別れと新たな火花
スヴェグストを倒した後、ポータル室の空気は軽くなったようで、別れの感情で重く沈む。リシテアが腕を組んで立ち、最後の指示を出す。
リシテア:「ノワールチーム、よくやったわ! 人間界での仕事はこれで十分。ダーク・リールムへ戻りなさい。素晴らしいチームワーク、本とにありがとう!」
ヴァルヨネッセ(興奮):「こちらこそです、リシ先生! スレイヤーズの一員として一緒に戦えて、本当に楽しかったわ!」
アイビー(ニヤリ):「王女にとっては夢のような時間だったわね。」
レミア(少し微笑む):「ええ……本当に刺激的な経験だったわ。」
悪魔たちが渦巻くポータルの前に並び、別れの挨拶。ゴロンは少し離れて立ち、肩を落として俯いている。拒絶のショックがまだ残っている。
僕はゴロンの肩に優しく手を置く。
アストン:「なあ……いつか乗り越えられるよ。君を同じくらい愛してくれる子が絶対見つかる。」
セトレが大げさに頷き、金髪をかき上げる。
セトレ:「その通り! 真の紳士は失恋からより強く立ち上がる。もう顔を上げろ!」
ゴロンが小さく微笑み、目が潤む。
ゴロン:「ありがとう……二人とも。本当に。」
遠くからモルアが三人を見つめ、優しい笑みを浮かべる。
モルア(独り言):「よかった……アストンとセトレがあの子にとって良い友達で……」
近くでレミアがグラシアに近づき、遊び心で首を傾げる。
レミア:「ねえ……約束のティータイム、まだ有効?」
グラシアが少し頰を赤らめ、目を逸らす。
グラシア:「……考えておくわ。」
レミアがさらに近づき、囁く。
レミア:「もう一人のグラシア、すごく楽しみにしてるのよ〜。ティータイムでちょっと恋バナも……」
グラシアの目が輝く。興味津々。
グラシア:「……うん。やろう。」
レミアがくすくす笑い、急に恋に興味を示したグラシアに喜ぶ。
エリセナが優しくアイビーの手を取る。
エリセナ:「ありがとう、アイビー……あなたのおかげで、アストンとの距離がもっと近くなったわ。」
アイビーが自信たっぷりに微笑む。
アイビー:「ふふ、気にしないで。でも次は本気よ。アストンの心、全部いただくわ〜」
エリセナとヴァルヨネッセが同時に目を丸くする。
アストン(慌てて):「あ、アイビー!? 何言ってるの!?」
アイビー(誘うように微笑む):「えへへ……覚悟しなさいね、アストン! <3」 *ウィンク
セトレが突然僕を首絞めホールド。
セトレ:「お前! どうしてそんなに女の子にモテるんだ!? 不公平だぞ!」
アストン(もがきながら):「ちょ、ちょっと! タイムアウト! タイムアウト!」
レミアがイビーの言葉を聞き、独り言。
レミア(小さく):「私も……彼のこと、好きなんだけど……」
僕が振り向く。彼女の小さな呟きを聞き取ろうとする。
アストン:「え? 今、何て言った、レミア?」
レミア(慌てて手を振る):「な、何でもないわ〜!」
だが僕を見る視線は、明らかに違う。セトレがさらに睨む。
セトレ(つぶやき):「こいつ……信じられないくらいラッキだな!このやろ!」
アストン(困惑):「何だよ?! 俺、何もしてないんだ!。」
最後にヴァルヨネッセが前に出て、エリセナと強く手を握る——ちょっと強すぎるくらい。
ヴァルヨネッセ:「やっと……あなたを本当のライバルとして認めるわ、エリ……いえ、スカーレットの姫。」
エリセナも負けじと強く握り返す。
エリセナ:「いいわよ、ヴァル……最後は私が勝つから、ヴァイオレットの姫。」
ヴァルヨネッセ:「それはどうかしら〜」
二人がにらみ合いながら微笑む。手は離れず、火花が散る。
ヴァルヨネッセが僕の方を向き、目を柔らかくする。
ヴァルヨネッセ:「私のこと、忘れないでね……」
アストン(温かく微笑む):「忘れないよ。ずっと覚えてるから、ヴァルヨネッセ。」
ヴァルヨネッセが安堵の笑みを浮かべ、キスをしようとする——
だがレミアとイアビーが両腕を掴み、ポータルへ引きずる。
レミア:「ダメです、王女…… もう時間だ。」
アイビー:「最後のキスは禁止!」
ヴァルヨネッセ(じたばた):「ま、待ってよ! もう一回だけ! お願い〜!」
僕は優しく手を振る。
アストン:「みんな、気をつけてね。」
ヴァルヨネッセが拗ねつつも笑顔。
ヴァルヨネッセ:「ステラとサイモンおじさんに、よろしくね、アストン!」
ポータルが輝き、悪魔たちが消える。静かな余韻だけが残る。
ポータルが閉じ、他のメンバーが散った後、リシテアが手を挙げて残ったスレイヤーズを解散させる。
リシテア:「みんなさんにお疲れ様です。今は自由にしなさい。アストン……少し残って。」
部屋がすぐに空になる。僕はいつもの笑顔で振り返る。
アストン:「了解です。何か用ですか、リシ先生?」
二人が気づかないところで、グラシアが少し開いたドアの隙間から覗いている。表情は緊張——リシテアが自分の正体(魔女)を隠してアストンを誘惑するのではないかと疑っている。
リシテアがゆっくり眼鏡を外し、机に置く。そして意図的にシャツのボタンを外し、胸元を露わにする。
僕の目が見開く。彼女の美しさに本気で驚く。やがて状況がエッチだと気づく。
アストン(慌てて):「……え!? リシ先生!? 何を——」
リシテアが僕の頰を両手でしっかり掴み、目を合わせる。
リシテア(誘うように):「……今、何か思い出した? こうやって私を見ると……」
僕は瞬きし、首を傾げる。
アストン(困惑、少し赤面):「思い出す……? 何の話ですか、リシ先生!? 僕たちは、そんな関係じゃなかったはずですけど!!」
リシテアの肩がわずかに落ちる。失望が顔に浮かび、すぐに隠す。眼鏡を拾い、着直す——効率的で、落ち着いた動作。何事もなかったように。
リシテア(静かに):「……気にしないで。もう帰っていいわ。」
僕は眉をひそめる。まだわからない。
アストン:「待ってください、リシ先生? どうしたんですか? 僕、何か間違ったことしましたか?」
リシテアが突然声を荒げる。思わず。
リシテア:「とにかく出てって! 今すぐ!」
僕は驚いて飛び上がる。
アストン(慌てて):「は、はい! すみません——すぐ出ます!」
急いでドアを閉め、出ていく。
中ではリシテアが椅子に沈み、机に顔を埋める。静かに涙が頰を伝う。
リシテア(独り言):「黒騎士卿……こんなに近くにいるのに……どうして私の気持ちは届かないの……」
ドアが再び開く。グラシアがためらいながら入る。リシテアの涙を見た瞬間、目を見開く。
グラシア(優しく、驚き):「リシテアさん……?」
リシテアが慌てて顔を上げ、手の甲で涙を拭う。
リシテア(無理に平静を装う):「あっ……グラシア?! な、なんでもないわよ! そう……新しい研究の化学薬品の煙が目に入ってだけ……もお〜イラつくわね!」
グラシアは何も言わない。ただ立ち尽くす。静かに理解する。300年経っても、魔女が黒騎士に抱く気持ちは消えていなかった。
僕は廊下を歩きながら、リシテアの奇妙な態度を思い返す。
アストン(心の中で):「あれはいったい何だったんだ……? リシ先生……すごく……がっかりしてた……」
教室に入る。気づかず席に座る。
クリスタルがすぐに僕を見つける。目を輝かせて駆け寄り、手を優しく取る。
クリスタル:「アストン〜! いた!」
僕は突然の接触に慌てる。
アストン:「く、クリスタル? どうした?」
クリスタル(可愛く頰を膨らませ):「もうすぐお昼休みよ! 一緒にご飯食べるに決まってるでしょ。私はアストンの彼女なんだから!」
顔が熱くなる。彼女の告白にうっかり「うん」と言ってしまったことを思い出す。傷つけたくなくて、断れなかった。
アストン(気まずく):「そ、そうだね……うん、お昼一緒に食べよう。」
クリスタルが満面の笑みで手を握り、離す。
クリスタル:「やった! じゃあ後でね〜」
元気に手を振り、自分の席に戻る。
僕は自分の席に崩れ落ち、両手で頭を抱える。
アストン(つぶやき):「彼女……お昼……リシ先生の変な雰囲気……今日いったい何が起きてるんだ……!?」
――
第58章 別れと新たな火花 終




