなこと?」


僕は息を飲む。スレイヤーズの活動はメンバー以外に秘密のはず。


アストン(どもりながら):「それは……」


レオン(真剣に):「我々の情報によると、お前はどの部活動にも入っていない。」


マヤ(微笑む):「そうよね。私の弟のわがままに付き合うくらい、時間はあるみたいね……」


アストン(衝撃):「え……!?」


理路整然とした反論に、僕は完全に追い詰められる。今逃げるべきか、それとももっと話を聞くべきか。


突然、隣に座るパールがテーブルの下でこっそり僕の袖を引っ張る。


パール(囁き):「ねえ……奴らの言うこと、全部聞かなくていいよ。嫌々入った新人は、入れないより迷惑だから……」


僕は彼女に小さく頷き、感謝する。


アナスタシアは構わず続ける。


アナスタシア(真剣に):「アストン・ヘイルファイア……私ね、あなたには大きな可能性を感じるの。成長して、本当にふさわしい優等生になって、見てほしいわ……」


アストン(静かに):「会長……」


アナスタシア(急にふざけて):「……って言うつもりだったけど、正直に言うと——あなたが面白いから! ははは!」


マヤ(ため息):「も〜 アナスらしいわね。」


レオン(淡々と):「何があろうと、私の意見では——アナスタシア様の決定なら従います。」


アナスタシア(柔らかく微笑む):「レオン……ありがとう。」


レオンがわずかに頰を赤らめる。普段の冷静さとは裏腹に。


僕の頭の中では、正直これ以上関わりたくないと思っていた。


アナスタシア:「それに——もうすぐ学園祭が来るでしょ? 人手が足りないの。あなたならぴったりだと思ったけど……」


「学園祭」という言葉が出た瞬間、僕の目が輝く。


アストン:「学園祭……!?」


隣のパールが僕の急なテンションの変化に息を飲む。


アナスタシア(ニヤリ):「ほぉ……アストン! 乗り気ね? 学園祭が好き?」


マヤ(からかう):「あらあら、可愛いわね〜」


アストン(慌てて):「興味は……あるけど、ごめんなさい……やっぱり無理だと思います。」


アナスタシア(明るく):「じゃあオファー変えるわ! 生徒会に入る代わりに——学園祭実行委員に入って!」


アストン(呆然):「学園祭実行委員!?」


アナスタシア:「そう! 学園祭をスムーズに成功させる責任者たちよ! どう? やる?」


心が揺れる。特別な学校行事に参加したくてたまらない……でも、これ以上忙しくなったら体が持たない。


アストン:「……少し考えさせてください。」


アナスタシア(陽気に頷く):「いいわ! 明日また来て、答えを聞かせてね!」


話し合いが終わる。


皆が立ち上がる中、レオンが静かに近づき、僕の肩に手を置いて耳元で囁く。


レオン(囁き、威圧的に):「アナスタシア様を失望させない方がいい……さもないと……」


アストン(汗):「は、はい……」


放課後、僕は教室を抜け出し、まっすぐスレイヤーHQへ向かった。誰かに相談したかった——僕の普通の生活と隠された戦いの両方を理解してくれる、賢い誰かに。


メイン・ホールは静かだった。リシテアが大きな中央テーブルに座り、輝くタブレットと散らばったデータパッドに囲まれ、スヴェグスト戦の最新戦闘ログをチェックしている。眼鏡に柔らかな青い光が映る。


僕はゆっくり近づく。前回の会話で彼女がとてもがっかりした顔をしていたのを、まだ覚えている。


アストン(小さく):「し、失礼します……」


リシテアが顔を上げ、驚きが優しい笑みに変わる。


リシテア:「いらしゃい、アストン! 今日は予定ないけど……どうしたの?」


その優しい笑顔を見て、僕はホッとする。あの時のことはもう忘れてくれたみたいだ。


アストン(緊張):「リシ先生……ちょっと相談したいことがあって……時間、いいですか?」


リシテアが小さく息を飲む——長い人生で、こんなプライベートな時間は初めてだった。スレイヤーのリーダーと部下ではなく、先生と生徒として。


リシテア(からかう):「ふふ……まさか恋バナ?」


アストン(慌てて):「ち、違います! でも大事な話で……」


リシテアがくすくす笑い、温かい笑顔で立ち上がる。


リシテア(明るく):「いいわよ……ゆっくり話して。かわいい生徒のアストンの悩み、優しい先生のリシテアが聞いてあげる……」


アストン(恥ずかしそうに微笑む):「リシ先生……ありがとうございます。」


彼女は二つのコーヒーカップを用意し、僕の前に一つ置いて、向かいの席に座る。


リシテア:「それで、どんな悩みなの? 私の可愛い生徒さん♪」


僕は驚く。普段は厳格で科学オタクのリシテアが、こんなに優しくお母さんみたいな先生になるなんて……笑いを堪える。


リシテア(頰を膨らませ):「ちょっと! 先生を笑うなんて失礼よ!」


アストン(笑いを堪え):「すみません、リシ先生……いつもは立派なリーダーなのに、こんなに優しい先生になるなんて……」


リシテア(遊び心):「ふん! 私がこんなに優しくして、特別扱いするのに……悪い子ね!」


彼女がテーブル越しに僕の両頰をつねる。


アストン(痛がる):「いって! ごめんなさい! リシ先生、ごめんなさい!」


遊びの叱責の後、僕はすべてを説明——生徒会のオファー、学園祭実行委員の誘い、スレイヤー活動と死の時計監視で手一杯なこと。


リシテアがじっくり聞き、頷く。


リシテア:「学園祭実行委員!? 最高のオファーじゃない!」


アストン:「でも……スレイヤーズの活動と、いつ出てくるかわからない死の時計のせいで……楽しむ余裕がないんです。」


リシテアが少し頷き、僕の負担を完全に理解する。


リシテア:「アストン……責任感と義務感はあなたの良いところよ。でも覚えておいて。あなたはまず生徒なの。生徒会活動やイベントに参加する権利があるわ。そして……」


アストン:「そして?」


リシテア(優しく):「実行委員に入れば——特に責任ある立場なら——生徒や来場者を直接見守れる。死の時計が出たらすぐ動ける。まさに一石二鳥よ?」


僕の目が見開く。シンプルで、感動的な言葉。


アストン:「確かに! 影でやるより、内部からの方が効果的……! 権限のある人たちと直接繋がれる!」


リシテア(ウィンク):「その通り! だから……迷わずやりたいことをやりなさい、アストン。あなたまだ若いんだから!」


アストン(優しく微笑む):「リシ先生……素晴らしい知識で本当にありがとうございます!」


リシテアが小さく息を飲み、少し頰を赤らめる。僕の笑顔が、遠い昔の愛した黒騎士を思い出させる。


突然、スマホが振動。モルアからのメッセージ:


「おい、弟子よ。どこだ? 訓練の時間だぞ。」


アストン(慌てて):「あ! 訓練忘れてた! リシ先生! じゃあ行きます! また明日!」


リシテア(柔らかく):「ええ……訓練、がんばってね!」


アストン:「コーヒーありがとう、リシ先生!」


彼女が手を振る。僕は急いで出ていく。


ドアが閉まる。


リシテアがため息をつき、空の席を見つめる。


リシテア(厳粛に):「黒騎士卿……やっぱり、恋しすぎたのかしら……」


――


第62章 学園祭 終

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