ひび割れ
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二十二日目。
彼らは進み続けた。砕けた世界の灰色の光の中、三つの影がよろめくように歩いていた。
風は刃のように顔を切りつけ、呼吸するたびに肺が裂けるように痛む。
地面は灰色で、乾いた血のシミが点々と広がり、空には砕けた光の破片がぶら下がっていた。それは決して落ちることなく、嘲笑うように瞬いている。
リンは先頭を歩いていた。足裏は血に染まり、歩くたびに赤い跡を残した。
後ろには傷跡のある青年と少女が沈黙したままついてくる。言葉はなかった。
昼頃、彼らは深い岩の裂け目に辿り着いた。地面から冷たい風が吹き上がり、そこには暗闇と、何かが腐ったような生臭い匂いが漂っていた。
裂け目の中から、低い唸り声が聞こえた。
緑色の光る目が一対、二対、三対…群れが待ち構えていた。
青年が低く呟く。
— 「クソッ…抜けられるのか?」
リンは答えず、ただ錆びたナイフを握りしめて身を屈めた。
奴らが飛びかかってきた。
一匹がリンの肩に食らいつき、地面に叩きつける。牙が骨に食い込み、強く引き裂いた。
リンは叫び、怪物の顎を蹴り飛ばした。血が顔に飛び散る。
手の甲の刻印が赤く燃え上がり、皮膚が裂けそうなほど熱い。
闇が再びあふれ出し、ナイフを包み込み、漆黒の剣へと伸びていった。
一振りするたびに怪物の肉が深く裂けるが、そのたびに体中が痛みに襲われ、血管が膨れ、視界が滲み、心臓が暴れた。
耳や鼻、口の端から血がにじむ。
後ろで少女が悲鳴を上げる — 一匹が彼女に飛びかかり、肩を切り裂き、血が溢れ出る。
彼女は膝をつき、泣きながらナイフを震わせる。
青年が駆け寄ろうとするが、はじき飛ばされる。
少女の視線がリンに向く。恐怖と必死さが入り混じる目。
— 「…たすけ…」
リンは剣を握りしめ、歩み寄った。
一歩ごとに肉が裂けるような痛みが走るが、止まらない。
— 「殺さなければ…お前が死ぬ。」
頭の中で囁く声。
振り下ろす。
一匹、二匹…黒い血が飛び散り、顔を汚す。
闇が渦巻き、全てを呑み込み、肉が焼け焦げる匂いが漂い、悲鳴と鉄の音が響く。
最後の怪物が切り裂かれ、痙攣して、黒い血を撒き散らして倒れた。
少女はよろよろと立ち上がったが、その目は…怯えていた。
リンを、まるで別の怪物を見るような目で。
青年も黙って剣を握りしめ、疑いの目を向けていた。
頭の中の闇がくすりと笑う。
「見ただろう?彼らはお前を恐れ始めた。ようやく…お前が何なのかを知った。」
リンは汗と血にまみれ、息を荒くし、傷がゆっくりと塞がり、新しい傷跡が残るのを感じていた。
その夜、彼らは小さな火を焚いて、血に染まった服を乾かした。
誰も喋らない。
ただ風が鳴り、焦げた肉の匂いが漂うだけだった。
少女は火の端に座り、膝を抱えて、時折リンをちらりと見た。
青年は座ったまま剣の柄を握りしめ、眠ろうとしなかった。
リンは向かい側で、無表情に炎を見つめていた。
声が再び囁く。
「もっと深く…それでいい。もう引き返せないぞ。でも少なくとも…お前はもう弱くない。」
リンは頭を垂れ、乾いた唇の端に冷たい笑みを浮かべる。
— 「…だから…いいさ。ここに…帰る道なんてない。」
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