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「徳丸様便りがあります」
「ああご苦労」
あっちこっちから連絡がある。満州方面はかなり楽勝だったようだ。黄巾党は苦しかったが、策によって群雄割拠になったようだ。この策が事前に話しておいた要注意人物のリストが役に立ったようだ。ただし、いくつかは子供だと伝えておいた。数年後に意味が出るからと。これ不思議になるだろうな。
いちいち聞いてこないけどね。もう慣れてる。私が奇妙な事を言うのは今に始まった事じゃない。私と深くかかわってる部下はその傾向予知っぽい事をするのをつかんでる。黄巾党は物資の援助。ただし、早く農業を軌道に乗せてくれとは書いておいた。困ってはないが、ただ働きはなるべくしたくない。
これ説得大変なんだよな。占領じゃないから。世界征服多分できる。でも長い目で見てやりたくない。最後には崩壊するのが分かり切ってる。1つだけ成功する方法がある。全世界弱体化政策。江戸幕府の全世界版だ。まああれ封建制の究極の支配ロジックだよな。ただこれ絶対選択しない。だって全人類規模でわざと発展させないって、本末転倒だ。
科学の発展のために世界と関わってるのに。逆になる。世界征服のために科学的発展を犠牲にする。ありえない。そうなると長い目で見た場合世界征服はやがて発展した国が間違いなく分裂して崩壊する。むしろ敢えて支配しない事で弱体化政策してるんだよな。あれじゃ矛盾してる?なら無知と未熟な社会制度の国家に超兵器なんて持たせたくないよ。
世界征服なら、すべての国管理するからね。今は好き勝手やってね、あくまで自助努力って感じだから。まずその点もやってられないな。国連とは違うんだ。政治経済すべて統括するんだから。そもそもそんな面倒な事やってられん。結局回り道に見えるやり方の方がよっぽど近道だ。
スターリン主義も含めて専制国家って危険なんだよな。社会の未熟さってこれ。古い社会って大体専制国家の形態が多いから。こういう国にいろいろ与えたくない。
満州がものすごく負担が減ったな。間違いなくもう満州をかまってる自体じゃない。まだ中央政府はあるが、董卓の傀儡の地方軍閥だよな。分かってるのは、馬騰、袁紹、袁術、劉表、劉樟。孫堅。こんなところか。満州にとって重要な公孫氏は思った通り軍閥化してない。これ董卓が任命したんだよな。
でも黄巾党の徐州の方が残ってしまったから。そういった新たな漢の乗っ取り支配は始まってない。前のまま放置されてる。つかーこれ機能不全起こしてない?そのうち有力者同士で争いになって公孫氏が結局支配するのかな。どのみち軍事的圧力は以前の比じゃない。むしろこっちから攻められるぐらい。
だが当然それは日本軍あってのものだ。日本軍がそれを良しとしない。だって将来日本の支援した黄巾党が支配するつもりだから余計な事したくない。日本の方針はいよいよ草原民族に大半の力を注ぎこむ。ただ以前難しいとの報告が来ていて練り直した。食料の生産は捨てる。軍事拠点を作る。
そのため要塞を作る。問題は食料を運ぶ部分だろうな。こっそり道を作るか…。これ相手にも攻められるから絶対抜かれたらあかんな。今まで着手できなかったはずだ。軍事に思い切り余裕ができた今だから可能。最終的にはこれが草原騎馬民族管理計画の発動の布石になる。
だがそれは置いておく。当面の目標は、軍事衝突の後に膠着状態にして和睦する。んで情報渡して漢に圧力をかけろってやるつもりだ。こっちは手出さんから全力漢に向けてくれと。ただこっちの狙いはなるべく言いたくないな。後々手のひら返して漢と満州で組んで、草原民族への圧力かけるから。
ただ連中乗るとは思う。だって連中国境付近の略奪侵略が目的だから。こんな美味しい話無いんだよな。まあ黄巾党が大きくなるまでの時限的な和睦だけどね。
黄巾党の方は現地に任せるけど、揚州はとった方が良いかな。史実では呂布の裏切りで董卓が殺されてしまって董卓勢力は衰退するが、今回呂布がまだ董卓の地元にいるんじゃないかな?だって呂布って裏切って董卓についたから、時期が早まってしまったので、まだ元の主人の元にいるんじゃないか?と見ている。
漢の皇帝の保護こそが最大の目標となる。これさえやってのければ後は単純に拡大していくだけで良い。最大の問題曹操は殺してあるし。皇帝を保護して劉備を仲間につけたい。揚州を孫堅の勢力が拡大する前に奪取しておけば。3つの後に拡大する勢力をつぶせることになる。まあ劉備を抱え込めるか?は分からないけど。
需要は少ないけど、自分にはかなり大きな意味合いがある。この時代高い階層の人たちは化粧をするけど、これが健康被害があるようなものがわんさかある。この毒性の調査と、安全な代替化粧品の開発をさせようと思う。多分裕福になれば庶民階級にも需要があるはず。何より健康被害は不味い。
将来商業の発達、工業化、そして農地の変換を成し遂げるまでに株式会社を作っておきたい。ただこれ細かい調整が多いので計画だけ立ててすべて丸投げしたいな。これシンプルな仕組みなのに何故えらく後でしか生まれなかったか?と言うと、根本的に商業が発達した社会でしか意味が薄いから。
だから急いで作る必要全くない。じっくりちんたらやってほしい。ただその時期までにはすぐに始められるように前もって準備してほしい。
フィルムによる動画について話す。ただ基本的技術はすべて出来上がってるため、パラパラ漫画で原理を説明して後はすべてチームで作ってもらう。私は関わらない。だってこれ基本写真の技術とパラパラ漫画を組み合わせてモーターなどで自動で回転させて、光を当てて投影するだけだからな。フィルムのネガの部分をそのまま感光紙で作り上げるのではなくて、写真のようにすればいい。
半導体が発見された。ただ研究だけ進んだけどまだ実用化できない。というかトランジスタがまだ出来てない。そのための基礎理論は完成した感じ。というか初期ってトランジスタ以外半導体って電子部品無いよな。そのためいきなりトランジスタ出来なきゃ無理なんだよな。真空管でなんとかなるから必須ではない。いろいろと小型化したいんだ。
陰極線、真空管でも良いけど、これが磁石で曲げられるのを見せていた。
「どう?」
「電子線って磁気を帯びてるって事ですか?」
「まあ電気って磁気と密接に関係してるからかな。所謂左手の法則みたいなのがあるんだろうね。これを見せたのはね、これを利用して映像を送れるんだよ。音に続いて次は映像だ」
「ああ電気の強弱で像を作るんですね」
「まあ影絵ってあるよね。あれ見たいなもの。この点をすごい速さで曲げて面を4角に埋めるようにするんだよ。その時、この辺りは電気を弱く、強くとかすると影絵みたいになる。これを受信側で明暗でカメラのように情報を読み取る。そりゃ多分目の仕組みと似てると思うよ」
「光電効果でできそうですね」
「かもね、んで君たちには、これ利用してカメラのような映像送信と、受信装置を作ってもらいたい。原理自体は単純なので最初は点を少なく作ればいいよ。送信装置の前に点で文字をデータにしてそれを送ればいいよ。映像を送る送信装置は後で良いよ。まあちょっと前映写機作ったと思うけど、これが理由。先に簡単な方を教えておきたくてね」
「電波や電気信号で送る以外も動画記録は可能だからあの場合物理的にフィルムを移動すれば送れるよ」
DNAのX線回折画像が撮影されて構造モデルが決定された。以前から分析していた螺旋形のタンパク質のX線回折画像と拡散のクロマトグラフィーの結果から導き出された。私は知ってるが中々見事な推測だと思う。推測?実はこれもっと測定や分析装置が発展しないと決定できない。
ノーベル賞はモデルの推定に対して与えられたものだ。今度じゃ何が必要か?と言うと多角的なXの照射装置に関係した高度な計算機=コンピューターが必要になる。計算で導き出すため数学の発展も必要になる。今は2つのデータからの推測になる。らせん構造を持つタンパク質とDNAのX線回折画像は似ている。
他には核酸のクロマトを行うとシトンンとグアニンの割合が同じになり、アデニとチミンが同じ割合になる。ここから向き合った結合になってると推測できる。これらかタンパク質の螺旋と向かい合った核酸が結合した構造が予測できる。うん見事だ。多少そうなるように誘導したけど。与えられた材料で推測していくって点は科学してると思う。
自然に任せようと思ったがトランジスタ作ってしまった。無線の小型化と軍事に使いたい。ちょっと黄巾党が峠を越えたけど、安定的な防御戦略を組み立てたい。内政を重視してじっくりやりたいので防御重視でやっていきたい。それにこれから困難になる可能性がある。董卓との密約で乗り切ったが、董卓をつぶすときはどうなるか?となると困難なんだ。
先に揚州をとって国力を上げて人海戦術で倒すのも考えたが、もっとスマートな方法も無いかと考えて、機動力に無線を組み合わせるのを思いついた。すぐに無線の小型化を命じて作ってもらう計画を立てた。