輝きな王子 vs 名もなき戦士
放課後のチャイムが鳴り、校庭が静かになる中、体育館裏のグラウンドに興奮のざわめきが広がっていた。
セトレは中央に立ち、取り巻きの女子たちに囲まれている。
取り巻き女子1:「セトレ様~! がんばって!」
取り巻き女子2:「あの平民をぶっ潰して!」
一方、1年B組の教室では、僕は席から飛び上がる。
アストン(興奮):「やっとだ! これで決着つけようぜ。」
グラシア:「待って、アストン——!」
エリセナ(頰を膨らませ):「あいつ、待つって概念ないよね。」
グラシア(くすくす):「さあ、応援しに行こう。」
夕暮れの黄金色に染まる中、僕とセトレが対峙する。
セトレ(自信満々):「よく来たな。」
アストン(ニヤリ):「挑戦は断らない主義だからな。」
セトレが木刀を一本投げてよこし、自分も一本構える。
セトレ:「ルールはシンプルだ。
1. 首より上への攻撃禁止。
2. 股間攻撃は卑怯——絶対禁止。
3. 戦闘不能か降参で決着。」
アストン:「貴族らしい決闘だな。ちょっと君にきにいったかも。」
セトレ(苛立ち):「お前の褒め言葉なんかいらん!」
群衆の中から、突然熱狂的な男子たちが叫ぶ。解説者と審判を名乗る。
解説者:「今、夕陽の下、王子様 vs 名もなき戦士の決闘が始まろうとしております! 審判、お願いしますぞ!」
審判:「了解! 右側、手の届く美しさはまるでおとぎ話の王子様! 市内一の富豪、グレッグソン・グループの後継者! セトレ・グレッグソン!」
セトレ(笑顔):「我がレディたちよ、この俺様を応援してくれ!」 *ウィンク
取り巻き女子たち:「きゃあああ~♡」
女子たちが悲鳴を上げ、セトレが手を振る。
審判:「えっと……左側は……特に背景のない普通の生徒? 完全にモブキャラ?! どんな運の悪さでこの決闘に巻き込まれたのか? いい勝負を見せるか、それともただのサンドバッグか?! アストン・ヘイルファイア!」
アストン(苦笑):「あはは……みんなさん、ども……」 *お辞儀
観衆のほとんどが僕にブーイング。僕は優しく笑う。
取り巻き女子たちがセトレに熱狂する中、二人だけが声を上げる。
エリセナ:「アストン! がんばってね!」
グラシア:「私たち応援するわ!」
アストン(ニヤリ):「二人とも……もちろん勝つよ!」 *親指を立てる
セトレの表情が暗くなる。
セトレ(苛立ち):「また……この俺様よりあの平民を選ぶのか……目障りだ!」
審判:「両者準備完了! さあ決闘開始! 3……2……1……Duel Start!」
セトレ:「うおおおっ!」
開始と同時にセトレが突進し、連撃を繰り出す。僕は軽く受け流す。
解説者:「何だこの展開!? セトレ・グレッグソンが一気に攻め込む! だがアストン・ヘイルファイアが美しく捌いている?!」
アストン:「速いけど……動きに無駄が多いな。」
解説者(感嘆):「セトレ・グレッグソンの猛攻にもかかわらず、アストン・ヘイルファイアが完全に優位に立っている!」
取り巻き女子1:「ちょっと! セトレ様にネガティブな解説しないで!」
取り巻き女子2:「ブー!」
セトレ(唸り):「くっ……黙れ、平民! まだ本気を出してないだけだ!」
後退し、体が金色の光に包まれる。
セトレ:「らあああ! キングズ・オーラ!」
オーラが爆発し、力が急上昇。
アストン(驚き):「これは、魔法か!?」
セトレ(ニヤリ):「魔法? 違うぞ、平民よ! これは我が戦闘モード、我が闘気だ!」
アストン(笑顔):「なるほど……これで話になるな。」
セトレの攻撃がさらに速く、重くなる。僕は押され始める。
アストン(息を切らす):「重っ……!」
セトレ(笑う):「ははは! どうだ!? 耐えられるか、俺様の力を!」 *攻撃を続ける
アストン:「じゃあ、僕も本気を見せてやる。アブソルート・パリー!」
セトレの剣を上へ弾き、防御を完全に開く。
セトレ(息を飲む):「何!?」
アストン:「フラシュ・スラッシュ!」
無駄なく一撃。セトレの胴を綺麗に斬る。
セセレ(うめき):「ぐあっ!」
解説者:「見事な一撃! アストン・ヘイルファイアが反撃開始! いきなり致命打を決めた?! このままじゃセトレ・グレッグソンが負けるのか?!」
取り巻き女子1:「黙れ、このオタク!」 *マイクを奪う
取り巻き女子2:「そうよ! セトレ様が勝つんだから!」
セトレが立ち上がる。オーラはまだ輝いている。両手で剣を構える。
セトレ(歯を食いしばる):「この平民め……この俺様を何度も屈辱に晒しやがって……それも我がエリとグラシアの前で……もう容赦はしない!」
アストン(真剣):「あの構え……何か溜めてるな。」
セトレ(激昂):「裁きの刃を味わえ! ジャスティス・スラッシュ!!」 *大きく振りかぶる
金色の斬撃波が僕に向かって飛ぶ。
アストン(驚き):「なっ——魔法!? マジック・パリー!」
斬撃を森へ逸らし、木を真っ二つに。観衆が息を飲む。
エリセナ:「あのバカ! 一般人の前で魔法使うなんて!」
グラシア:「まずいわね……」
セトレ(哄笑):「はははは!! これが俺様の本当の力——王者の力だ!」
だが賞賛の代わりに、恐怖が広がる。
取り巻き女子1(衝撃):「嘘……セトレ様が……」
取り巻き女子2(震え):「怪物だ……!」
セトレ(威圧):「何……?」
人々が逃げ始める。僕は動かず、怒りに満ちた彼と向き合う。
アストン:「お見事だ、王子様。君のファンがみんな逃げちゃったよ。」
セトレ(激怒):「ならお前を壊す!」
セトレが連続でジャスティス・スラッシュを放つ。僕は迅足とマジック・パリーでかわし、弾く。
だが木刀が耐えきれず、砕ける。
柄を捨てる。
アストン:「プランBだ。」
迅足で突進。ジャスティス・スラッシュをギリギリで避けながら接近。金色の波が頰と腕をかすめる。
セトレ(哄笑):「ははは!! 逃げ回れ、平民! スタミナが尽きたらトドメだ!!」 *連発
攻撃範囲に入った瞬間。
アストン:「斬鳳凰蹴!」
燃えるようなロケットキックを放つ。
セトレは木刀で受け止める。
セトレ:「素手で来るか!? まだ俺様に勝てると思ってるのか、汚い平民な分際で!」
ブロックを予測していた僕は、空中で次の攻撃へ。
アストン:「咆える虎拳!」
セトレ(息を飲む):「拳!? あの体勢から!?」
*ドゴォォン!!
白虎の咆哮が炸裂。完璧に決まり、セセレを壁に叩きつける。
セトレ(苛立ち):「ありえん……この俺様が……平民なんかに負けているんだと……?!」
僕はゆっくり近づく。彼は木刀を支えに立ち上がろうとする。
セトレ(息を切らし):「う……まだ終わってない! 俺は負けない! 平民に負けてたまるか!!」 *ふらつきながら立つ
アストン:「無理するな、セトレ。」
セトレが再び剣を構える。
セセレ(弱々しく):「ジャスティス・スラ——」
アストン(腕を叩く):「もういい。」
剣が落ちる。セトレは崩れ落ち、悔しさで泣き出す。
セトレ(泣きながら):「なぜ……なぜ俺が負けるんだ……俺は王になるはずだ……はずだったのに……!」
アストン(穏やかに):「王になるのに近道はない。」
セトレ(歯を食いしばる):「黙れ、平民!」
僕は手を差し出す。セトレが払いのける。
執事たちが駆けつけ、彼を支える。
セトレ(唸り):「もう女の子のことじゃない……これは我がグレッグソンとしての誇りの問題だ。」
アストン(笑顔):「ならいつでもまた挑戦してこい。待ってるぞ、セトレ。」
セトレは舌打ちし、僕の真っ直ぐさに苛立つ。
後でエリセナとグラシアが近づく。
エリセナ(心配):「アストン! 大丈夫?」
グラシア:「素手で魔法を相手にしたんだもの……無傷じゃ奇跡ね。」
アストン:「うん……浅い傷だけ。自然に治るよ、心配ない。」
エリセナ:「セト……ごめんね。あいつ、ほんと面倒になった……」
アストン(笑顔):「いいんだよ、それぐらい。」
グラシア:「それにしてもすごかったわ。武器なしで途中から対応して……」
アストン(ニヤリ):「全部モルア師匠のおかげだな。」
エリセナ(振り返り):「でもセトが……すごく傷ついてるみたい。」
アストン:「話しかけたいなら行ってきてもいいよ。僕は気にしないから。」
エリセナ:「うーん……やっぱりやめとく。あいつ、話しかけたら調子に乗るだけだし。」
グラシア(くすくす):「ふふ……その通りね。」
三人で去る中、近くの壁の陰からクラスメイトのクリスタル・ラベンダーが決闘を最初から最後まで見ていた。
クリスタル(静かに):「あれ……本当にアストン? やばい……かっこよすぎてちょイケメン……まさか私、もう惚れったじゃん?!」 *顔を赤らめる
彼女は胸を押さえ、心臓が速くなる。
クリスタル(心の中で):「うん……この気持ち……間違いない。」
決意の笑みを浮かべ、彼女は高揚した気持ちでその場を去る。
保健室。セトレは黙って横たわる。執事が近づく。
執事:「この敗北を旦那様に報告しますか?」
セトレ(冷たく):「我が父には関係ない。」
執事が怯む。セトレが睨む。
セトレ:「一人にしろ。」
執事たちが去る。しばらくして、影からグスタフが現れる。
グスタフ(嘲笑):「へっ……王族の名が泣くぜ。ボコボコにされたな。」
セトレ(激怒):「てめえ!」
セトレが拳を繰り出すが、グスタフが軽く受け止める。
セトレ(驚愕):「何!?」
グスタフ:「弱いな。あまりにも弱すぎる。王になるには程遠い。」
セトレの目が見開く。ベッドに崩れ落ち、目が影に覆われる。
グスタフ:「力、欲しいか? 誰であろうと逆らえないような、本物の力。」
セトレ(静かに):「……欲しい。絶対的な力。」
グスタフの顔に暗い笑みが広がる。
グスタフ:「なら……俺に任せろ。」
彼が手を差し出す。暗い呪文が部屋を包む。影が広がる。
翌朝、ロッカーを開けるとまた封筒。
エリセナ(眉をひそめる):「またセトからの挑戦?!」
グラシア(楽しげ):「フフ……しつこい人ね。」
アストン(開封):「いいや……これは挑戦状じゃない。……ラブレターだ?」
エリセナ&グラシア(同時に):「ええええ!?」
エリセナ(慌てて):「誰から!?」
グラシア(くすくす):「ふふ……誰かが本気で秘密の崇拝者がいるみたいね~」
アストン(頭をかく):「さあ……名前がないんだけどただのいたずらかも。」
突然のラブレター。イタズラか、本気か?
困惑した顔で、僕は手紙をポケットにしまう。好奇心が頭を満たす。
――
第44章 輝きな王子 vs 名もなき戦士 終




