原典
道場の縁側に座り、木々がそよぐ音と池の水の静かな流れが、満月の下で穏やかに響く。
叔父サイモン(静かに):「立派になったな、アストン……君には真実を知る資格がある……両親について。」
話が始まる前に、僕は横を見やる。
アストン(ニヤリ):「ステラ、もう出てきてもいいよ。」
影から小さな息を飲む音がして、ステラが角から顔を覗かせる。
ステラ:「ほ、本当に……聞いてもいいの?」
アストン:「もちろん。君は僕の大切な妹だ。知る権利がある。」
ステラの頰が赤くなるが、笑顔で急いで僕の隣に座る。
叔父サイモン(語り始める):「クリフとメリーサ……君の両親は、私が知る中で最も勇敢な二人だった……」
回想が始まる。
――
嵐の空の下、クリフとメリーサが巨大な古代の剣を崩れた石から引き抜く。刃に複雑なルーンが輝く。
メリーサ:「この文章……デス・キングについて書かれている。この剣は彼のものだった。でも記録には名前がないわ……」
クリフ(ニヤリ):「じゃあ俺たちが名付けるか……デス・ソードってどうだ?」
メリーサ(くすくす):「ふふ……また下手なネーミングね。アポカリプス・ブレイドはどう?」
クリフ(満面の笑み):「それカッコいい! さすが俺の賢い妻!」
メリーサ(赤面):「ふん! 私が賛成した時だけ褒めるんだから……ねえ、アストン?」
メリーサは赤ん坊のアストンを抱きしめる。
赤ちゃんアストン(笑う):「はは!」
クリフが巨大な剣を完全に持ち上げ、わずかに足を滑らせる。
メリーサ(慌てて):「あなた!」
クリフは遺物を支えて踏ん張る。
クリフ(笑顔):「大丈夫、大丈夫!」
メリーサ(心配):「気をつけて、クリフ。こんな伝説級の遺物は、代償なしには手に入らないわ。」
クリフ(ニヤリ):「大丈夫だって! 幸運の女神はいつも俺の味方だ! これを国立博物館に売れば大金になる……やっと、愛する妻と息子に安心で幸せな生活をプレゼントできるぞ!」
メリーサ(かすかに赤面):「も~、今だって十分幸せなんだけど……」
赤ちゃんアストンをピックアップトラックに乗せ、メリーサはクリフを手伝って遺物を積み込む。
積み込みを終え、帰ろうとした瞬間——
アポカリプス・ブレードの柄から暗いオーラが輝く。不気味な囁きが赤ん坊に向かう。
謎の声:「なんて……脆い生き物だろう……」
好奇心から赤ちゃんが声の方へ這う。
謎の声:「小さな子……なんじがこんなに弱いのは見ていられぬ……近づけ。われの力を授けてやろう……」
赤ちゃんは目を輝かせ、無邪気に近づく。声の意味を理解せずに。
一瞬——
*ジィィィン!
紫黒の閃光が輝く。赤ちゃんが驚嘆の目で見つめる。謎の力が体に染み込むことに気づかず。
アポカリプス・ブレードの輝きが止まり、静寂が戻る。
メリーサが赤ちゃんを抱きしめ、帰路につく。
大雨が降り続く中、車が発掘現場から遠ざかる。
車のシルエットが嵐の闇に消えると、ポータルが開く。
長身の影が現れ、遺物が持ち去られたのを見る。
長身の影:「泥棒め……許さん……」
再びポータルを開き、消える。
トラックの中、クリフが親友サイモンにビデオ通話。
サイモン(画面上):「また子どもを遺跡に連れてったのか?!」
クリフ:「落ち着けって、メルが連れてけってさ。しかも俺がいつも家族を安全に守ってるよ。」
メリーサ:「はい、アストン……サイモン叔父さんにハローして。」
赤ちゃんアストン:「あ……う……」
小さな手を振らせる。サイモンが温かく手を振り返す。
背景で、サイモンの妻アンナが陣痛で叫ぶ。
サイモン(慌てて):「行かなきゃ! アンナが出産だ!」
通話終了。
クリフとメリーサが優しく微笑む。
クリフ(笑顔):「うちの子とサイモンの子、将来一緒に育つかもな?」
メリーサ(厳粛に):「ええ……男の子なら、あなたとサイモンみたいに親友になるかもね。」
クリフ(ニヤリ):「女の子なら、俺たちみたいに素敵なカップルになるかも!」
メリーサ(からかう):「そんなにサイモンと兄弟になりたかったの?」
クリフ(誇らしげ):「何言ってんだ、サイモンはもう俺の兄弟だ! 心の兄弟だよ!」
メリーサ(ため息):「はいはい……」
家族が温かな時間を楽しむが、突然——
メリーサ(驚き):「クリフ! 止めて!!」
クリフ(驚愕):「な、何!?」
道の真ん中に長身の影が立ち塞がる。
大雨で滑りやすい道、ブレーキは危険。
影を避けようとクリフが急ハンドルを切る。
長身の影:「泥棒め……」
影の右手が暗い魔力で輝く。手を掲げる。
長身の影:「死ね……」
*ズドン!
暗黒の矢がトラックの前輪を貫き、爆発。
*キィィィィン!
タイヤの悲鳴が嵐の夜を切り裂く。
クリフ(目を見開く):「くそっ!」 *バランスを取ろうとする
メリーサ(絶叫):「きゃああ!!」 *赤ちゃんを強く抱きしめる
車が制御不能に回転し、激突。
クリフが血まみれでよろめきながら車から這い出る。
メリーサは残骸に足を挟まれ、動けない。
クリフ(パニック):「くそっ! メリーサ! アストン!」
メリーサが薄く目を開け、赤ちゃんは母の保護で無傷。
クリフ(震え):「絶対に助ける! お前たちを!」
クリフが妻と息子を助けようとする中、長身の影が近づく。
メリーサは角と翼を見て目を見開く。
メリーサ:「クリフ……聞いて、お願い……クリフ……」
クリフは聞かず、完全に取り乱す。
クリフ(絶望):「助ける! 絶対に助ける!!」
メリーサ(叫び):「クリフ!」
叫び声でクリフが我に返る。
クリフ(驚き):「な、何だ、メル?」
メリーサ(落ち着いて):「クリフ……アストンを連れて。逃げて。」
赤ちゃんに別れのキス。
赤ちゃんアストン(笑顔):「ママ……!」
クリフ(泣きながら):「嫌だ! お前を置いていけない!」
メリーサがクリフの手を握り、励ます。
赤ちゃんアストン(困惑):「マ……マ?」
メリーサ(優しく微笑む):「君のその頑固な楽観主義が大好きだったわ、クリフ……さ、いきなさい!早く!」
息子を無理やりクリフに押しつける。
長身の影がさらに近づく。
長身の影:「泥棒め……全て殺す……」
メリーサ(焦り):「あいつ人間じゃないわ! クリフ、早く逃げて!!」
悪魔の目が輝く。クリフは息子を抱えて森へ走る。
クリフ(涙):「すまん、メリーサ!」
赤ちゃんアストン(泣き):「ママ! ママァァ!!」
クリフのシルエットが森の闇に消える。メリーサは二人に温かく微笑む。
メリーサ(安堵):「よかっ……た……」 *涙目
背後で恐ろしい悪魔が立つ。メリーサは悪魔の視線を受ける。
長身の悪魔:「泥棒め……」
暗黒の矢が彼女の頭蓋を貫く。
長身の悪魔は遺物を奪い返す。森へ向かう足跡に気づく。
長身の悪魔:「すべての泥棒……殺す……」
ポータルが開き、悪魔は消える。メリーサの亡骸だけが残される。
――
森の奥でクリフはよろめく。
大きな木の根元に息子を隠し、大雨から守る。
クリフ(電話):「サイモン……頼む……」
ダイヤル……
サイモン(電話):「クリフ……どうした?」
クリフ:「サイモン……俺の息子を見つけてくれ。ここにいる……」
正確な場所を共有。
サイモン(困惑):「クリフ? 何言ってるんだ?! 何があった?!」
クリフ:「頼む……全部お前に託す。ありがとう……俺の最愛の兄弟……」
サイモン:「待て! クリ——」
クリフが切る。
立ち上がると、足音と葉擦れの音。
クリフ:「くそっ!」
森の奥へ走る。悪魔を息子から遠ざけるために。
――
病院。
サイモンが分娩室に駆け込む。アンナが新生児を抱く。
サイモン(泣きながら):「私の娘……」
アンナ(弱々しく微笑む):「見て……あなたの髪の色……私の目……」
サイモン(涙目):「アンナ……ありがとう……無事に産んでくれて……!」 *手を握る
アンナ(優しく):「何言ってるの? 健康な女の子をこの世に産むのは、私の喜びよ……」
サイモンは震える手で娘を抱く。瞳が輝く。
アンナ:「あの子の目……星のように美しいく……名前は……ステラにしましょう……」
サイモン(泣き):「ステラ……私の娘、ステラ……」
温かな瞬間の後、アンナが突然倒れる。
サイモン:「アンナ! アンナ、大丈夫か?!」
医師が尽力するが……
医師:「本当に申し訳ありません……奥様は……助かりませんでした。」
サイモン(呆然):「な……」 *目が暗くなる
サイモンは膝をつき、心が粉々に砕ける。
――
雨の森。
クリフは走るが、すぐに掴まれる。長身の悪魔が迫る。
長身の悪魔:「見つけた……泥棒……」
クリフ(歯を食いしばる):「くそっ! くらえ!」
拳銃を引き、弾丸を全て悪魔の頭に撃ち込む。だが傷は瞬時に癒える。
クリフ(ニヤリ):「ちっ……化け物め……」
長身の悪魔:「死ね、泥棒!」
アポカリプス・ブレードが胸を貫く。
長身の悪魔:「我が王の宝を……穢したな……」
血が森の土を染める。
その夜、生まれたばかりの娘をゆりかごに寝かせたサイモンは、クリフが送った場所へ捜索隊と共に森へ向かう。
サイモン(叫び):「クリフ……! メリーサ……! どこだ……!」
突然、大きな木の下から赤ちゃんの泣き声。
サイモンが赤ちゃんアストンを見つけ、泥と濡れた葉にまみれた姿を抱き上げる。
サイモン:「アストン! もう大丈夫だよ……」
近くで捜索隊員がクリフの遺体を発見。
サイモン(膝をつく):「まさか……クリフも……?」
クリフの遺体を回収後、サイモンは赤ちゃんアストンを抱えて帰宅。瞳は悲しみで死んでいる。
家で、ステラのゆりかごの隣にアストンを寝かせる。
ニュースキャスター:「大雨による交通事故が発生。一人の女性が犠牲に。頭蓋部に致命傷……」
サイモンはメリーサの死にすら反応しない。
ニュースキャスター:「警察の調査により、女性の名前は……」
*パチッ
サイモンがテレビを消す。
ゆっくりキッチンへ。視線がナイフに注がれる。
サイモン(悲しみ):「メリーサ……クリフ……アンナ……」
ナイフを強く握り、首に当てる。自ら終わらせようとする。
だがステラとアストンが穏やかに眠る姿を見て、ナイフを落とす。
サイモン(泣きながら):「……」 *嗚咽
静かに泣く。赤ちゃんたちの前に膝をつく。
サイモン(心の声):「あの夜、私はすべてを失った……だが生き続ける理由だけは残った。君たちだ。君たちが俺を救った。」
――
第40章 原典 終




