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 徳丸様から手紙が来ていた。それによるとおそらく揚州は漢の官僚以外有力者がいないからなるべく取った方が良いらしい。時間かけようと思ったがこれは少数でもちまちま戦ってみた方が良いな。後は小型化した無線を使った機械化部隊の機動戦について書かれていた。早く攻めるためばかり考えていたが、防御にうまく使えるって視点が上手い。


 根本的にはローマの戦術らしい。そこに無線を使って機械化部隊をどこに配置するか?を知らせるようだ。ローマのものは遅滞戦術を使って周りから集まってくるのを待つらしいが、これを集めるのを無線と機動力がある機械化部隊を使えば遅帯戦術を使わなくても応用できるのと、もう1つはそこに一工夫加えて、戦力が足りてない場所に十分な場所から素早く移動させて見せかけの数を割り増ししてしまうという荒業も可能らしい。


 中華の問題点は平坦な場所が多い。というか徐州と青州の内陸部は大河の平野でもろそれ。そのためとても守りにくい。函谷関があれほど有名なのは中華では珍しい場所だからだろう。日本はああいう場所がちょこちょこある。この防衛戦略かなり中華向きだ。ただ、徳丸様は、すぐには完成しないのでその間に待ってるより揚州をって話で最初につながっている。


 ただ新しいものを開発するわけじゃないので多分それほどは時間がかからないから楽しみにしておけとの事らしい。


 なら早速日本軍と黄巾党の連合軍で少数精鋭でやってみるか。いやまずは調査しよう。徳丸様を信じてないわけじゃないが、時間が焦ってるわけでもないから念のため大勢力をきづくような有力者がいないか?調査しよう。数日してやはり徳丸様の情報は正しかったようだ。徐州の官僚などをすでに一部取りこんでいるためこのあたり聞いてみると。


 基本地元に根差した有力者の一族からは州の代表は選ばないようだ。封建制のようになって王族化して反乱分子になるのを防ぐためだそうだ。そしてこの機構がまともに動くためには中央の漢との連携が不可欠。だから今はその機能が機能してないのが想像できる。有力者と結びつきが無い代表の地区はとりやすい。


 しかもとってかわる大勢力もいない。これはねらい目だ。李北と話し合うことした。


「どうも揚州攻略を急いだ方が良いかもしれない」


「2州の防御を固めてからと話してなかったか?」


「将来攻勢にでるのに兵の動員数を上げる必要がある。そのため重要なのが、支配する州を増やすことが重要。まあこれはだれでもわかる。だが揚州が最もねらい目なのはまずここを支配すると中華の海岸沿いを大体抑えてしまう。制海権を握ってるので、後ろから攻められることが無いため兵力を前面だけに向けやすい」

「当然黄巾党と親しい海外勢力との貿易がしやすい。なおかつここで最優先は分かったとなるが、早くやる意味は、どうも揚州って支配してる代表がたいした人物ではないのと、地元の人間との連携が薄い。地元から兵を集めて立ち上げるような人物ではない。だからまずそれほど多くの部隊じゃなくても手早く占領可能かもしれない」

「分かると思うがこんな地域他の連中に取られてしまうぞ?」


「ああ先んずる必要のためか」


「それだけじゃない、当初の計画では防御を固めないと元が反乱勢力なので目を付けられやすい。そのため防御にさく人数がどうしてもある程度いる。防御に大半を回しても、少数精鋭で意外とやれてしまうかもしれない」


「まずはやってみるか?」


「ああ少ないと言っても日本が誇る機械化部隊が協力するなら多分かなりの戦力になると思う」


 戦略はいたってシンプル。大部隊でじわじわって形じゃない。奇襲に近い。電撃作戦で、中央と分断された各個撃破を狙う。何より分断してるのは自分たちだからまず上手く行くのが分かる。ただ難しいのは、最終的に中央の董卓や付近にいる有力者に近づくのを最後にしなくてはいけない。敢えて一部取られても仕方ないように攻めた方が良いな。


 会稽郡と呼ばれる徐州を南下した海岸沿いの地域から攻める。なるべく内陸部の袁術を刺激しないようにまずは海岸部から落とす。ただこの地域の代表が進撃して反抗してきたらそのあたりは反撃のため内陸部にも移動する。少数で良いから陽動的に日本軍と連動して海からもうまく攻めた方が良いな。


 あっけないほど簡単に落とせる。人口の多い中華は兵隊が集まるから怖いんだな。各個撃破なら日本とあまり変わらない。しかも中央と分断されてて、地元に根を張った有力者じゃないから兵が粘らない。降伏が早い。数日で目に見える領域を支配してしまった。そしてこれを止めてはならない。連絡がいくからだ。


 どんどん電撃的にそして奇襲的に進めていく。会稽郡の領域は数日で支配下に置いた。南に位置する丹陽郡に進む。軍をを分けられないのが辛い…。これらの支配が終わるとここからが難しい。廬江郡、九江郡は中央に近づくのを避ける。


 最大の問題は呉群にいる孫堅だろう。敢えて攻め込まずに一旦これは放置することにする。ここは新戦術のための機械が届くまでは手を出さない。有力者が多い中央に近づかないように敢えて支配領域を残して、廬江郡、九江郡の2群を支配した。これは危なかったな。ぐずぐずしてたら孫堅に取られていただろう。


 すぐに手を打って良かった。つい最近までおそらく孫堅は連合軍に加わっていたはずだ。直接戦って確認したわけじゃないが集めた情報からそうだと考えている。


 董卓を排除して皇帝を確保しなくてはいけないのだが、孫堅がかなり邪魔になりそうだ…。時間がかかりそうだ。内政を整えてやってると遅すぎる。それは後回しですぐに攻めた方が良い。洛陽に向かうには邪魔すぎる。ただ董卓の支配地域とずれてるため移動されると大きな都市の長安まで面倒だな。


 黄巾党が全滅してないため単純に他の有力者との対決のためって意味での、そういう事態にはなってない。その点地元に戻ってきた孫堅のような例とは違う。だがぐずぐずしてるとその危険はあるな。洛陽に攻めあがるにはちょうど背後に孫堅を抱える形になる。先に孫堅からがやはり必須だ。連合軍でも名前を聞いていて強敵だが、新しい戦術なら勝てるだろう。


 手紙を返信したら同時に無線が届いた…。どういうこった?同封の手紙によると、すでに真空管でたっぷり実験してて、かつ以前読んだものを送ったときにすでに十分に新型無線も試験していたが、念のため見送って追試してたようだ。ただこれちょっと強引な使い方になる。本来戦車に備え付ける予定らしいが、今回無理やり乗せてアンテナをなんとかしてくれとあった。


 早速配備する。無線すでに今回の作戦のかなめなので使っていたが、これは音声が使える新型で真空管はそもそも使ったことが無い。今使ってるのは無線電信で、無線音声通信というのが新型。そして真空管の後者知らないので大きさが分からん。前者は戦車になら乗せられる。船に乗せてるし。


 確かに大きくはないが、騎兵にもたせるのはどうか?とは思う。戦車ならまったく邪魔にならない。そもそも騎兵に持たせるには高価だ。戦車部隊を中心して黄巾党は騎兵をついてこさせればいいか。歩兵はいらないが敢えて連れてくなら大型輸送車で運べばいいな。戦車を中心に無線で連携を取ってそれを付随する騎兵に伝えれば良い。


 よし孫堅攻略開始だ。通常ならありえないが、喫水の浅い船を使って全方位から攻める。長江と海が交わりあった地で水運を使わないともったいない。各個撃破されてしまうのを、無線を使って上手く敵と当たる時にはまとまった軍になるようにする。後索敵専用の装甲車ではない速度の速い車を用意する。


 孫堅は有能な武将と聞いている。それゆえに孫堅を殺す事を第一目標にする。子供たちも将来有望らしいが今はまだ苦しいだろう。それゆえに配下に迎えられないなら一族すべて殺すべきだ。逃がしてもいいのだが、周りの土地すべて占領しているために逃がすことができない。そのため配下に加えられないなら将来確実に邪魔になるので殺すしかない。


 調べてみると、孫堅はこの地の支配者ではない。有力者の一人にすぎない。中央の官僚と孫堅の連合軍のようなものだ。これは戦いやすいぞ。徳丸様が言うには後に頭角を現すって意味で要注意人物としてこっちに伝えたらしい。単純に大勢力の頂点の人物を教えてくれたわけじゃないようだ。


 この地が地元に戻った孫堅によって支配されていたらかなりやっかいだったが、この程度ならそれほど警戒するほどじゃないな。ただ、このまま放置しておくと不味いってのだけは分かる。いずれ支配者になってしまうから。


 戦略を大きく変える。孫堅を避けるのは同じだが、代表者はむしろ速攻で殺す。そのため今までの戦略と同じで、かつ今までより早く制圧する。そして孫堅だけ最後に残す。兵を集める領域を奪ってしまえばやっかいな相手でも怖くもなんともない。これは漢の3傑である韓信の最後と同じだ。国士無双も兵がいなきゃただの人。


 早く制圧するために、今までは少数精鋭一点突破のようなやり方をしたが、今回は敢えて分散して、相手の戦力を計って無線で狙いどころを決めて集中をして叩く。例えば強固な砦があった場合。無理に戦わず弱いところから攻めていく。一気に代表者を制圧して、困難な砦は集中によって叩く。


 機械化部隊に十分にこの戦略を共有してから戦闘開始する。


 すべてが順調に行った。今までずっとやってきたやり方なので上手く行ったのと、やはりこの地方を狙ったのが良かった。そして新しくやった戦術はピタリとはまった。むしろこっちが本当のやり方だと思う。今までは拠点を落とすため分散を徹底的に避けた。今回その逆なのだが、叩けるところはさっさと叩いておくことでより安全に代表者を殺し組織的反抗をできなくした。


 そして最後に孫堅だが、正攻法でやろうと思う。これだけの武器を使えば統率が上手い人間や知略に富む人間は上手く行かない。単純な武器を土台とした戦争の旨さがやっかいな指揮官の特徴なので、相手と同じような武器じゃないなら真っ向から叩けばいい。なおかつ呉郡の支配者でもないため大軍でもないんだ。


 思った通りあっけないほど簡単に制圧出来た。降伏しなかったため孫一族は皆殺しにした。


 この兵器の水準だと、相手が弱いか?すごく弱いか?になる。もちろん問題のある数の差ができるとさすがにこっちが不味くなる。だが、こっちも黄巾党の騎兵を連れてきてるため極端に少数の機械化部隊ではない。そもそも戦車一台は何人分の戦力なんだ?その点からも単純に相手に対して数が少ないわけじゃない。


 ただかなりの数の割合集めて慎重に戦ったのは確かだ。その点機械化部隊の戦闘力に任せてじゃなくて丁寧にやったと思ってる。揚州制圧が完了した。後は洛陽へ皇帝を保護しに向かうだけになる。他はちまちまその間をどうにかするだけだ。皇帝さえ保護できればもう重要な事は何もないのだがな。


 時間との勝負ってのはそこになる。漢の末裔はそれなりにいるから殺されたりしたら別のものを用意するか。焦るのはやめよう。この揚州さえ手に入れれば董卓と戦える。この土地を生かして内政を充実させよう。とにかくものすごくやる事がある。漢の支配体制と全く違うのと、後は農業が桁違いのものがある。そのため時間をかければかけるほどこちらが有利になる。


 これだけ広い土地を得たので、もう3分割した方が良い。本来人口に応じてだが、対外戦争の部分を内乱の他の有力者と仮定すれば、一致団結と方面軍の戦いで分けてやればいい。強大な敵には3集団の総合軍で叩く。弱い勢力は方面軍でそれぞれ戦っていく。すぐに李北に相談して選んでもらおう。ただ独自の内政はまだやらない。それは統一してからだ。統一までは李北を頂点とする政治体制で良い。


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