誇りの拳
学校の屋上。新たな挑戦者、フリック・ストームヘッジと対峙し、僕は拳を握りしめ、彼をじっと見据える。
校舎の時計塔が刻む音とともに——
フリック(ニヤリ):「いくぞ!!」
フリックが強烈なストレートを放つ。空気が唸るほどの威力。
僕は流れるように迅足で横に滑り、拳をかわす。
フリックが即座に追撃。鋭い空手チョップから、高く回転するカポエイラキックへ。僕は低く身を沈め、頭上を抜けるように回避。動きは最小限で、的確。
フリックが苛立ち、連続攻撃を畳み掛ける。ボクシングのジャブからムエタイのエルボー。僕はかわし続け、決して反撃しない。目は冷静に彼の型を観察。
フリックの顔が歪む。
フリック(唸り):「逃げるなこら! 俺と戦え!」
アストン(静かに):「逃げるわけじゃない。ただ……君の戦い方を先に分析してるだけだ。」
フリックの目がピクッと動く。
フリック:「ちっ……上から目線で俺と喋る生意気な野郎がちょ苦手だ!」
僕は軽く首を傾げる。
アストン:「なら授業をちゃんと受けておけばよかったのに。もっとついてこれたはずだよ。」
それが引き金。フリックのオーラが爆発。
フリック(咆哮):「黙れぇ!!」
炎の矢のように拳を燃やし、目にも止まらぬ速さで突進。
フリック:「攻撃拳:炎!!」
僕は最後の瞬間に体を捻り、熱風が頰をかすめる。紙一重の回避。
フリックが止まらない。柔らかく波打つ掌打を連発。圧力点を狙う水のような流れ。
フリック:「流れる拳:水!!」
僕は両腕を交差。
アストン(静かに):「守護亀甲。」
巨大な亀の甲羅のシルエットが現れ、掌打をすべて受け止める。揺るぎない防御。
フリックが隙を見つけ、ニヤリ。
フリック:「隙あり!」
高く跳び、回転しながら体重を消すように円を描き、背後から壊滅的なキック。
フリック:「飛び蹴り:風!!」
僕は目を見開く——完璧なカウンターの隙。
アストン:「飛龍拳!」
僕はキックを潜り抜け、上へ跳び上がり、龍の爪のように拳を突き上げる。
フリックが慌てて両腕を交差。
フリック:「固い防御:土!」
岩のような障壁が腕に輝き、衝撃を吸収。フリックが数歩後退。靴底が屋上を削る。
二人が一瞬止まる。息が荒い。
フリックが体勢を整えようとする。
僕は隙を与えない。
アストン:「斬鳳凰蹴!!」
炎を纏った脚が急降下。獲物を狙う猛禽のように。
だがフリックが空中で脚を掴み、横へ投げ飛ばす。
アストン(驚愕):「何!?」
フリック(笑い):「ははは!! レスリング・スロー!!」
僕は空中で体を捻り、屋上の柵に脚を着地。すぐに蹴って反転。
フリック(ニヤリ):「来いよ!」
カウンターの構えを取る。
僕は自信の光を見抜き、中途で急停止。数歩後退して再評価。
フリック(心の中で):「へっ……見抜かれたか。」
アストン(独り言):「あいつ……上手い。かなり上手い。」
その時、屋上のドアが勢いよく開く。
エリセナ、グラシア、セトレが飛び出してくる。僕とフリックの超高速の拳の応酬を見て、足を止める。魔法も武器もなく、純粋な格闘技のぶつかり合い。
セトレの顎が落ちる。
セトレ(感嘆):「こ、これは……男らしさの別次元だ……! 呪文も剣もなし……ただ拳とプライドだけ……!」
エリセナが拳を握り、飛び込もうとする。
エリセナ:「アストン——!」
グラシア:「助けなきゃ——」
セトレが腕を伸ばして二人を止める。
セトレ(厳しく):「ダメだ。これは男同士の闘いだ。今入ったら、彼のプライドを傷つけることになる。」
エリセナが躊躇し、手を組む。グラシアが苛立たしげに舌打ち。
グラシア:「男のプライドって……本当面倒くさいわね。」
エリセナ(囁き):「……無事に終わって、アストン。」
屋上の二人が再び向き合う。視線が絡み、一歩も引かない。
僕はゆっくり回り、フリックの技をすべて分析。空手、ボクシング、カポエイラ……そして師匠の教えに似た、攻防一体の適応型。
フリックが再び突進。拳に炎を宿す。
フリック:「くらえ! 攻撃拳:炎!!」
炎の矢のような拳が突き進む。
僕は迅足で横に滑る——が、フリックはそれを予測済み。
フリック(ニヤリ):「その手は見飽きた! 飛び蹴り:風!!」
即座に回転しながら空中を切り裂くキックへ移行。
僕は体を捻り、制服の端をかすめる。フリックが着地し、即座に脚を伸ばして鋭いテコンドーキック。
僕は両腕を交差。
アストン:「守護亀甲!」
亀の甲羅のシルエットが瞬時に輝き、キックを正面から受け止める。だが生の威力で僕は数メートル後退。靴底が屋上を削る。
フリックが脚を下ろし、渋々ながら敬意を込めてニヤリ。
フリック:「悪くない……ここまでついてこれたか。だが遊びは終わりだ。」
僕は呼吸を整え、低い構えを取る。今の僕に残された一撃必殺——吠える虎拳。だがフリックの適応力は恐ろしい。どんな型も瞬時に読む。
フリックがゆっくり歩み寄る。捕食者のように僕に目を離さない。
そして——一瞬で消える。
アストン(目を見開く):「消えた!?」
次の瞬間、青い炎が拳を包み、僕の目の前に再出現。
フリック(咆哮):「攻撃拳:青き炎!」
青い炎に包まれた閃光の拳が頰に直撃。ガードする暇もない。
僕は歯を食いしばり、後方へ吹き飛ぶ。屋上を転がり、痛みが全身を走る。
エリセナの声が風を裂く。
エリセナ(絶叫):「そんな! アストン!!」
グラシアが目を見開き、手を胸に当てる。
グラシア(息を飲む、心が痛むように):「……いやだ……」
セトレが舌打ちし、拳を握る。
セトレ(つぶやき):「立てよ、凡人! こんなところで負けるな!」
僕は粗い屋上床に倒れ、視界が揺れる。
ゆっくり目を開き、震える腕で体を起こす。めまいが引き戻そうとする。
フリックがゆったり歩み寄り、指を鳴らす。
フリック(嘲笑):「それだけか? 情けないな。」
僕は口の端の血を拭い……ニヤリと笑う。
アストン(静かに、本気で):「君は強い。才能がある。本物の闘士だ。」
フリックが鼻を鳴らす。
フリック:「お世辞は無駄だ。」
アストン(首を振る):「お世辞じゃないよ。」
僕たちは視線を絡ませる。言葉はなく、最後の決着を約束するだけ。
両者とも構えを取り、筋肉を極限まで張り詰める。
フリックが僕のボロボロの姿を見下ろし、自信を膨らませる——明らかに優位。
僕は震える脚を無理やり立たせ、戦闘構えに戻る。筋繊維が悲鳴を上げる。
セトレが重いため息。
セトレ(静かに):「くっ……これで終わりかもな。」
エリセナが首を強く振る。
エリセナ:「違うわ! アストンはそんな簡単に倒れない!」
グラシアの鋭い目が、僕の瞳に残る炎を捉える。
グラシア(無意識に囁き):「そう……まだ終わってないわ。あの目を見て。」
エリセナがその呟きを聞き、即座に屋上へ叫ぶ。
エリセナ(叫び):「がんばって、アストン! 私たち信じてるから!! 負けないで!!」
セトレが舌打ちし、声を張る。
セトレ:「おい、平民! お前らしくないぞ——こんな簡単に負けるな! ちゃんと立て!」
僕は仲間たちを見ると、僕の腫れた顔に小さな本物の笑みが浮かぶ。彼らの言葉が、もう一つの闘う理由になる。
フリックが歯を食いしばり、興奮と好奇心が爆発。
フリック(狂ったようにニヤリ):「へっ……どれだけ楽しませてくれるんだ?」
再び爆発的に突進。
フリックが再び突進。拳に炎を宿す。
フリック:「くらえ! 攻撃拳:蒼き炎!!」
青い炎の拳が顔面へ。
僕はかわさず、足を踏ん張る。
アストン:「守護亀甲!!」
亀の甲羅がより強く輝き、青炎を正面から受け止める。屋上が揺れるが、僕は耐える。
その隙に僕は体勢を低くし、跳び上がる。
アストン:「飛龍拳!!」
フリックが嘲笑。
フリック:「同じ手は二度効かねえ!!」
空中で体を捻り、遠心力を利用した回転キック。竜巻のような刃が顔面へ。
フリック(叫び):「これで終わりだ! 飛び蹴り:鎌風!!」
僕は後ろに逃げず、迅足で間合いを詰め、回転の懐に滑り込む。
フリック(驚愕):「なっ!?」
フリックが反射的にキックをキャンセルし、カウンターを狙う。
だがその一瞬、彼の体が脳に追いつかない。
僕の拳が完璧なタイミングで腹に沈む。
アストン(咆哮):「吠える虎拳!!!」
フリック(苦痛):「があああ!!」
フリックが折れ曲がり、後方へ吹き飛ぶ。柵に激突し、金属音が響く。
フリックが目を見開く——僕がすでに空中に。
アストン(必死):「斬鳳凰蹴!!!」
炎のキックが顔面に直撃。衝撃波が柵の一部を砕く。フリックが屋上から転落しかける。
アストン(驚愕):「しまった!」
だがフリックは落ちない。足元に氷の板が瞬時に現れ、優しく受け止めて屋上へ戻す。
アストン(安堵):「グラシア……ありがとう。気が利くね。」
グラシアが少し頰を赤らめ、目を逸らす。
グラシア:「ふん……あんたみたいな馬鹿がやりすぎるの、予想してただけよ……」
フリックが呆然と空を見上げる。一つの真実はついに気づいた。
もし僕が手加減せず、そして仲間が介入しなければ——彼の命を落としていたかもしれない。
僕は氷の板に飛び降り、手を差し出す。穏やかな笑み。
アストン:「いい闘いだったよ、フリック。」
フリックが差し出された手を見つめる。驚き。
フリック(静かに):「……助けなんかいらねえ。」
軽く手を払い、彼は力強く跳んで屋上へ戻る。背を向けて歩き出す——肩は緊張し、プライドは傷ついても折れていない。
フリック(落ち着いて):「お前の勝ちだ。でも次は絶対負けねえ。」
アストン:「フリック……」
僕は彼の去る背中を見送り、腫れた顔で微笑む。
エリセナがすぐに駆け寄り、手を光らせる
。
エリセナ:「じっとしてて——アストン!治すわ、ヒール!」
柔らかな治癒魔法が傷を癒す。腫れと切り傷が和らぐ。
グラシアが次に近づき、小さな瓶を僕の唇に押しつける。
グラシア:「飲みなさい……ヘルスポーションよ、文句言わないで。」
僕は素直に飲み、ニヤリ。
セトレがゆっくり近づき、肩に手を置く。
セトレ:「ふむ……悪くない……平民にしてはな。」
僕は親指を立て、疲れた笑顔。
セトレが笑みを返す。
セトレ(傲慢に):「だが覚えておけ……お前を倒せるのは、このセトレ様だけだ!」
エリセナが苛立った目で睨む。
エリセナ:「無理よ。セトみたいな奴にはアストンが負けるはずないわ。」
セトレの顎が落ちる。
セトレ:「な、何!? エリ! 俺にそんなに自信がないのか!?」
グループ——男子も女子も一緒に——残った傷の治療のため保健室へ向かう。軽い口喧嘩と笑い声が響く。
――
第60章 誇りの拳 終




