プロローグ
休日の朝、ルーシーは自室で横になりながらスマートフォンをいじっていた。すると、母が部屋に入ってきて、「もう9時だよ。まだ出て行って、洗って支度しなさい」と声をかけた。母はさらに、「スマホばかりしていると、いつか自分がスマホになってしまうわよ」と冗談交じりに諭す。しかし、ルーシーはそれを聞いて笑い飛ばし、「そんなのありえないよ」と答えた。
翌朝、ルーシーは目を覚ますと、広大な空間に立っていた。あたり一面に無数の星々と惑星が輝いており、何が起こったのか理解できず、目的もなく足を進める。すると、まるで女神のような美しい女性が現れた。ルーシーは彼女に「あなたは誰? そして、ここはどこなの?」と尋ねると、女性は自らをギャラクシアと名乗り、ミルキーウェイ銀河の守護者であると告げた。
ルーシーは「あなたは本物の女神ですか?」と疑問を呈したが、ギャラクシアは静かに否定した。彼女は、実は宇宙に存在する数十億の銀河の中から、たった一つのビマ・サクティ銀河の均衡を守るために創造された存在だという。しかも、彼女自身は何か大いなるエンティティによって生み出された存在であり、他の銀河にも各々の守護者が存在するのだと語った。
「では、私がここにいる理由は?」とルーシーが問いかけると、ギャラクシアはこう告げた。「ルーシー、あなたはもうこの世にはいない。今、あなたは『エーテリウム』と呼ばれる神聖な次元にいるのです。そこは、生まれ変わりを待つ魂だけが訪れる場所です。」
自分が亡くなった事実に気づいたルーシーは、驚きと疑問でいっぱいになり、「一体何が原因で……?」と訊ねた。するとギャラクシアは、ルーシーが寝たまま充電中のスマートフォンが過熱し、爆発してしまったために命を落としたと説明した。そして、生前のルーシーは世間に対して何の貢献もしてこなかったというのだ。
その上で、ギャラクシアはルーシーに罰を与えると告げた。「あなたは、ただの人間としてではなく、スマートフォンとして新たな命を得るのです。そうすれば、あなたを見つけた誰かが、あなたを役立て、より良い文明を築く手助けとなるでしょう。」
ギャラクシアはルーシーを、科学が未発達ながらも魔法が息づく惑星ヴァルドリアへと送り込む計画だと明かした。ルーシーがその惑星に放り込まれる瞬間、ふと母の言葉が脳裏をよぎった。「いつかお前はスマートフォンになる」と。ありえないはずのその運命が、今、現実のものとなったのだ。




