戦う理由
アストンの冒険はまだまだつづける! どうぞ楽しんでお読みください!
翌朝、トロイジールの王軍がサンドローザ村に再びやってきた。指揮官ブリッツが傲慢に馬を進める。
村長と村人たちが集まる中、ブリッツが村長を睨みつける。
ブリッツ:「村長! 税金の回収に来たぞ!」
村長:「申し訳ありません、ブリッツ様……ご覧の通り、我々は生きるだけで精一杯じゃ……今は税金を払えません……」
ブリッツ:「何?……なら、女と子供を連れて行くぞ!」
村長:「何ですって!? どうかおやめください、ブリッツ様!」 *慌てる
ブリッツ:「ははは! なら税金を払え! さもなくば女も子供も全員連れて、このみすぼらしい村を灰に変えてやる!」 *ニヤリ
村人たちが恐怖に息を飲む。村長は必死に説得するが、軍は馬を返して去っていく。
ブリッツ:「あと一日だけ猶予をやる! これが最後のチャンスだぞ、村長!」
王軍は馬を駆って去り、村に絶望と恐怖だけを残した。
村人1:「故郷を壊されるなんて……!」
村人2:「私たちはどうなるの……?」
村長は村人たちを落ち着かせようとする。
村長:「わしが何とかする……みんな、心配しなくていい。」
僕たちは村長の家からこのやり取りを見ていた。
グラシア:「関わらないほうがいいわ。」 *冷たく背を向ける
エリセナ:「そんな? みんな苦しんでるのに。」
グラシア:「これが私たちの使命ではないし、道中で全員を救うなんて無理よ。」
アストン:「師匠、どう思う?」
モルア:「僕? ……すまん、私…まだわからない……」 *うつむく
アストン(決意):「なら、助ける。僕も黙って見ていられない。」
エリセナ:「アストン、私も賛成!」 *笑顔
グラシア:「はあ……もう、感情で動くなんて……」 *目を回す
僕たちは村長に会い、助けを申し出る。
村長:「申し訳ありませんが、旅人の皆さんを巻き込むわけには……」
エリセナ:「お願いです、力を貸させてください。」
村長:「よそ者の皆さんを我々の問題に巻き込むわけには……」
苛立ちを抑えきれず、グラシアが前に出る。
グラシア:「なら、土下座して死ぬのを待つ方がマシってこと? じいじい……みんなを集め。」
村長:「何のっ……」
グラシア:「早く!」
村長は驚きながらも、村人たちを集める。
村長:「サンドローザの悪魔たちよ! 僕たちは一人じゃない。白龍様、どうか知恵を貸して。」
村人1:「白龍? 村長のお客さんじゃないか?」
村人2:「よそ者が何をできるっていうんだ?」 *疑いの目
グラシアが前に進み、村人たち全員を見据える。
グラシア(ニヤリ):「けっ! 悪魔を名乗ってるくせに、みんな怯えてるだけじゃない……情けないわね!」
村人3:「何!?」
村人4:「この小娘が——」
グラシア:「みんな、悔しくないの? 踏みにじられて、奪われて……」
村人たちが静まり、彼女の言葉の真実に気づく。
グラシア:「誇りを忘れたの!? 悪魔なら、悪魔らしく戦え!! 生き延びるためだけじゃなく、自由のために!!」 *激しく叫ぶ
村人たちの魂に火がつく。村長が本来の強靭な姿に変身し、咆哮を上げる。
村長:「自由のために!!」 *咆哮
村人たち:「自由のために!!」 *叫ぶ
激しい宣言の後、グラシアは急に疲れ果てる。
グラシア:「やっぱり大勢の前は苦手……」
僕とエリセナが駆け寄る。
エリセナ:「グラシアさん、すごかったよ!」 *満面の笑み
グラシア:「別に……早く終わらせたかっただけ。」 *少し頰を赤らめる
アストン:「それでも……すごいよ。」 *微笑む
グラシア:「ちっ……バカ。」 *照れる
グラシアは照れ隠しに僕の鼻をつまんで。
日が沈み、村人たちは罠の設置と明日の戦いの準備を終える。村長の家で、僕は村長と村の戦士たちに作戦を説明。
アストン:「落とし穴トラップと挟み撃ち。直接対決は避けて、被害を最小限に抑える。」
村人:「なんて卑怯な! 僕たちは誇り高い悪魔だ! 正々堂々と戦う!」
グラシア:「じゃあ、名誉のために死ぬ方が家族を守るよりマシってこと?」
村人が黙る。村長が僕に頷く。
村長:「黒犬様、貴方の作戦に従います。我々は自由のために戦う。生きるためじゃ。」
夜、村人たちに食料を配るエリセナとグラシア。
グラシアが休憩していると、モルアが近づいて話しかける。
モルア:「どうしてそんなに気にかけるの? あいつらは悪魔だぞ。」
グラシアは無言でモルアを見る。そして答える。
グラシア:「論理的な理由はない。ただ……昔の自分を思い出させただけ。情けなくて、弱くて。」
モルア:「なるほど……」
グラシア:「どうしてあんなに種族にこだわるの? 悪魔なのは確かだけど、少なくとも敵じゃないわ。」
モルア:「それが……」
モルアは自分の過去をグラシアに語る。
話を聞き終えたグラシアは、モルアの痛みの深さを理解する。
グラシア:「大変だったのね……ごめん、知らなくて。」
モルア:「いいんだ……何年も一緒に戦ってきたのに、こんな深い話、初めてだね。」
グラシア:「うん、そうね。」 *かすかに微笑む
モルアは立ち上がり、グラシアに微笑む。
モルア:「話を聞いてくれてありがとう、グラシア。」
グラシア:「どういたしまして。次は私の番ね。」
モルア:「楽しみにしてるよ。」
夜は静かに過ぎ、太陽が昇る。
見張り台の村人が叫ぶ。
村人(叫び):「来たぞ!! 王軍が近づいてる!!」
スレイヤーズはすでに各ポジションへ。僕は前衛部隊を率い、エリセナとグラシアは村の魔法攻撃を防ぎ、モルアは……
アストン:「師匠、無理しなくていいよ。ここで見守ってて。」
モルア:「うん……すまんな……私も…助けたいのに……」 *まだ震える
エリセナ:「大丈夫ですよ、モルアさん! 私たちが師匠の分まで戦います!」 *前向きに笑う
モルア:「エリセナ……ありがとう。」 *優しく微笑む
グラシア:「行くわよ。」
モルア:「うん……がんばって。」
モルアは僕たちを見送る。拳を握り、苛立ちと葛藤に震える。
王軍が門をくぐり、罠に落ちる。
王軍:「これは!? 待ち伏せだ! 罠を仕掛けてるぞ!」
ブリッツ:「あの村長め! 税金より死を選んだか! 罠に気をつけろ! 慎重に進め!」
罠に落ちた兵を、僕たちの前衛部隊が挟み撃ち。
ブリッツ:「この戦術!? 軍事戦略家がいるのか!?」
王軍:「どうやら違うようです! よそ者が力を貸してるらしいです!」
ブリッツ:「ちっ! 面倒な! 撤退だ!」
グラシア:「逃がさないわ——アイス・ワォール!」
ブリッツが退却しようとするが、グラシアが巨大な氷壁で門を封鎖。
ブリッツ:「魔術師か!?」
兵は次々と倒される。同じ効果的な作戦を繰り返す。
ブリッツ:「馬鹿ども! 罠に引っかかるな!」
ブリッツが槍を掲げる。炎の魔力を宿した深紅の槍。
ブリッツ:「すべて焼き払え! ブレイジング・スピア!!」
炎の波が村へ向かう。グラシアがもう一枚の氷壁で防ぐ。
ブリッツ:「お前の氷など俺の炎に勝てん! ハハハハ!!」 *さらに強力な炎を放つ
グラシア:「ちっ! この炎、止められない!」
エリセナ:「私に任せて!」
グラシアの氷が溶ける中、エリセナが巨大な炎の壁を召喚。ブリッツの炎を押し返す。
エリセナ:「ファイア・ウォール!!」
激しい炎が融合し、空へ向けて爆発。村は無傷。
エリセナ:「やった!」 *目が輝く
グラシア:「ナイスアシスト、エリセナ!」 *かすかに微笑む
ブリッツ:「おのれ……魔術師どもめ!」 *槍を掲げる
槍の魔力が尽き、もう炎は出せない。
ブリッツ:「ぐあああ!! もういい! 俺の手で潰してやる!」
ブリッツは馬で突進するが、落とし穴に落ちる。素早く飛び上がり、単身で襲いかかる。
ブリッツ:「ハハハ! 子供じみた罠など俺には通用せん!」
ブリッツが魔法の槍を手に僕へ突進。
ブリッツ:「死ね!!」
僕は槍を弾き、飛ばす。そして剣をブリッツに向ける。
アストン:「終わりだ。降伏しろ。」
ブリッツ:「なるほど……わかったぞ! お前か! 全部お前の仕業だな!」
アストン:「そうだ……僕の作戦と、村人たちの勇気がお前を倒したんだ……」
ブリッツ:「倒した? このブリッツ様が!? 冗談じゃない!」 *剣を抜く
僕は構え直し、次の攻撃を待つ。
ブリッツ:「死ね! 黒犬!!」 *突進
鋼が激しくぶつかり合う。僕は受け、弾き、かわし、反撃。最後に腹へ蹴りを入れる。
ブリッツ:「ぐはあ!!」 *痛みにうめく
蹴りがブリッツを吹き飛ばし、家に激突。
家の一部が壊れ、隠れていた小さな悪魔の少女が姿を現す。
アストン:「しまった!」
ブリッツは少女を乱暴に掴み、人質にする。
小さな悪魔少女:「きゃあ!!」
ブリッツ:「武器を捨てろ! さもなくばコイツを殺すぞ!」
アストン:「くそ……」 *剣を落とす
ブリッツが狂ったように笑う。
ブリッツ:「はは……ハハハハハ!! お前が俺を倒しただと? 笑わせるな!! 結局この俺様、ブリッツ様が勝つんだ!! ハハハハ!!」
小さな悪魔少女:「助けて……!」 *涙目
一瞬でジェットブーストのキックがブリッツの顔面に炸裂。彼を壁へ吹き飛ばす。
モルアだった。閃光のように駆けつけ、少女を救った。
小さな悪魔少女:「え……?」 *驚く
モルア:「大丈夫かい、かわいい子?」
モルアは少女を抱き上げ、優しく抱きしめる。少女はモルアの胸で泣く。
小さな悪魔少女:「わあああ! こわかった! ありがとう……!」 *すすり泣く
モルア:「よしよし……もう大丈夫よ。」 *背中を撫でる
僕は心温まる光景を見て微笑み、グラシアに勝利の合図を送る。
グラシア:「勝利だ!!」 *杖を掲げる
村人たち:「オオオオオウ!!」
村は歓喜に沸く。ついに抑圧から解放され、犠牲者ゼロで勝利。
村人たちは残った兵を捕らえる。村長は元の小さな姿に戻る。
モルアは気絶したブリッツに近づき、頰を叩いて起こす。
ブリッツ:「お、お前は!? 悪魔の死刑執行者、風虎!! 噂だと思ってた!」 *恐怖で震える
モルア:「運がいいやろうだ、私が変わったから。協力すれば命は助けてあげるぞ。」 *冷たく睨む
ブリッツ:「はい! どうか命だけは!」 *情けなく懇願
村人たちが歓声を上げ、モルアを英雄と呼ぶ。
モルア:「私が……英雄?」
エリセナ:「そうよ! 小さな子を救ったんだから!」
グラシア:「その称号にふさわしいわ。」 *かすかに微笑む
僕はモルアに近づく。彼女は僕の目を見る。
アストン:「おかえり、師匠。」 *優しく微笑む
モルアは少し頰を赤らめ、笑う。
モルア:「うん……戻ってきたよ、弟子! 今度は殺すためじゃなく、守るために戦う!」
風が強く吹き、暗黒界に反乱の風が吹き荒れる。
――
第20章 戦う理由 終
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