学校の日々と新たな王子
朝の陽光が街を黄金色に染める。ステラが角で手を振って別れる。笑顔が眩しい。
ステラ:「じゃあね、家で待ってるよ! 変なことしないでよね、バカお兄ちゃん!」
アストン(手を振り返す):「努力するよ。約束はできないけど。」
デュラン高校に向かう途中、近くの公園からボールが飛んでくる。反射的に片手でキャッチ。
少年(駆け寄って):「ナイスキャッチ、お兄さん! 俺のボールだ!」
少年の頭上に、薄れゆく赤い時計が浮かぶ。
00:15:65
心臓が跳ねる。あと15秒で少年が死ぬ。
アストン(息を飲む):「おい、ボール受け取って友達のところに戻れ!」
ボールを投げ返す。少年は道の前でキャッチ。その瞬間、トラックが弾丸のように通り過ぎる。
少年(元気よく):「ありがとう、お兄さん!」
死の時計が消える。
アストン(つぶやき):「……忘れてた。この呪われた能力、まだ生きてるんだな。」
デュラン高校に着くと、女子生徒の大群が掲示板前に集まっている。
アストン:「何だこれ……?」
近くの女子の肩を軽く叩く。
生徒女子1(キャー):「聞いてないの!? 今日から王子様が転入してきたんだよ!」
生徒女子2(興奮):「セトレ・グレッグソン! グレッグソン・グループの御曹司! 街で一番の富豪よ!」
生徒女子3(うっとり):「セトレ様……私の理想の王子様……!」
女子たちが悲鳴を上げる。僕は驚きと困惑で瞬き。
アストン:「へえ……金持ちか。」
興味なく群れを抜け、1年B組へ。
教室ではエリセナがグラシアと楽しげに話している。
エリセナ(手を振る):「アストン、おはよう!」
グラシア(微笑む):「おはよう。」
アストン(半分寝ぼけ):「おはよ……」
席に崩れ落ち、頭を手で支えてまた眠りかける。
エリセナ(明るく):「ねえ、今日から新入生が来るんだって。私の幼馴染なの!」
グラシア(興味津々):「へえ? 幼馴染?」
エリセナ(ニヤリ):「うん! 私にすっごく優しい本物の紳士なのよ。誰かさんとは違って。」 *チラッと僕を見る
僕は少しねてるし、頭が手から落ちる。
アストン:「んぐ……何……」
僕はまた寝る。エリセナが頰を膨らませて不機嫌になる。
エリセナ:「ふん! バカアストン!」
彼女は席に戻る。僕はゆっくり起き上がり、頰をこする。
アストン(困惑):「……僕は何か、悪いことした?」
グラシア(くすくす):「ふふ……可哀想なエリセナ。もっと彼女に気を遣ってあげなさい。」
アストン(ため息):「ごめん……最近、頭の中がいっぱいでさ。」
グラシア(優しく微笑む):「謝る相手は私じゃないわよ。」
アストン:「うん……さすがだな。ありがとう、グラシア。」
グラシア:「お礼はいらないわ。友達を助けるのは当然だから。」
僕はグラシアの穏やかな笑顔に改めて見とれる。
アストン(心の中で):「このグラシア……天使だ……」
突然、肩までの金髪の美少年が教室に入ってくる。生徒たちが感嘆の声を上げる。
生徒女子たち(囁き):「来た……本当に来た! セトレ・グレッグソンだ!」
セトレは自信たっぷりにエリセナの元へ歩み寄る。
エリセナ(笑顔):「久しぶりね、セト。」
セトレ(驚き):「あ……こんなカジュアルな挨拶? 本当に久しぶりだな、エリよ。」
彼は跪き、エリセナの手を取って王子様のように振る舞う。背景で女子たちが悲鳴。
セトレ(跪いて):「我がレディ……エリセナ。自分なこと覚えていてくれて光栄だ。」
エリセナ(落ち着いて):「この癖、まだ治ってないのね……」
エリセナは手を引き抜く。セトレが息を飲み、軽く微笑む。
セトレ(心の中で):「まだ私に強がってるのかい……だがそれも素敵だ、エリよ!」
エリセナ:「このクラスじゃないよね?」
セトレ:「残念ながらそれはノーだ。1年A組。エリートは俺さまみたいな場所であり、ベストクラスだ、ははは!。」
エリセナ(ムッとして):「じゃあ私たちはエリートじゃないってこと?」
セトレ(慌てて):「そんなことないさ! 絶対にそんな意味じゃないだ!」
視線がグラシアに注がれる。彼は跪き直す。
セトレ(魅惑的に微笑む):「おお、我がレディ……あなたの静かな美しさは、岸に打ち寄せる海の波のように私の心を奪った……お名前を伺っても?」
グラシア(驚き):「え……?」
グラシアは戸惑う。男の子にこんなアプローチを受けた経験がない。
グラシア(かすかに赤面):「なかなか劇的な人ね……私はグラシアよ。」
セトレ:「グラシア……何と美しいの名前だ!」
グラシア(動揺):「あ、ありがとう……」
彼は滑らかにグラシアの手を取る。グラシアは少し緊張した様子で不快そう。
エリセナ(警告):「セト! グラシアに近づかないで! 彼女は純粋すぎてあなたのペースに巻き込まれたら大変なの!」
セトレ(ニヤリ):「おや? 嫉妬かい?」
エリセナ:「するわけないでしょ!」
最後にセトレが僕の方を見る。僕はまだ半分寝ぼけている。
セトレ(冷たく):「おい、そこのお前。礼儀くらい知れ。」
エリセナ:「待って、セト! アストンは疲れてるの……」
セトレ(驚愕):「アストン?!」
目を見開く。
アストン(眠そうに):「あ……はじめまして……」 *あくび
セトレ(激怒):「お前か! エリセナの純潔を汚したのはお前だな!」
エリセナ(赤面):「何言ってるの!? 何も起きてないよ!」
セトレ(宣言):「エリ……学校に来る途中で、お前の父親からビデオ通話があった。『アストンって男に気をつけろ。娘の純粋な心を汚した』って!」
エリセナ(慌てて):「あ、あのバカお父様! 真に受けないでよ、アストン。」
アストン(つぶやき):「僕の評判、完全に落ちたか……まあ、何も予想はしないだけど。」
僕はゆっくり立ち上がり、セトレと向き合う。
アストン(穏やかに微笑む):「君はエリセナの幼馴染か。僕はアストン。よろしく。」
手を差し出す。セトレが払いのける。
セトレ:「ふん! 身の程を知れ、平民よ! 覚えておけ。この名を——セトレ・グレッグソン。この学校の王になる男だ!」
エリセナ(驚き):「セト! 他人を下に見ないで!」
セトレ:「口出しするな、エリ……これは男同士の話だ。」
空気がピリつく。僕は雰囲気を和らげようと軽く返す。
アストン(ノリで):「はいはい……陛下。」
セトレは満足げにニヤリと笑い、教室を出ていく。
エリセナ(うつむき):「アストン……ごめんね、あいつ……」
アストン(笑顔):「いいんだよ、エリ。慣れてるから。」
エリセナ(ため息):「セト……昔はこんなじゃなかったのに……」
チャイムが鳴り、昼休みになる。僕は食堂へ向かう。列に並んでいると、騒ぎが起きる。
女子たち(悲鳴):「きゃあああ! セトレ様~!!」
セトレがいつものカリスマで登場。取り巻きの女子たちに囲まれ、群衆が道を空ける。
列の先頭に着くと、僕を睨む。
セトレ:「どけ、平民。国王の通り道だ。」
僕を押しのけ、カウンターに割り込む。
アストン(ため息):「またこいつか……」
トラブルを避け、ドーナツとミルクのトレイを持って静かな隅の席へ。
しばらくすると、セトレが歩み寄る。
セトレ(冷たく):「おい、無礼者。なぜ俺様のテーブルに座ってる?」
アストン(瞬き):「このテーブル? 君の名前書いてなかったけど。」
セトレ:「今日から俺様のものだ、きえろ、平民よ!」
アストン:「はいはい……」
僕は遠くの隅に移動して静かに食べる。
セトレ (ニヤリ):「へっ……雑魚が!」
しばらくして、エリセナとグラシアがトレイを持ってやってくる。
セトレ(手を振る):「おお! エリ! グラシア! 俺のところへおいで!」
エリセナ(無表情):「遠慮する。」
彼女はグラシアの腕を引き、僕のところへ連れてくる。
グラシア:「あそこ……アストンが一人で座ってるわ。」
二人が僕の隣に座る。
エリセナ(ニヤリ):「おじいちゃんみたいに寂しそう。」
アストン:「冗談? それとも罵倒?」
グラシア(くすくす):「半分ずつね。」
向こう側でセトレの笑顔が消える。
セトレ(つぶやき):「俺様よりあいつを選ぶ……だと?!」
突然、僕のスマホが振動。リシテアから。
リシテア(電話):「街で悪魔の気配を検知した。みんなに集合するよう伝えて。」
アストン:「了解。」
エリセナとグラシアを見る。
グラシア:「悪魔?」
アストン:「うん……今すぐ行く必要がある。」
エリセナ(困惑):「でもヴァルヨネッセは、悪魔はもう人間を襲わないって言ってたよね?」
アストン:「どうやら全員がそのルールに従ってるわけじゃないみたいだ。」
エリセナ:「ダーク・リールムはまだ統一されてないのかも……」
グラシア(真剣):「なら彼女の使命はまだ終わっていないわ。人間との平和な共存を実現するには、ダーク・リールムの他の王国とも外交を築かなきゃ……」
アストン(頭をかく):「うん……始まりにすぎないんだな。彼女の夢の第一歩だ。今後もトラブルは増えるだろうね。」
エリセナ(ため息):「もう勘弁してほしいよ……」
グラシア(静かに):「さー、行くわよ。」
僕たち三人が立ち上がり、食堂を出る。セトレが気づき、眉をひそめる。
セトレ(心の中で):「あの平民……俺様のレディたちをどこへ連れてくつもりだ?」
セトレはこっそり後をつける。校舎裏の路地まで来ると——
セトレ(叫び):「そこで止まれ、平民よ!」
だが誰もいない。
セトレ:「何!? どうやって……?!」
彼は路地の隅々を探すが、何もない。
セトレ(目を見開く):「消えた……?!」
秘密通路を通り、地下ラボへ。
エリセナ:「ねえ、今何か叫び声聞こえなかった?」
グラシア:「え? 聞こえなかったわ。」
アストン(ニヤリ):「エリ、耳が老化したんじゃない?」
エリセナ(頰を膨らませ):「もー!まだ若い女の子だもん!」 *頰をつねる
アストン(痛がる):「いたっ! ごめん!」
グラシア(くすくす):「ふふ……」
ラボ内で、リシテアが魔法コンソールの前に立つ。モルアが腕を組んで隣に。
リシテア:「襲撃じゃないわ。一匹の強力な悪魔だけ。ドローンでは座標に何も見つからなかった。」
モルア:「賢い奴だ。」
リシテア:「警戒して。スパイの可能性もあるわ。」
モルア:「了解! 街を巡回してくる。久しぶりに街を歩きたいし。」
リシテア:「敵は強いわよ。気をつけて。」
モルア(ニヤリ):「もちろん!」
アストン(笑顔):「師匠なら大丈夫だよ!」
モルア(かすかに赤面):「当たり前だ、弟子よ。」
モルアは手を振り、秘密出口のドアへ向かう。
リシテアが僕たちに向き直る。
リシテア:「アストン。デスレイヤーを剣道袋に入れて持って行きなさい。悪魔相手に無力じゃ困るわ。」
アストン:「了解です。」
リシテア:「グラシアは?」
グラシア:「杖は即座に召喚できるし、低レベルなら氷魔法も使えるわ。」
リシテア(優しく):「それで十分よ。マナがまだ不安定なんだから、無理はしないで。」
グラシア(穏やかに微笑む):「はい……ありがとうございます、リシさん。」
エリセナ:「私はいつも魔法書を鞄に入れてるから大丈夫!」
リシテア(微笑む):「いいわね。警戒を怠らないことが勝利の鍵よ。頑張って。」
エリセナ(笑顔):「ありがとうございます!」
僕は武器を準備し、リシテアに見送られる。
別の秘密出口から保健室へ。授業が始まるので教室へ戻る。
席に着いた瞬間——
セトレ(乱入):「何!?」
クラス全員が息を飲む。
セトレ(困惑):「でも……さっきは——」
生徒女子1:「きゃああ! セトレ様~!」
生徒女子2:「私を王女に選んでくれるの?!」
女子たちが群がる。セトレは困惑しながら逃げるように去る。
生徒女子3:「待って~! セトレ様~!!」
僕はあくび。興味なし。グラシアがエリセナを見る。エリセナは首を振る。
放課後。生徒たちがグループで校門を出ていく。セセレは取り巻き女子たちと歩くが、口数が少ない。
生徒女子1:「セトレ様……お疲れみたい……」
生徒女子2:「でも黙ってるセトレ様もかっこいい~!」
セトレ(かすかに微笑む):「ありがとう、みんな。ちょっと考え事したいんだ……一人で。」
取り巻きたちが手を振って去る。セトレは校舎裏の路地へ向かう。
再び路地を隅々まで探すが、何もない。
セトレ(苛立ち):「くそっ……どこへ消えたんだ……」
その時、影から声。
???:「秘密の扉が気になるのか?」
長身の少年が現れる。
セセレ:「お前は?」
???:「名前はグスタフ。お前のクラスメイト。もう忘れた?」
セトレ:「男の名前なんて興味ない。」
グスタフ:「俺はあの扉のことは知ってる。教えてやってもいいが……条件がある。」
セトレ:「条件?」
グスタフ:「お前、あの男に腹を立ててるだろ? 1年B組のアストンに……」
セトレが一瞬止まる。
グスタフ:「俺もだ。あいつが周りの女の子たちを平然と誘惑してるのが許せない。一緒に潰そうぜ。」
セトレ:「平民を潰すのに助けなんかいらん。」
グスタフ(ニヤリ):「そうか? でもいずれお前は俺に頼ってくるさ。」
セトレが言い返そうと振り向くが、グスタフは消えている。
苛立ち、スマホを取り出す。
セトレ(叫び):「監視チームを展開しろ! 学校全体を捜索だ!」
執事:「坊ちゃま、ここはグレッグソン家の敷地ではないが……」
セトレ:「構わぬ!やらないとはクビだ!」
執事たちが慌てて動き出す。
屋上からグスタフが暗く微笑む。
――
第42章 学校の日々と新たな王子 終




