表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

第7話

クリスマスの一週間前。


その夜、変化が起きた。

彼女がボールペンを手に、俺の前に立った。25日の枠を見つめている。


「やっぱり...好きなの。どうしたらいいかわからない...」


彼女はペンを俺に近づけた。「マサト」の文字を線で消そうとしている。

違う。それは違う。俺は強く思った。

わからないなら会うべきだ。会って、自分の気持ちを確かめるべきだ。選択肢を残したまま逃げるな。後悔するぞ。


「マサト」に横線を引こうとした、その瞬間——


ペンが弾かれた。


いや、正確には、インクが紙に乗らない。何度書こうとしても、まったく文字が書けない。線が引けない。

彼女は驚いて手を止めた。


「え...インク切れ?」


彼女は試しに隣のメモ帳に線を引いた。ちゃんと書ける。

再び俺に書こうとする。書けない。


「なに、これ...」


彼女は俺をじっと見つめた。その目には、恐怖ではなく驚きと、そして不思議な安堵があった。


「もしかして...」


俺は何もできない。何も言えない。ただのカレンダーだ。

でも——今、確かに何かが起きた。

俺の意志が、現実に影響を与えた。確かにインクを弾いた。

どうやって?なぜ?紙なのに?

分からない。でも、起きた。


「どうすればいいの?」彼女が俺に聞いた。


俺は答えられない。


「会えってこと?会って、ちゃんと終わらせろってこと?」


そうだ。その通りだ。

逃げるな。向き合え。ヨリを戻すのも、ぶん殴ってくるのも、全ては自由だ。

自分の人生に責任を持て。人生に後悔を積み上げるな。


彼女は俺に手を当てた。紙越しに伝わる温もり。人間の手の温もり。


「わかった」


彼女が微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ