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1/3時間  作者: 藤崎ユキオ
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新たな挑戦者

しばらくして、エリセナとグラシアが一緒に教室に入ってくる。グラシアの鋭い視線がすぐに、僕の席を愛おしげに見つめるクリスタルを捉える。


グラシア(エリセナに囁き):「見て……あのクリスタル、アストンを世界で唯一の人みたいに見てる。最近やけに仲良いと思わない?」


エリセナ(首を傾げ):「そうなの? ただのクラスメイトだと思ってたけど。ヴァルヨネッセの友達だし、アストンと知り合いなのも自然じゃない?」


グラシア:「実はね……」 *囁く


グラシアが、僕の頰にキスした瞬間を目撃したことを話す。


エリセナがゆっくり僕の方を向く。


二人の目が暗く、冷たく、まるで捕食者のように僕をロックオンする。


背筋に冷たいものが走る。思わず震える。


アストン(不安げに独り言):「……なんで……誰かが僕を焼き殺して凍らせるような視線が……?」


エリセナは何も言わず、ただじっと見つめる。表情は読めないが、重い嫉妬が滲む。


昼休みのチャイムが明るく鳴る。


クリスタルが即座に動き、僕の席に駆け寄り、腕を掴んでカフェテリアへ引っ張る。満面の笑み。


クリスタル(興奮):「ほら、アストン! いい席取られる前に急ごう!」


アストン(慌ててついていく):「ちょ、ちょっと! ゆっくりして!」


ドアの近くでそれを見ていたエリセナとグラシアが、無言で頷き合う。言葉もなく、二人を尾行し始める。


賑わうカフェテリア。セトレが隅のテーブルで一人、いつもの取り巻きが去って寂しげにトレイを見つめる。


セトレ(ため息):「レディたちに愛されて囲まれてたあの瞬間が……一度キレただけで、人生で築いたすべてが灰に……俺って本当に馬鹿だな……」


そこへ小さな影が近づく。


青山ユズ——クラス1-Aのクラスメイト。短いオーシャンブルーの髪、臆病そうなヘーゼル色の瞳。弁当箱を強く握りしめ、セトレの前に立つ。


セトレの目に本物の驚きと感謝が浮かぶ。でもクールに振る舞う。


セトレ(咳払い):「ん……あなたは確か……ミス・ユズ、ですね? 俺に何の用だ?この俺を怖がらないのか?」


ユズ(慌てて、小声):「セ、セトレ様……あの……私……セトレ様って、本当に王子様みたいだと思うんです。おとぎ話で大好きだった王子様みたいに……魔法を使う姿が……」


セトレのポーカーフェイスが崩れる。涙が溢れ、両手を取る。


セトレ(声震わせ):「ミス・ユズよ……ありがとう。本当に……もう誰も俺をそう見てくれないと思ってた……」 *すすり泣く


ユズがさらに赤くなり、でも手を引かない。


その時、僕がクリスタルと腕を組んで入ってくる。彼女は楽しそうに話し続ける。


セトレの感謝の涙が一瞬で怒りに変わる。襟に挟んだナプキンを獣のように噛み、睨みつける。


セトレ(嫉妬):「ぐるるる! あの運がいい野郎め!! 良くも俺の前で女の子を自慢しやがって!ちくしょ!」


ユズが気づき、小さく笑う。口を押さえる。


ユズ(くすくす):「セトレ様……今のお顔、面白すぎます……」


クリスタルが嬉しそうに弁当を食べ、腕をまた絡めてくる。僕は普通に返事しようとするが、エリセナとグラシアの刺すような視線で体が震える。


アストン(気まずく):「えっと……ご飯、どう?」


クリスタル(ほほ笑む):「おいしいわよ!一口食べて!はい!アアン〜!」


アストン(あわてて):「い、いいえ!大丈夫だよ!自分を食べるから……」


クリスタル(くすくす):「ふふ……ねえ、アストン……あなたってこういう時、そわそわしてて本当に可愛いよね。でも本当は一番かっこいいな男子って知ってるわよ。」


僕は弱々しく微笑み、首の後ろを掻く。すると目を見開く——クリスタルの頭上にまた死の時計が浮かんでいる。無音で不気味に進む。


アストン(心の中で):「また出た!? しかもまたクリスタルに!? なんで彼女にばかり死の時計が……!?」


僕は急いで周囲を見回す。危険の兆候を探る。


突然、ドアが勢いよく開く。筋肉質の長身の生徒が乱入。制服の下で筋肉が膨らむ。


筋肉生徒(叫び):「アストン・ヘイルファイア! 今すぐ出てこい!」


僕は困惑する。クリスタルが首を傾げる。


クリスタル:「友達?」


僕は首を振る。


少年の我慢が切れる。近くのテーブルを蹴り飛ばし、真っ二つに割る。生徒たちが悲鳴を上げて逃げる。


警備員が駆け寄るが、胴体に強烈な蹴りを食らい、吹き飛ぶ。


セトレがテーブルから立ち上がり、襟のナプキンをぶら下げたまま睨む。


セトレ:「うるせぇなおい。消えろ。みんなの昼飯を台無しにするな。」


筋肉生徒(嘲笑):「へっ……知ってるぜお前のこと!負け犬王子なくせに何ができるんだよ?」


セトレ(怒り):「てめえ!!」 *拳を握る


筋肉生徒:「やろうか!? 来いよ、やれるもんならな!!」 *構える


セトレが怒りで拳を振り上げる——あの筋肉生徒も拳を流す。


だが僕が素早く間に入り、両方の拳を落ち着いて受け止める。


アストン(静かに):「やめろ。ここはそういう場所じゃない。」


セトレが手を振りほどく。


セトレ:「邪魔するな!」


筋肉生徒も拳を引き、僕を値踏みする。


筋肉生徒:「てめえは誰だ?」


アストン(冷静):「君が探してる相手だ。」


少年がニヤリと笑い、指を鳴らす。


筋肉生徒:「へっ! 思ったより弱そうじゃねえか……いいぜ! ついてこい!」


僕は一度頷く。


クリスタルが僕の袖を心配そうに掴む。


クリスタル:「アストン……どこ行くの?」


僕は優しく微笑んで振り向く。


アストン:「心配しないで、クリスタル……すぐ戻るよ。約束する。」


少年と一緒に歩き出す。クリスタルの頭上の死の時計が揺らぎ、消える。


アストン(心の中で):「よかった……これで正解だったみたいだ。」


エリセナとグラシアが騒ぎを全部見ていた。視線を交わす。


エリセナ:「セト! 集合! あいつを追うわよ!」


セトレが柚子に素早く微笑む。


セトレ:「ミス・ユズ、すぐ戻るよ。」


ユズ(笑顔):「はい、セトレ様!」


セトレが女子たちに駆け寄り、満面の笑み。


屋上。風が髪をなびかせる中、筋肉少年がようやく口を開く。


筋肉少年:「俺はフリック・ストームヘッジだ! この学校で一番強いのは俺だ!!」


僕は軽く肩をすくめる。


アストン:「正直、君がその称号持っててもいいんだけど。」


フリックが唸る。


フリック:「黙れ!戦いの決めるのは強さだけだ。」


僕はため息。


アストン:「君と戦う理由がない。もうやめてくれ——」


フリックの笑みが凶悪になる。


フリック:「へえ? じゃあさっきのカフェテリアの女——クリスタルだっけ? 引くなら、彼女をぶっ壊すぞ!」


僕の視線が一瞬で鋭くなる。穏やかさが消える。


アストン(冷たく):「……わかった。受けて立つぞ。」


フリック(ニヤリ):「その意気だ! 最強さんよ!!」


フリックが興奮で目を輝かせ、強烈な拳を振り上げて僕の顔面へ突進。


――


第59章 新たな挑戦者 終

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