コキュートス・ノヴァ
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グラシアは木々の間に倒れ、息が浅い。右脚が不自然に曲がり、明らかに骨折している。
グラシア:「ちっ……これが終わりか……?」 *目を閉じる
運命を受け入れ目を閉じかけた瞬間——
アストン(声):「グラシア! グラシア! どこだ!」 *木々や茂みを掻き分けて探す
グラシア:「うるさい……せっかく劇的な最期を楽しもうとしてたのに。」
アストン:「いた! グラシア! しっかり!」 *駆け寄り、優しく揺さぶる
グラシア:「うるさいわね……」 *苛立つ
アストン:「生きててよかった……大丈夫? 動ける?」
グラシア(うめきながら):「動けるわけないだろ、バカ! 右脚折れてる! 他の部位は大丈夫だけど……英雄的な退場を台無しにしたな。」
彼女がゆっくり力を取り戻すと、頭上の死の時計が消える。
アストン:「本当によかった……グラシア……生きててくれてありがとう。」 *安堵の笑み
グラシア:「急に優しくなるなよ……気持ち悪い……」 *少し頰を赤らめる
僕は彼女の状態を確かめ、心配になる。
アストン:「ひどい傷だ……退却しようか?」
グラシア:「いや……今、全部片付ける……数が多すぎる前に。」
話しながら、彼女は魔法で傷を凍らせ、止血する。
アストン:「なるほど……時間との勝負か。」
グラシア:「あんた戦える?」
僕は一瞬、自分の実力を疑う。まだ修行中の身だ。でも、この状況で助けられるのは僕しかいない。
アストン:「……わからない。でも、訓練した。守りたい人がいるから。」
グラシア(かすかに笑う):「なら、証明しろ。ほら——これを使え。」
彼女は氷の魔法を込めた短剣を渡す。刃が青く輝く。
アストン(心の中で):「冷たい……でも、なんだか手に馴染む……」
グラシアは杖に寄りかかり、ゆっくり立ち上がる。遠くの悪魔に向かって魔法を放つ。
グラシア:「アイシクル・ショット!」 *一本の氷柱を放つ
悪魔:「ぐあああ!!」 *痛みにうめく
群がる悪魔たちが僕たちに気づき、殺到する。
近づいてくる悪魔に、僕は短剣を振り下ろす。
アストン:「くらえ、悪魔ども!」 *大きく振る
短剣から冷気の波が広がり、襲いかかる悪魔たちを凍らせる。魔法の力に驚き、僕は呆然とする。
アストン:「うわ……! すごい!」
グラシア:「前見てろ、バカ。」 *杖で僕の頭を軽く叩く
僕たちは一緒に戦う。グラシアは遠距離から氷柱を連射し、僕は素早く斬り、かわす。
アストン:「勝ってる! いける!」
突然、僕の手の短剣が輝きを失う。
アストン:「えっ!?」
魔力が切れた。僕は悪魔から距離を取る。
グラシア:「魔力切れ……続けなさい。私はポータルを閉じる。」
アストン:「でも——」
グラシア:「動け!」 *僕を押し出す
アストン:「マジかよ!?」
僕は短剣だけで戦う。訓練の成果が出ている。素早く動き、爪をかわし、攻撃を弾く。
グラシア(心の中で):「速い……いい勘だ。初心者にしては悪くない。」
スタミナが切れ、動きが鈍る。突然、爪が迫る。
悪魔:「らあああ!」 *爪を振り下ろす
アストン:「しまった!」 *反射的にガード
爪が当たる直前、炎が爆発。悪魔を焼き払う。
アストン:「え……?」
振り返ると、エリセナが立っている。掌から煙が上がり、足が震える。
エリセナ:「……座って見てるだけなんて、できない……私も戦う!」 *恐怖を押し殺す
アストン:「エリセナ!? その炎……ついに——?」
エリセナ:「うん! ようやく制御できた!まだ 弱いな炎だけなんだけど……」
アストン:「それでも……すごいよ!」
エリセナ:「ふふ……もっと褒めて……」 *得意げに笑う
グラシアはエリセナを見る。一瞬、記憶がフラッシュバック——別の炎使いの姿。
グラシア(心の中で):「……彼女に似てる……でも、思い出せない……」
彼女は首を振って振り払う。
悪魔の群れが迫る。グラシアが指揮を取る。
グラシア:「アストン、こっち。エリセナは防衛線を維持。」
エリセナと無言で頷き合い、僕はグラシアの元へ走る。
アストン:「どうする!?」
グラシア:「あんたが私の右脚になる。」
アストン:「え!?」
グラシア:「右脚が折れてるんだ、バカ! しっかり立ったなきゃ全力魔法を撃つできない!」
僕は迷わず彼女を肩車にさせる。
アストン:「こう!?」
グラシア:「そ、そうじゃないけど……まあいいわ。」 *少し頰を赤らめる
彼女は杖を掲げ、ポータルに向かって全力の魔法を溜める。魔力が集まり、詠唱が始まる。
グラシア:「氷の女神よ、汝の力を貸したまえ……」
僕は彼女の優雅な詠唱に息を飲む。
詠唱が進む中、エリセナが炎を連発。
エリセナ:「私の魔法は……傷つける力じゃない! 守る力だ!」 *広範囲の炎を放つ
悪魔:「ぐあああ!!」 *焼かれる
僕は彼女の成長に興奮する。
アストン:「エリセナ! すごい! もう少しだ!」
エリセナは頰を赤らめ、頷き、歯を食いしばって続ける。
エリセナ(心の中で):「褒めてくれた! もっと輝く炎を見せる!」 *興奮
炎がさらに強くなる。
エリセナ:「ひゃあっ! ファイア・ウォール!」
炎の壁が立ち上がり、悪魔を焼き払う。
悪魔:「うあああ!!」 *灰になる
最大の炎を放った後、エリセナは力尽きてよろける。
エリセナ(疲労):「うう……もう限界……」
グラシアの詠唱が完成。
グラシア:「エリセナ! 道を開け!」
エリセナ:「はい!」
エリセナが離れると、グラシアの魔法が頂点に。
グラシア:「これこそ、すべてを砕く凍てつく地獄——!」
杖の魔力が青く輝く。
グラシア:「コキュートス・ノヴァ!!!」
巨大な氷山がポータルを飲み込み——爆発。ポータルが粉砕され、悪魔たちが消える。
雪が静かに中庭に舞う。エリセナは呆然と見つめる。
エリセナ(囁き):「……綺麗……」
グラシアは深く息を吐き、力が抜ける。
グラシア(淡々):「下ろせ、アストン。」
アストン:「うん。」
僕は優しくグラシアを下ろす。彼女は地面に座る。
グラシア:「うう……ポータルの欠片、拾ってきて。」
アストン:「お、おけ……」
僕はクレーターへ走り、欠片を集めてグラシアに渡す。
グラシア:「よくやった。」
アストン:「うん……でも、それ何に使うの?」
グラシア:「あんたの知ったことじゃない。」
アストン:「えー……」
グラシアが先ほど張った「タイムレス・ドメイン」が消える。壊れた校舎とクレーターが元に戻る。
アストン:「え!? どうやって——?」 *混乱
グラシア:「魔法使えないあんたには複雑すぎるわ。」
エリセナが駆け寄り、グラシアの手を取る。
グラシア:「お、おい! 何——!?」 *驚く
エリセナ:「グラシアさん! すごかった! あなたの魔法が美しいすぎる! 学校に魔法使いがもう一人いたなんて!」 *興奮
グラシアは褒められ慣れていないのか、顔を赤らめ、視線を逸らす。僕の方を向いて、真っ赤な顔。
アストン(ニヤニヤ):「へえへえ……褒められて照れる可愛い子は誰かな?」 *からかう
グラシア(照れ):「黙れ、バカ!」
杖で僕の頭を叩く。
アストン:「いたっ……」 *頭を押さえる
グラシアは立ち上がり、折れていた脚が元通りになっている。
アストン&エリセナ:「脚が!?」 *驚愕
グラシア(ニヤリ):「気になる? ならついてきなさい、のろまども。」*振り返って歩き出す
僕とエリセナは目を見合わせ、頷き合う。彼女の後を追う。
――
第13章 コキュートス・ノヴァ 終
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