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the world   作者: RAN
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ひび割れ

my channel youtube is NAM ANH @nam-j99

二十二日目。

彼らは進み続けた。砕けた世界の灰色の光の中、三つの影がよろめくように歩いていた。


風は刃のように顔を切りつけ、呼吸するたびに肺が裂けるように痛む。

地面は灰色で、乾いた血のシミが点々と広がり、空には砕けた光の破片がぶら下がっていた。それは決して落ちることなく、嘲笑うように瞬いている。


リンは先頭を歩いていた。足裏は血に染まり、歩くたびに赤い跡を残した。

後ろには傷跡のある青年と少女が沈黙したままついてくる。言葉はなかった。


昼頃、彼らは深い岩の裂け目に辿り着いた。地面から冷たい風が吹き上がり、そこには暗闇と、何かが腐ったような生臭い匂いが漂っていた。


裂け目の中から、低い唸り声が聞こえた。

緑色の光る目が一対、二対、三対…群れが待ち構えていた。


青年が低く呟く。

— 「クソッ…抜けられるのか?」


リンは答えず、ただ錆びたナイフを握りしめて身を屈めた。


奴らが飛びかかってきた。

一匹がリンの肩に食らいつき、地面に叩きつける。牙が骨に食い込み、強く引き裂いた。

リンは叫び、怪物の顎を蹴り飛ばした。血が顔に飛び散る。


手の甲の刻印が赤く燃え上がり、皮膚が裂けそうなほど熱い。

闇が再びあふれ出し、ナイフを包み込み、漆黒の剣へと伸びていった。


一振りするたびに怪物の肉が深く裂けるが、そのたびに体中が痛みに襲われ、血管が膨れ、視界が滲み、心臓が暴れた。

耳や鼻、口の端から血がにじむ。


後ろで少女が悲鳴を上げる — 一匹が彼女に飛びかかり、肩を切り裂き、血が溢れ出る。

彼女は膝をつき、泣きながらナイフを震わせる。


青年が駆け寄ろうとするが、はじき飛ばされる。

少女の視線がリンに向く。恐怖と必死さが入り混じる目。


— 「…たすけ…」


リンは剣を握りしめ、歩み寄った。

一歩ごとに肉が裂けるような痛みが走るが、止まらない。


— 「殺さなければ…お前が死ぬ。」

頭の中で囁く声。


振り下ろす。

一匹、二匹…黒い血が飛び散り、顔を汚す。

闇が渦巻き、全てを呑み込み、肉が焼け焦げる匂いが漂い、悲鳴と鉄の音が響く。


最後の怪物が切り裂かれ、痙攣して、黒い血を撒き散らして倒れた。


少女はよろよろと立ち上がったが、その目は…怯えていた。

リンを、まるで別の怪物を見るような目で。


青年も黙って剣を握りしめ、疑いの目を向けていた。


頭の中の闇がくすりと笑う。


「見ただろう?彼らはお前を恐れ始めた。ようやく…お前が何なのかを知った。」


リンは汗と血にまみれ、息を荒くし、傷がゆっくりと塞がり、新しい傷跡が残るのを感じていた。


その夜、彼らは小さな火を焚いて、血に染まった服を乾かした。


誰も喋らない。

ただ風が鳴り、焦げた肉の匂いが漂うだけだった。


少女は火の端に座り、膝を抱えて、時折リンをちらりと見た。

青年は座ったまま剣の柄を握りしめ、眠ろうとしなかった。


リンは向かい側で、無表情に炎を見つめていた。


声が再び囁く。


「もっと深く…それでいい。もう引き返せないぞ。でも少なくとも…お前はもう弱くない。」


リンは頭を垂れ、乾いた唇の端に冷たい笑みを浮かべる。


— 「…だから…いいさ。ここに…帰る道なんてない。」

私のYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@nam-j99

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