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the world   作者: RAN
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最初の傷

my channel youtube is NAM ANH @nam-j99

自分がどれほど歩いたのか、もう思い出せなかった。

ただ、目を開けるたびに新しい一日が訪れる。いや、ここではいつも同じ地獄か、それより酷い地獄が続くだけだった。


腹はぺたんこに凹み、手はひび割れ、薄い氷が肩に積もり、髪は鳥の巣のように乱れていた。

壊れた世界には夜明けがない。あるのはただ、灰色の濁った空と、砕けた光の破片が空中に浮かぶ景色だけ。


十四日目、リンは峡谷から滑り落ち、暗い洞窟に迷い込んだ。

そこなら安全かと思った。しかし闇の中で、カサカサという音が聞こえた。

低い姿勢で背中に棘を持つ、燃えるような目をした獣が待ち構えていた。


獣は咆哮を上げ、恐ろしい速度で飛びかかってきた。

その牙がリンのふくらはぎに食い込み、肉が裂け、血が飛び散った。


—「クソッ……」


リンは錆びたナイフを握りしめた。

その瞳が赤黒く輝き、手の甲の印が熱を帯びる。

どこからか闇が溢れ出し、ナイフを包み、黒く長い刃に変わる。


このとき、リンは初めて…呼吸が楽になった気がした。


—「……お前を殺さなきゃ…俺が死ぬ。」


金属が肉を裂く音と火花が散る。

一太刀ごとに体が悲鳴を上げ、視界が滲む。


それでもリンは止まらなかった。

やがて、獣は頭を切り落とされ、黒い塵となって崩れ落ちた。


リンは膝をつき、肩で息をしながら、血を吐いた。

頭の中に遠い声が響く。


—「どうだ? 自分の恐怖を喰らう味は。」


リンは笑みを浮かべ、震える手で刃を地面に突き刺した。

—「……まだ足りない。」


二十一日目、リンは二人の放浪者に出会った。

顔に大きな傷のある青年と、ぼさぼさの髪で鋭い目をした少女。


彼らはリンを見て、カビ臭いパンを差し出した。

—「食え。食わなきゃ今夜には死ぬぞ。」


リンは無言で受け取った。


三人は共に歩き出したが、それぞれの間には一定の距離があった。

誰もがナイフを手放さず、相手の一挙手一投足を睨み続ける。

ここでは、信じることは贅沢だ。


それでも、リンは少しだけ…心が軽くなった。

少なくとも、風の音を一人で聞かずに済む。


その夜、少女が聞いた。

—「……怖くないのか? その手…その印…」


リンは手の甲を見た。

闇の中でも赤く燃えるその印は、まるで彼を嘲笑う傷のようだった。


リンはただ答えた。

—「怖がってたら…もう死んでる。」


リンは目を閉じる。頭上で黒い鳥の羽ばたきが聞こえる。


—「…進め。深く潜るほど…戻れなくなる。」


リンは小さく笑う。


—「いいさ。ここに…帰る道なんてない。」


そしてまた、歩き出した。


何が待っているのかは分からない。

ただ、殺せば生き残る。

生き残るたびに、闇は少しずつ大きくなっていく。

私のYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@nam-j99

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