第15章:新たな動画?TOP9有名シーン・修行編
~TYPE-MOON世界・プリズマ☆イリヤ世界線~
「……これが、あなたの過去なのね、美遊」
イリヤは映像を見終えた後、感情のこもった重い声で呟いた。彼女は以前こそ美遊の物語を知らなかったが、今ではその苦悩の深さを理解していた。
(でも、相手はとても頑張った。だって美遊は、すごく、すごく……)
全てを知った今、彼女は再び悲しみに襲われた。見知らぬ世界にたどり着いた美遊の困惑と孤独は、イリヤの胸を締めつけた。
涙が止まらない。イリヤは美遊を強く抱きしめながら、声を震わせた。
「絶対に!!…私、絶対にあなたを幸せにするから……」
「何をしてるの…言ってることが聞こえないわよ…」
美遊は半ば呆れながらイリヤを押しのけようとしたが、彼女が微動だにしないと悟ると、ため息をついて抱き返した。
「ええ、兄さん…友達ができました。この手に入れた幸せを、感じています!」
泣くイリヤを抱きしめながら、美遊は次第に明るい表情を取り戻していった。
「美遊様──」
元気づいた美遊を見守るマジカルサファイアは、ようやく安堵の息をついた。
「正直、次の回顧編が楽しみです」
~NARUTO世界~
「エロ仙人…なんで衛宮士郎は美遊を元の世界から離したんだ?」
うずまきナルトは静かに、しかし悲しみを滲ませながら尋ねた。
美遊が初めて異世界に来た時の姿は、かつての自分と重なった──あの孤独な頃の!
彼はその気持ちをよく理解していた。家族愛を渇望する感覚を。だからこそ、衛宮士郎と美遊の別れには耐えられなかった。
(なんかモヤモヤする…この結末、俺が思ってたほどキレイじゃない)
士郎は美遊を救い、別世界へ送り出した。だが、美遊にとって──
こんな生活、本当に望んでいたものなのか?
自来也はナルトにアイスを渡し、慰めながら説明した。
「あの世界に士郎が留まっていたら、ギルガメッシュの力を使うアンジェリカに勝てなかった。美遊を送り出すのが最善の選択だった」
ナルトはアイスをかじりながら自来也の言葉を咀嚼した。それでも、違和感は消えなかった。
(でも、これじゃ美遊はまたゼロから始めなきゃいけない。士郎の生死もわからないまま…)
(二人とも好きなキャラなのに、こんな結末は嫌だ。士郎と美遊が一緒に世界を出られたら、美遊も幸せになれたはずだ)
自来也はナルトの肩を叩き、深く嘆いた。
「衛宮士郎はできる限りのことをした。彼が美遊と一緒に脱出するのは非現実的だ。重要なのは、美遊が再生し、あの終わった世界から解放されたことだ」
~TYPE-MOON世界・第四次聖杯戦争時間軸~
アイリスフィールはスクリーンを見つめ、表情を曇らせた。衛宮士郎の運命は未確定のままで、美遊の孤独な異世界生活が彼女の胸を苦しめた。
切嗣はようやく、士郎の「俺の勝ちだ、切嗣」という宣言の真意を理解した。
士郎は「正義の味方」という枷を捨て、自らの道を選んだのだ。
アルトリアは首を傾げた。
「聖杯は全能ではないのか? なぜ士郎は美遊のため完璧な世界を創造せず、異世界へ転送するだけだったのか?」
衛宮切嗣は無表情のまま答えた。
「あの世界の聖杯は美遊そのものだ。神が自らの創造物を破壊できないように、彼女を別世界へ送るのが唯一の願いだった」
アルトリアはゆっくりとうなずき、納得した。
「確かに、それさえ成し遂げるのは驚異的だ」
~TYPE-MOON世界・第五次聖杯戦争時間軸~
赤アーチャー【エミヤ】と衛宮士郎は視線を交わし、美遊が新世界で居場所を得た様子に満足げに頷いた。
「自分以上に自分を理解する者はいない」
赤アーチャーは苦笑混じりに呟き、運命未確定の異世界の自分を見つめた。
「これが第二の選択肢か…どういう道を選んでも、結局独りになるのか」
彼は、世界と契約して守護者となりながら、その力を美遊を守るためだけに使った異世界の自分を賞賛した。
「これが悪なら、悪でも構わん…」
赤アーチャーは羨望を込めて呟いた。
「あの世界の俺は羨ましい──真の目的を見つけたからな」
士郎はかすかに微笑んだ。
「ああ」
赤アーチャーは深く嘆息した。
「妹がいたら、俺もこんな道を選ばなかったかもしれない」
遠坂凛は二人の士郎の会話に呆然とし、小声で呟いた。
「次の動画、マジで楽しみ…中毒性あるわ!」
突然、スクリーンに新たなタイトルが浮かび上がった。
「見ろ!!…新作動画だ!!」
凛がスクリーンに目を戻すと、ため息をついていた二人の士郎を引き寄せた。
「もう…早く見せて」
真っ黒だった画面に、新たな文字列が現れる:
【TOP9:麦わらのルフィVS百獣のカイドウ!!】
凛は眉を吊り上げた。
「『雪下の誓い』みたいに謎めいてないわね。ストレートすぎるタイトルだ」
他の世界の住人たちも同様に感じていた…だが、唯一違ったのは、ワンピース世界が沸き立っていたことだ。
~ワンピース世界~
「ルルル…ルフィ!!!お前なのか!?」
「わたしはチョッパー。愛称は"わたあめ大好き"チョッパー」
トニートニー・チョッパーはゾロの背後で震えながら隠れた。カイドウが誰かは知らないが、全次元投影=有名=危険という図式は理解した。
モンキー・D・ルフィ──通称"麦わらのルフィ"は、興奮して拳を振り上げた。
「百獣のカイドウ?!スゲェ!ハハハハ!」
ロビンだけは表情を曇らせた。
「ルフィ、それは四皇の一人よ。笑い事じゃないわ」
~世界政府側~
「なぜルフィがカイドウを挑発した?!水の都にいるはずじゃないのか!?」
ガープ中将はスクリーンを信じられない様子で見つめた。
~鬼ヶ島・百獣海賊団本拠地~
「麦わらのルフィ?聞いたことねェな…」
百獣のカイドウは酒を飲みながら酔っぱらった調子で呟いた。
~インペルダウン~
「カイドウ?!まさか…!」
ポートガス・D・エースは恐怖で叫んだ。四皇の船に乗った経験がある彼は、その脅威を誰より知っていた…
世界中で噂が巻き起こり、平穏だった世界は騒動の渦に飲み込まれていく。
そして映像内の文字が薄れ始め、再生が開始された──