表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3時間  作者: 藤崎ユキオ
43/60

過去からの花

翌朝、いつもの道を歩いてデュラン高校へ向かう。最後の角を曲がった瞬間、妙な光景が目に入った。


アストン(目を細めて):「何だあれ……ボディガード?」


校門周辺に十数人の黒スーツの男たちがたむろしている。インカムで話す者、周囲を警戒する者。緊張感が漂う。


少し先でグラシアとエリセナが一緒に歩いているのが見えた。僕は足を速めて追いつく。


アストン:「おはよう。急に警備体制どうしたの? 学校に戦争でも始まった?」


エリセナ(ため息):「絶対セトがやったことよ。あいつしかこんな大袈裟なことしないもん。」


アストン:「今度はどんな計画なんだ?」


エリセナ(肩をすくめて):「さあね。もう理解するの諦めた。」


グラシア(興味津々):「エリセナ……セトレは幼馴染だったって言ってたよね。昔はどんな子だったの?」


エリセナの表情が懐かしそうに柔らかくなる。


エリセナ(優しく):「昔は……こんなじゃなかったよ。十年前……両家の親が開いたパーティーで会ったの。パパが『グレッグソン家との縁を深めたい』って紹介してくれたんだ。」


場面がエリセナの記憶に切り替わる。


豪華な庭園。幼いセトレは完璧な青いスーツ。


恥ずかしがり屋のエリセナはフリルの黄色いドレスで、父のコートを掴んでいる。


幼いセトレ(自信満々):「ごきげんよう、ジョージアス様。セトレ・グレッグソンと申します……グレッグソン・グループの次期後継者、父アーサー・グレッグソンの息子です。」


エリセナの両親、ジョージアス・シルヴェストンとアリシア・シルヴェストンがその堂々とした態度と話し方に驚く。


アリシア(微笑み):「まあ……なんて賢い子!」


ジョージアス(笑顔):「さすがグレッグソン・グループ!」


傍らでセトレの父アーサーが誇らしげに反応。


妻エリザベスは幼い娘を抱き、優しく微笑む。


アーサー(ニヤリ):「グレッグソン家の後継者としては当然です。」


エリザベス(くすくす):「ふふ……私たちの誇りだもの。」


セトレの視線がエリセナに注がれる。


幼いセトレ:「こんにちは。僕はセトレ。君の名前は?」


幼いエリセナ(緊張):「う……こんにちは……あたし、エリセナです……」


幼いセトレ(微笑む):「エリセナ……素敵な名前だね。」


幼いエリセナの頰が赤くなる。初めての男の子からの褒め言葉。


幼いセトレ:「ねえ、すごいもの見せてあげる! ついてきて!」


幼いエリセナ:「えっ!?」


彼は幼いエリセナの手を掴んで走り出す。


エリセナ(語り):「屋敷の裏の丘に連れて行かれて……そこで見た景色に息を飲んだの。」


黄金色の陽光の下、色とりどりの花畑が広がる。幼いエリセナの瞳が輝く。


幼いセトレ(ニヤリ):「綺麗でしょ?」


幼いエリセナ(頷く):「うん! すっごく綺麗!」


幼いセセレ:「エリ……これ、君に。」


淡いピンクの花を摘んで差し出す。幼いエリセナは恥ずかしそうに小さな手で受け取る。


心がドキドキした。初めての、男の子からのロマンチックな仕草。


エリセナ(囁き):「あ、ありがとう……セト。」 *赤面


顔を上げると、セトレの姿はない。


エリセナ(困惑):「セト? どこ?」


気づくと、彼はパーティーの別の女の子にも花を渡していた。


幼いセセレ(ニヤリ):「パトリシアにはこれ! トリッシュにはこれ!」


パトリシア&トリッシュ(キャー):「きゃ~! ありがとう、セトレ様~!」


幼いセトレ:「君たちのためなら喜んで。」


興奮する二人を見て、彼は内心でニヤリ。


幼いセトレ(心の中で):「女の子の心を掴むなんて簡単だ。なんでみんなそんなに苦労してるんだ? 情けない。」


突然、淡いピンクの花が顔に飛んでくる。


幼いセトレ(驚き):「うわっ!?」


幼いエリセナ:「セトの バカ! 他の子にもあげてたの!? 大嫌い!」


幼いセトレ(困惑):「え? 待って! なんで?!」


幼いエリセナは走り去る。セトレは膝をつき、花が手に触れる。


幼いセトレ(衝撃):「エリ……なんで? 完璧にやったのに……なんで僕が、この俺様が拒絶された……?」


場面が現在に戻る。


エリセナ(くすくす):「セトは固まってたよ。あれが初めてフラれた瞬間だったのかも。」


アストン(笑う):「そうか……あれであいつが壊れたんだ。」


グラシア(ニヤニヤ):「まさかエリセナがそんなに心を折る子だったなんて。」


エリセナ(慌てて):「子供だったんだから! それに、セトレの“女の子コレクション”の一人になりたくなかっただけ!」


グラシア:「じゃあ……初恋だったの?」


エリセナ(赤面):「た、たった一分だけよ!」


アストン(くすくす):「その一分があいつを永遠に変えたんだな。」


グラシア(からかうように):「アストン! いじめないの。」


エリセナ(頰を膨らませ):「ふん! 男の子ってほんと女の子の気持ちわからないよね……」


アストン(笑顔):「その通りかもな。」


僕たちは学校に向かって歩く。朝日が背後に長い影を伸ばす。


その影の奥で……セトレの黒スーツの護衛たちの視線が、かすかに僕たちを見張っていた。


教室の窓の上。セセレが立ち、握り拳で下を睨む。


セトレ(つぶやき):「くそっ……平民の分際で俺様のレディたちを……」


背後から声。


グスタフ:「気持ち悪い光景だな。あいつに囲まれてる女の子たちは、本来お前のものなのに。」


セトレが鋭く振り返る。


セトレ:「またお前か? 言ったはずだ……平民を潰すのに手を組む気はない! グレッグソン家の誇りがある!」


グスタフ(ニヤリ):「けっ……好きにしろ。でもこのままじゃ、この学校の王の座はあいつに奪われるぞ。女の子たちもみんなあいつのものになるかもな。」


セトレの顎が強張る。


セトレ(怒り):「平民なんかにこの俺様が負けるわけない! 俺様はセトレ・グレッグソンだ! この学校の王になる! 俺様にふさわしい栄光を全部手に入れる!!」


グスタフは肩をすくめて去る。


グスタフ:「好きにしろ。ただ、負けた時は犬みたいに吠えるなよ。」


セトレ(ニヤリ):「あの平民を潰したら……次はお前だ。」


グスタフは静かに笑いながら去っていく。


昼休み。ロッカーを開けると、封筒が落ちる。


アストン:「手紙?」


エリセナ(驚き):「まさか……ラブレター!?」


グラシア(微笑む):「おお~……秘密の崇拝者ね……誰かしら?」


アストン(拾い上げる):「残念ながらそれは違う見たい。」


封を開けて声に出して読む。


アストン:「卑しい平民へ。放課後、体育館裏に来い。決闘だ。お前を叩き潰す! - セトレ・グレッグソン」


エリセナ(呆れ):「あのセト……『卑しい平民』って書いてるの?!……うわ、ほんとに無礼なやつ!。」


グラシア:「無視しなさい。注目されたいだけよ。」


だが僕は怖がるどころか、目が輝く。


アストン(興奮):「決闘!? ふむ、やっと誰かが僕に挑んできた! そう!これこそが本物の高校生活だ!」 *拳を握る


エリセナ(呆れ):「ちょっと!あなた本気……?」


グラシア(くすくす):「ふふ……またあの狂った目が光ってる。」


エリセナ(ため息):「もう止められないね……仕方ない、一緒に応援するよ。」


グラシア:「じゃあ決闘、見物しよう。」


二人とも笑顔になる。僕はロッカーを閉め、窓の方を向いて期待に胸を膨らませる。


チャイムが鳴り、放課後。


体育館裏でセトレが取り巻きの女子たちに囲まれている。手作り応援旗やリボンが揺れる。


取り巻き女子たち:「セトレ様~! 勝ってください! あの平民に王の力を見せつけて~!」


職員室から教師たちが騒ぎに気づく。


教師1:「あそこ、何してるんだ?」


教師2:「止めに行った方が……」


そこへ校長が現れる。


校長:「あの子はセトレ・グレッグソン。グレッグソン・グループの後継者だよ。」


教師1:「グレッグソン・グループ?!」


教師2:「あの巨大企業?!」


校長:「そう……昨日、グレッグソン・グループの資金力でこの学校の経営権を買収したんだ。」


教師1&2:「本当ですか?!」


校長:「だから……干渉しない方がいい。クビになるぞ。」


やがて僕が約束の場所に到着。夕暮れに照らされ、対峙する。


セトレ(ニヤリ):「よく来たな、平民よ。根性だけは認めてやる。」


アストン(拳を握る):「挑戦は大歓迎だ。見せてくれよ、君の力。」


遠くからクラスメイトのクリスタル・ラベンダーが群衆に気づく。


クリスタル:「あれって……アストンじゃない?」


足を止め、遠くから見守る。


観衆の歓声が大きくなり、決闘の火蓋が切られる。


――


第43章 過去からの花 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ